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第二章:転生先は並行世界
この世界はクソである
(【悲報】あの漫画の続きもあの映画の続きもあのアニメの二期も見れない)
この世界はクソであると気付いた伊吹は、泣き喚きながら手足を無茶苦茶に振り回した。
「伊吹、どうしたの!?」
咲弥が必死になだめようとするが、伊吹は自らの爪で顔や身体中に引っ掻き傷を作った。
「伊吹の身体にこれ以上傷を付ける訳にはいかないわ!!」
心乃春はメイド達にタオルケットを持ってくるよう指示を出し、伊吹が手足をバタ付かせられないよう全身を包んだ。
一般的に、赤ん坊は手足が自由に動かない状態の方が落ち着いて、穏やかに過ごす事が多いのだが。
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁ~~~!!」
伊吹はこの世界がクソであると気付き、絶望し泣き叫んでいるのだから、そんな事は関係ないのである。
「伊吹、落ち着いて! お願いだから!!」
その後、伊吹は母乳を吐き戻し、声が枯れ熱が出るまで泣き続け、咲弥達をパニックに陥れたのだった。
この世に神々が存在しない事を知ってしまった伊吹だが、それでもそれなりに幸せを感じていた。
母親である咲弥と祖母の心乃春。住み込みで働いている辰巳美子と娘の美哉。乾京香と娘の橘香。
伊吹達は七人で、山奥にある人口の少ない村に建てられた屋敷でひっそりと暮らしていた。
前世の家族と二度と会えない悲しみも、今の家族が癒やしてくれた。
屋敷内では皆が和装で過ごした。伊吹は甚平や浴衣。美哉と橘香は紬と呼ばれる普段着。大人達も外出の用事がない限りは着物姿だった。
前世では洋服しか着ていなかった伊吹にとって、新鮮な生活だった。
「これ、新しく縫ったので良かったら着て下さい」
「いつもありがとうございます!」
近隣の住民との関係も上手く行っており、高齢の女性が多い事もあって、伊吹と美哉と橘香はみんなに見守られてすくすくと育った。
中には伊吹に向かって拝む者もいたが、男が希少な世界においてはそういうものなのだろうと笑って手を振り応えるようにした。
「「行ってきます!!」」
「いってらっしゃい!」
美哉と橘香は六歳になると、小学校へ通い出した。近くにはないので、いつも美子か京香が車で送り迎えしていた。
洋服を着て車に乗り込む二人を追って伊吹が着いて行こうとすると、毎回咲弥に止められた。
伊吹は大きくなったら僕もいくのかと咲弥に尋ねると、男の子は行かないのよと頭を撫でられた。
やはりこの世界はクソだと再認識したのは、伊吹が五歳の頃。咲弥が病気で倒れ、入退院を繰り返した。
病院は街へ下りないとなく、男である伊吹は見舞いに行く事も許されなかった。
いつもは物分かりの良い男の子なのに、見舞いに行く支度をする心乃春を僕も着いて行くと言って困らせていた。
咲弥は自宅で療養している時、ベッドに伊吹を呼んで手を握り、大きく強く育ってね、優しく愛ある男性になってねと、まるで死期を悟ったかのように微笑んだ。
その後またすぐに入院し、それが咲弥の最期の言葉となってしまった。
咲弥が亡くなったと知らされた伊吹は、ある程度の覚悟は出来ていたはずだった。
しかし、咲弥の遺体がこの屋敷に戻って来る事がないと聞かされると荒れに荒れた。
「何で僕はお母様と最後のお別れが出来ないの!?」
(お通夜は、お葬式は、家族の最後のお別れは。この世界のやり方は知らないが、そう変わる事ではないはずだ!)
おかしい、どうして、嫌だ、ふざけるな。心乃春に縋り付いて叫ぶ伊吹。
そんな伊吹を挟み込むように抱き着く美哉と橘香。
二人も涙を零し、嗚咽を抑える事が出来ないが、伊吹を安心させたくて声を掛ける。
「大丈夫、みぃがいるよ!」
「きぃもいるよ!」
(違う、そういう事じゃない!)
