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September
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「眠たっ…。」
久しぶりに朝、早起きした気がする。
ずーんと体が重たくて、重力に全然逆らうことすらもだるい。
先生と大学行ってるときは全然平気で朝起きられてたのに。
生活リズム直さないとやばいかも。
後期になって一限で頭働かないとかは絶対に避けたい。
それでもなんとか起きたのには、きちんと理由がある。
大学に行って勉強するから。
家では本読んでばっかりで全然勉強してないから、そろそろ英語力とかが地につきそうな予感がしている。他の学生がみんなおそらくそうであるように、俺も家だと勉強できない。よって、大学に行って勉強するしかない。
昨日、グループワークのメンバーを誘ったけど、みんな「行けたら行くわ」っていうだけ。
行けたら行くは絶対来ないっていう日本の常識があるから、多分みんな来ないだろうなぁ。
一人で勉強するのも別に嫌じゃないし、なんなら高校の時はずっと一人で勉強やってた。
だけど、最近広瀬と勉強することが多かったからな…なんかちょっとだけ寂しい。夏休みだから仕方ないけどね。
寂しい頭を振り払って、英語のノートとパソコン、最低限の筆記用具だけ持って大学の図書館に向かった。
案の定、この時間から図書館にいる人は誰もいなかった。朝八時って、大学生的には非常識な時間なんだろうなぁ。グループワークのメンバーたちの渋い反応を思い出して、ちょっとだけ苦笑い。
この時間、すごく気持ちがいいのに。
いつものお気に入りの席に着きながら、みんなもったいないことしてるな、なんて考えて一人優越感に浸る。
この時間は俺だけの時間って感じ。すごく落ち着く。
英語の本を開いて、英語の頭に切り替えた。
イヤホンをつけて、目の前のアルファベットだけを映していた視界の隅に、紺のスーツが横切る。
もう誰か来たのか。
就活中の三年生か、卒論書きに来た四年生かな。
ふとそのスーツの主が気になって顔をあげて、俺は思わず声をあげた。
「えっ!」
静かな図書館に俺の声が響いて、慌てて口を抑えた。
「こんな時間から勉強?お疲れ様。」
「先生こそ、お疲れ様です…。」
「ふふっ、久しぶりに会ったね。」
「はい。嬉しいです。」
「誰かと一緒に来たの?それとも一人?」
「今日は一人です。」
「へぇ…電車?」
「はい。」
「電車、混んでたでしょう?危ない目に遭ったりとかしなかった?」
「大丈夫です。まぁ…混んではいましたけど。」
「そっか…。」
「こうやって先生に会えたので、満員電車乗ってまで来てよかったです。」
「僕も嬉しいよ。『ゆう』に会えて。」
「ゆう」って呼ぶのは、二人の時だけって決めていたのに。
耳打ちするように小さな声だけど、静かで響くから誰かに聞かれてたらと思うとぞわっとする。
「若狭先生は、今日はお仕事ですか?」
わざわざ、「若狭先生」を強調して言う。
先生はちょっとだけ不満げに頬を膨らませたけど、特に何も言ってこなかった。
「うん。論文用の調査をしたくて。」
「そうなんですね!」
「今日は一日作業ですか?」
「多分。なにか急に仕事が入ったりしない限り、図書館と研究室を行ったり来たりしてると思う。」
「そうなんですね…お疲れ様です。」
いつも間にか俺の隣の椅子に座った先生。
肩をぽんぽんとたたかれて、その部分だけお日様にあてたみたいに熱くなった。
久しぶりに朝、早起きした気がする。
ずーんと体が重たくて、重力に全然逆らうことすらもだるい。
先生と大学行ってるときは全然平気で朝起きられてたのに。
生活リズム直さないとやばいかも。
後期になって一限で頭働かないとかは絶対に避けたい。
それでもなんとか起きたのには、きちんと理由がある。
大学に行って勉強するから。
家では本読んでばっかりで全然勉強してないから、そろそろ英語力とかが地につきそうな予感がしている。他の学生がみんなおそらくそうであるように、俺も家だと勉強できない。よって、大学に行って勉強するしかない。
昨日、グループワークのメンバーを誘ったけど、みんな「行けたら行くわ」っていうだけ。
行けたら行くは絶対来ないっていう日本の常識があるから、多分みんな来ないだろうなぁ。
一人で勉強するのも別に嫌じゃないし、なんなら高校の時はずっと一人で勉強やってた。
だけど、最近広瀬と勉強することが多かったからな…なんかちょっとだけ寂しい。夏休みだから仕方ないけどね。
寂しい頭を振り払って、英語のノートとパソコン、最低限の筆記用具だけ持って大学の図書館に向かった。
案の定、この時間から図書館にいる人は誰もいなかった。朝八時って、大学生的には非常識な時間なんだろうなぁ。グループワークのメンバーたちの渋い反応を思い出して、ちょっとだけ苦笑い。
この時間、すごく気持ちがいいのに。
いつものお気に入りの席に着きながら、みんなもったいないことしてるな、なんて考えて一人優越感に浸る。
この時間は俺だけの時間って感じ。すごく落ち着く。
英語の本を開いて、英語の頭に切り替えた。
イヤホンをつけて、目の前のアルファベットだけを映していた視界の隅に、紺のスーツが横切る。
もう誰か来たのか。
就活中の三年生か、卒論書きに来た四年生かな。
ふとそのスーツの主が気になって顔をあげて、俺は思わず声をあげた。
「えっ!」
静かな図書館に俺の声が響いて、慌てて口を抑えた。
「こんな時間から勉強?お疲れ様。」
「先生こそ、お疲れ様です…。」
「ふふっ、久しぶりに会ったね。」
「はい。嬉しいです。」
「誰かと一緒に来たの?それとも一人?」
「今日は一人です。」
「へぇ…電車?」
「はい。」
「電車、混んでたでしょう?危ない目に遭ったりとかしなかった?」
「大丈夫です。まぁ…混んではいましたけど。」
「そっか…。」
「こうやって先生に会えたので、満員電車乗ってまで来てよかったです。」
「僕も嬉しいよ。『ゆう』に会えて。」
「ゆう」って呼ぶのは、二人の時だけって決めていたのに。
耳打ちするように小さな声だけど、静かで響くから誰かに聞かれてたらと思うとぞわっとする。
「若狭先生は、今日はお仕事ですか?」
わざわざ、「若狭先生」を強調して言う。
先生はちょっとだけ不満げに頬を膨らませたけど、特に何も言ってこなかった。
「うん。論文用の調査をしたくて。」
「そうなんですね!」
「今日は一日作業ですか?」
「多分。なにか急に仕事が入ったりしない限り、図書館と研究室を行ったり来たりしてると思う。」
「そうなんですね…お疲れ様です。」
いつも間にか俺の隣の椅子に座った先生。
肩をぽんぽんとたたかれて、その部分だけお日様にあてたみたいに熱くなった。
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