転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界に彩りを

なつのさんち

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第一章:土下座女と男装の麗人(男)

VividColors株式会社

「ちょちょちょっと待って下さい! 何言ってるか分からないです!」

 お見合いパーティーの告白タイムかよ! とツッコミを入れそうになった伊吹いぶき
 しかし言葉そのまま出してしまっても、この世界ではお見合い大作戦も恋愛リアリティーショーも放送されていない。
 この世界の藍子あいこに沼島の春よ再びと言っても伝わらないのだ。

 男性系Vtuner《ブイチューナー》という、自分の性別がバレているのかいないのか判断が付かない新たな単語の出現も相まって、伊吹は狼狽えてしまう。

「あっ、すみません! そうですよね、話が飛び過ぎですよね」

 伊吹の狼狽した顔を見て、藍子は一気に冷静に戻った。
 自分が逸材を発掘したと思ったのはただの早とちりだったのかと、藍子は小さく肩を落として腰を下ろす。

 しかし、今まで交わした会話を通じ、藍子は伊吹の持っている声質をスピーカーなどを通さずに直に感じている。
 この鼓膜を震わす声色は、男性のものに極めて近い。父親と同居していた経験がある藍子は確信めいたものを感じていた。

 藍子は自分が求めているものにそう遠くはないはずだと思い直し、一から丁寧に説明する事にした。

YourTunesユアチューンズで活動しているYourTunerユアチューナーの動画を御覧になった事はありますか?」

 伊吹は藍子の問い掛けに対し、頷いてみせた。

「そのYourTunerをマネジメントする会社がある事もご存知でしょうか?」

「ええ、そういう会社があるのは知っています」

 すでにYourTunerをマネジメントする会社は大小いくつか設立されており、事業収益を伸ばしている。
 その事を伊吹が知っているか確認した上で、藍子は自分が設立した会社について詳しい説明を始める。

「私は顔出しをせず、イラストを使ったアバターというキャラ絵を用いて視聴者と会話する事が出来る配信者、Vtuner専門の育成やマネジメントを事業化したく、会社を立ち上げました。
 それがVividColorsヴィヴィッドカラーズなのですが……」

 一度区切り、伊吹の反応を窺う藍子。なるほど、と頷く伊吹を見て、藍子は続けて話す。

「実験的にイラストを用いたアバター姿で配信している配信者さんがおられ、これは二次元の壁を越えられる可能性があると私は感じました。
 しかしVtunerと言っても、まだ世間に認知されている分野ではありません。私の会社で世間にこんな素晴らしいものがあるのだと広めたいと思いました。

 手始めにマスクやサングラスや被り物をして動画撮影している配信者や、一切実写動画を使わずゲーム実況をしている配信者の方々に連絡をして、弊社へ所属契約をして下さる方から探す事にしました。
 彼女達にアバターを用意すれば、それだけでもう立派なVtunerと言えると思ったのです」

 すでに顔出しを主として動画配信しているYourTunerをマネジメントする企業がちらほらと出て来ている。
 ノウハウはないにせよ、藍子は先発企業を参考に会社を立ち上げ、顔出ししていない配信者専門のマネジメントを行う事にした。

「勤め先に自分の趣味がバレないよう、顔を出さないで配信している人って結構多いんですよ」

 藍子は自らのツテを使い、所属YourTunerへ企業案件を振ったり、新しい機材の提供をしたりするなど、動画の質が上がるよう働き掛ける為の準備を始めた。
 動画の再生回数が上がれば上がるほど、配信者がYourTunesから受け取る収益が増やす事が出来る。

 配信者を手助けする事で会社も収益を上げる事が出来るはずだと藍子は確信し、顔出しをしていない配信者達へ連絡を取り、片っ端から提案していった。
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