怒鳴り、喚き、この世界の何もかも壊してやりたい衝動に駆られる。もうどうでもいい。どうなったっていい。
「いっちゃんを一人になんてしないよ!」
「ずっとずーっといっしょにいるからね!」
けど、この美哉と橘香を傷付けてしまうのは違う。
そう思い直し、伊吹はただただその温もりに身を任せて泣き続ける事しか出来なかった。
この世界はクソであると気付いた伊吹は、泣き喚きながら手足を無茶苦茶に振り回した。
「伊吹、どうしたの!?」
咲弥が必死になだめようとするが、伊吹は自らの爪で顔や身体中に引っ掻き傷を作った。
「伊吹の身体にこれ以上傷を付ける訳にはいかないわ!!」
心乃春はメイド達にタオルケットを持ってくるよう指示を出し、伊吹が手足をバタ付かせられないよう全身を包んだ。
一般的に、赤ん坊は手足が自由に動かない状態の方が落ち着いて、穏やかに過ごす事が多いのだが。
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁ~~~!!」
伊吹はこの世界がクソであると気付き、絶望し泣き叫んでいるのだから、そんな事は関係ないのである。
「伊吹、落ち着いて! お願いだから!!」
その後、伊吹は母乳を吐き戻し、声が枯れ熱が出るまで泣き続け、咲弥達をパニックに陥れたのだった。
この世に神々が存在しない事を知ってしまった伊吹だが、それでもそれなりに幸せを感じていた。
母親である咲弥と祖母の心乃春。住み込みで働いている辰巳美子と娘の美哉。乾京香と娘の橘香。
伊吹達は七人で、山奥にある人口の少ない村に建てられた屋敷でひっそりと暮らしていた。
前世の家族と二度と会えない悲しみも、今の家族が癒やしてくれた。
屋敷内では皆が和装で過ごした。伊吹は甚平や浴衣。美哉と橘香は紬と呼ばれる普段着。大人達も外出の用事がない限りは着物姿だった。
前世では洋服しか着ていなかった伊吹にとって、新鮮な生活だった。
「これ、新しく縫ったので良かったら着て下さい」
「いつもありがとうございます!」
近隣の住民との関係も上手く行っており、高齢の女性が多い事もあって、伊吹と美哉と橘香はみんなに見守られてすくすくと育った。
中には伊吹に向かって拝む者もいたが、男が希少な世界においてはそういうものなのだろうと笑って手を振り応えるようにした。
「「行ってきます!!」」
「いってらっしゃい!」
美哉と橘香は六歳になると、小学校へ通い出した。近くにはないので、いつも美子か京香が車で送り迎えしていた。
洋服を着て車に乗り込む二人を追って伊吹が着いて行こうとすると、毎回咲弥に止められた。
伊吹は大きくなったら僕もいくのかと咲弥に尋ねると、男の子は行かないのよと頭を撫でられた。
やはりこの世界はクソだと再認識したのは、伊吹が五歳の頃。咲弥が病気で倒れ、入退院を繰り返した。
病院は街へ下りないとなく、男である伊吹は見舞いに行く事も許されなかった。
いつもは物分かりの良い男の子なのに、見舞いに行く支度をする心乃春を僕も着いて行くと言って困らせていた。
咲弥は自宅で療養している時、ベッドに伊吹を呼んで手を握り、大きく強く育ってね、優しく愛ある男性になってねと、まるで死期を悟ったかのように微笑んだ。
その後またすぐに入院し、それが咲弥の最期の言葉となってしまった。
咲弥が亡くなったと知らされた伊吹は、ある程度の覚悟は出来ていたはずだった。
しかし、咲弥の遺体がこの屋敷に戻って来る事がないと聞かされると荒れに荒れた。
「何で僕はお母様と最後のお別れが出来ないの!?」
(お通夜は、お葬式は、家族の最後のお別れは。この世界のやり方は知らないが、そう変わる事ではないはずだ!)
おかしい、どうして、嫌だ、ふざけるな。心乃春に縋り付いて叫ぶ伊吹。
そんな伊吹を挟み込むように抱き着く美哉と橘香。
二人も涙を零し、嗚咽を抑える事が出来ないが、伊吹を安心させたくて声を掛ける。
「大丈夫、みぃがいるよ!」
「きぃもいるよ!」
(違う、そういう事じゃない!)
怒鳴り、喚き、この世界の何もかも壊してやりたい衝動に駆られる。もうどうでもいい。どうなったっていい。
「いっちゃんを一人になんてしないよ!」
「ずっとずーっといっしょにいるからね!」
けど、この美哉と橘香を傷付けてしまうのは違う。
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