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第四章:Vtunerデビューの準備
残された四人
社長の多恵子と幸は、大学卒業前にゲーム制作会社を立ち上げた。サークル仲間の八人で、趣味を仕事にしようと夢見たのだ。
作ったゲームの最初の何作かはそれなりに売れ、利益もそこそこ出たのだが、時代の流れで十八禁ゲーム業界全体の売り上げが大幅に減少してしまった。
元々学生のノリの延長で続けていた一人は夢に見切りを付けて一般企業へ就職し、別の一人は実家へ戻って家業を継いだ。
この辺りの時期にVividColorsからの依頼があったり、その他の細々した仕事をこなして何とか食いつないでいた。
しかしつい先日、ゲーム開発の中心であったプログラマーがその技術を買われて大手ゲーム制作会社へ就職し、シナリオライターは応募した小説が受賞したので、プロの作家としてデビューする予定であると告白してきた。
残されたCGクリエイターである河本多恵子、山路幸、鳴海ルミ、平野鈴の四人が途方に暮れているちょうどその時に、燈子から3DCGが出来る企業の買収についての連絡が来たとの事だった。
『辞めてった人らの持ち株ってどうなってんだろ』
伊吹から発せられた疑問を受けて、燈子が多恵子へ質問する。
「会社を離れられた方々の株って今どうなっているんですか?」
「株、ですか……。あぁー」
多恵子と幸が顔を見合わせて、表情を歪ませる。
「何も決めずに辞めてったので、宙に浮いている状態ですね」
二人は今後の会社の行く先ばかり考えており、分散してしまった会社の株式の事など頭になかったのだ。
頭のどこかに、このまま会社は終わるだろうから株の事など関係ない、という考えがあったのかも知れない。
一方、伊吹は多恵子達の会社の状況が良くない事を危惧していた。
もしも多恵子達が会社を解散させるのであれば問題ないが、今回の企業買収の提案を受けたり、ゲームが思わぬ大ヒットをして莫大な利益を上げた際、会社を離れた株主達の存在が非常に邪魔になってしまうからだ。
『うわぁ、買収しようにも売り主が不在だから交渉のしようがないな』
そうするべきかと考えた後、伊吹は燈子へ質問する。
『そのオフィスは賃貸?』
「このオフィスは賃貸ですよね?」
「はい。もう残り資金がギリギリで、来月分は払わずに退去しようかと話していたところだったんです。
四人であれば誰かの部屋に集まって、同人活動レベルなら続けられるかな、と。
ですので、会社ごと買って頂けるのであれば非常に嬉しいのですが……」
多恵子としては、ゲーム開発の中心人物であるプログラマーとシナリオライターが抜けてしまった以上、会社という枠組みが自分達の負担になるだろうと感じている。
会社を解散させるか、もしくは誰かが買ってくれるとその負担がなくなる。
しかし、伊吹は会社を離れた四人の株が不確定要素であると感じ、買収は一旦保留する判断を下した。
『買収の件は保留。こちらとの買収の話を進める前に、離脱株主四人に連絡を付けて、持ち株を譲渡させるなり放棄させるなりしないとダメだ。
残った四人だけで進めると権利関係でややこしくなる可能性がある』
(何でこの場でそんな事まで思い付けるの!?)
伊吹の指示に対して燈子は内心驚きつつも、表情は変えずに多恵子と幸へと買収の保留を伝える。
「会社を離れられた株主の四名と連絡を取って、株をどうするか話し合う必要があります。
買収の件はそれまで進められないと思います。権利関係がややこしくなるので」
「そんな……」
絶望していたところに浮かんだ一筋の希望が消えようとしているのを感じ、多恵子と幸が泣きそうな表情を浮かべる。
だが、伊吹の判断はそれだけではなかった。
作ったゲームの最初の何作かはそれなりに売れ、利益もそこそこ出たのだが、時代の流れで十八禁ゲーム業界全体の売り上げが大幅に減少してしまった。
元々学生のノリの延長で続けていた一人は夢に見切りを付けて一般企業へ就職し、別の一人は実家へ戻って家業を継いだ。
この辺りの時期にVividColorsからの依頼があったり、その他の細々した仕事をこなして何とか食いつないでいた。
しかしつい先日、ゲーム開発の中心であったプログラマーがその技術を買われて大手ゲーム制作会社へ就職し、シナリオライターは応募した小説が受賞したので、プロの作家としてデビューする予定であると告白してきた。
残されたCGクリエイターである河本多恵子、山路幸、鳴海ルミ、平野鈴の四人が途方に暮れているちょうどその時に、燈子から3DCGが出来る企業の買収についての連絡が来たとの事だった。
『辞めてった人らの持ち株ってどうなってんだろ』
伊吹から発せられた疑問を受けて、燈子が多恵子へ質問する。
「会社を離れられた方々の株って今どうなっているんですか?」
「株、ですか……。あぁー」
多恵子と幸が顔を見合わせて、表情を歪ませる。
「何も決めずに辞めてったので、宙に浮いている状態ですね」
二人は今後の会社の行く先ばかり考えており、分散してしまった会社の株式の事など頭になかったのだ。
頭のどこかに、このまま会社は終わるだろうから株の事など関係ない、という考えがあったのかも知れない。
一方、伊吹は多恵子達の会社の状況が良くない事を危惧していた。
もしも多恵子達が会社を解散させるのであれば問題ないが、今回の企業買収の提案を受けたり、ゲームが思わぬ大ヒットをして莫大な利益を上げた際、会社を離れた株主達の存在が非常に邪魔になってしまうからだ。
『うわぁ、買収しようにも売り主が不在だから交渉のしようがないな』
そうするべきかと考えた後、伊吹は燈子へ質問する。
『そのオフィスは賃貸?』
「このオフィスは賃貸ですよね?」
「はい。もう残り資金がギリギリで、来月分は払わずに退去しようかと話していたところだったんです。
四人であれば誰かの部屋に集まって、同人活動レベルなら続けられるかな、と。
ですので、会社ごと買って頂けるのであれば非常に嬉しいのですが……」
多恵子としては、ゲーム開発の中心人物であるプログラマーとシナリオライターが抜けてしまった以上、会社という枠組みが自分達の負担になるだろうと感じている。
会社を解散させるか、もしくは誰かが買ってくれるとその負担がなくなる。
しかし、伊吹は会社を離れた四人の株が不確定要素であると感じ、買収は一旦保留する判断を下した。
『買収の件は保留。こちらとの買収の話を進める前に、離脱株主四人に連絡を付けて、持ち株を譲渡させるなり放棄させるなりしないとダメだ。
残った四人だけで進めると権利関係でややこしくなる可能性がある』
(何でこの場でそんな事まで思い付けるの!?)
伊吹の指示に対して燈子は内心驚きつつも、表情は変えずに多恵子と幸へと買収の保留を伝える。
「会社を離れられた株主の四名と連絡を取って、株をどうするか話し合う必要があります。
買収の件はそれまで進められないと思います。権利関係がややこしくなるので」
「そんな……」
絶望していたところに浮かんだ一筋の希望が消えようとしているのを感じ、多恵子と幸が泣きそうな表情を浮かべる。
だが、伊吹の判断はそれだけではなかった。
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