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第四章:Vtunerデビューの準備
子会社の社長
企業を買収する際、買収する会社の株主から株式の譲渡を受ける。簡単に言うとお金かそれに代わるものを渡して株式を受け取るのだ。
株主は会社の取締役を任命し、その代表者が代表取締役となる。元々の株主が株式を手放した際、大抵の場合において取締役達は解任される。新しい株主が自分で信頼できる新しい取締役を任命するからだ。
小さな企業であれば、ほぼ社長がその会社の株を持っているので、株を手放した社長がそのまま社長で居続けるのは考えにくい。会社で一番立場が強いのは社長ではなく株主である。
ただし、元社長である多恵子は自身がクリエイターなので、会社を追い出すような事はしない。それでは会社を買った意味がなくなってしまう。
「VividColorsの子会社の社長か。藍子さんで問題ないですよね?」
「いいんですか? 伊吹様が社長じゃなくて。
いや、私の会社の子会社の社長が男性様なんて、逆に不敬にあたるのかな……。
そもそも私が社長で男性様が副社長っていうのも不敬なのでは!?」
突然あわあわしだす藍子を見て、伊吹が笑って気にしないから大丈夫だと伝える。
「子会社の社長といっても、当分報酬はゼロでしょうけどね」
総資産数百万円の会社の社長で、今のところ収益予定は立っていない。親会社の仕事を受けるだけの小さな会社だ。
子会社化させるのは、VividColorsの要望に対して利益を考える事なく仕事をしてもらう為である。
そして、伊吹は口には出さないが、子会社が不要になれば多恵子達四人を簡単に切り捨てる事が可能であるとも考えている。
VividColorsで直接雇用してしまうと、VividColorsが多恵子ら四人に対して雇用を継続する義務が生じ、簡単には解雇する事が出来ないという枷が発生してしまうのだ。
現状のVividColorsに、不要な社員の面倒を見る余裕は全くない。
「あ、それと河本さん達四人と秘密保持契約を交わさないとダメですね。買収完了より先に仕事を始めてもらう訳ですし。
動画投稿開始より先に男性Vtunerがデビューするって話が漏れると面白くないので」
「なるほど、秘密保持契約書っと」
子は忘れないようメモ帳へ書き込んでいる。
次々に今後のすべき事柄を挙げていく伊吹を前にして、イラストを描いていた燈子が手を止める。
「よくそんなすらすらとすべき事が出てくるわね。
ホントに十八歳? 人生何回目?」
燈子は心底不思議そうな表情で伊吹を見つめる。
「えーっと、実は二回目なんですよ」
「またまたー」
伊吹が正直に答えると、燈子に笑って流されてしまった。
(本当なんだけどなぁ。まぁ信じる訳ないわな)
燈子は口を尖らせながらイラストを仕上げていく。
「うーん、お兄さんの顔にどこまで似せるかで迷うなぁ。
あんまり似せ過ぎるとお兄さんの生活に支障が出るかな?」
「さぁ、どうでしょうね。
基本的に僕は外を出歩く事がないので、支障はないような気がしますが」
そう言いながら、伊吹は部屋で待機している美子や美哉と橘香、警備担当の小杉達の顔を見る。
皆、Vtunerのアバターの顔が伊吹の実生活にどう影響するのか、想像出来ていない様子だ。
「……お嬢様。やはりあらゆる危険を考慮して、似せ過ぎないようにして頂いた方が無難かと」
「そっか。まぁ小杉さんとしてはそう言うしかないよね。
分かった。お兄さんの雰囲気を残しつつ、別人って感じで描いてみる」
燈子はスケッチブックをめくり、新しく似顔絵を描き始める。
「こんな感じでどう?」
しばらくして、燈子が描き上げたイラストを伊吹へ見せる。
「……? どっかで見たような顔だな、どこでだっけ」
「今朝鏡で見たんじゃないの?
でもそっくりにはしてないし、そこまで似てはないと思うんだけどなぁ。
どう思う?」
燈子が伊吹の後ろに控えている美哉と橘香へイラストを向けると、二人ともコクコクと燈子へ頷いてみせた。
「まぁまだ下書きだから、ここから清書しないとだけどね」
株主は会社の取締役を任命し、その代表者が代表取締役となる。元々の株主が株式を手放した際、大抵の場合において取締役達は解任される。新しい株主が自分で信頼できる新しい取締役を任命するからだ。
小さな企業であれば、ほぼ社長がその会社の株を持っているので、株を手放した社長がそのまま社長で居続けるのは考えにくい。会社で一番立場が強いのは社長ではなく株主である。
ただし、元社長である多恵子は自身がクリエイターなので、会社を追い出すような事はしない。それでは会社を買った意味がなくなってしまう。
「VividColorsの子会社の社長か。藍子さんで問題ないですよね?」
「いいんですか? 伊吹様が社長じゃなくて。
いや、私の会社の子会社の社長が男性様なんて、逆に不敬にあたるのかな……。
そもそも私が社長で男性様が副社長っていうのも不敬なのでは!?」
突然あわあわしだす藍子を見て、伊吹が笑って気にしないから大丈夫だと伝える。
「子会社の社長といっても、当分報酬はゼロでしょうけどね」
総資産数百万円の会社の社長で、今のところ収益予定は立っていない。親会社の仕事を受けるだけの小さな会社だ。
子会社化させるのは、VividColorsの要望に対して利益を考える事なく仕事をしてもらう為である。
そして、伊吹は口には出さないが、子会社が不要になれば多恵子達四人を簡単に切り捨てる事が可能であるとも考えている。
VividColorsで直接雇用してしまうと、VividColorsが多恵子ら四人に対して雇用を継続する義務が生じ、簡単には解雇する事が出来ないという枷が発生してしまうのだ。
現状のVividColorsに、不要な社員の面倒を見る余裕は全くない。
「あ、それと河本さん達四人と秘密保持契約を交わさないとダメですね。買収完了より先に仕事を始めてもらう訳ですし。
動画投稿開始より先に男性Vtunerがデビューするって話が漏れると面白くないので」
「なるほど、秘密保持契約書っと」
子は忘れないようメモ帳へ書き込んでいる。
次々に今後のすべき事柄を挙げていく伊吹を前にして、イラストを描いていた燈子が手を止める。
「よくそんなすらすらとすべき事が出てくるわね。
ホントに十八歳? 人生何回目?」
燈子は心底不思議そうな表情で伊吹を見つめる。
「えーっと、実は二回目なんですよ」
「またまたー」
伊吹が正直に答えると、燈子に笑って流されてしまった。
(本当なんだけどなぁ。まぁ信じる訳ないわな)
燈子は口を尖らせながらイラストを仕上げていく。
「うーん、お兄さんの顔にどこまで似せるかで迷うなぁ。
あんまり似せ過ぎるとお兄さんの生活に支障が出るかな?」
「さぁ、どうでしょうね。
基本的に僕は外を出歩く事がないので、支障はないような気がしますが」
そう言いながら、伊吹は部屋で待機している美子や美哉と橘香、警備担当の小杉達の顔を見る。
皆、Vtunerのアバターの顔が伊吹の実生活にどう影響するのか、想像出来ていない様子だ。
「……お嬢様。やはりあらゆる危険を考慮して、似せ過ぎないようにして頂いた方が無難かと」
「そっか。まぁ小杉さんとしてはそう言うしかないよね。
分かった。お兄さんの雰囲気を残しつつ、別人って感じで描いてみる」
燈子はスケッチブックをめくり、新しく似顔絵を描き始める。
「こんな感じでどう?」
しばらくして、燈子が描き上げたイラストを伊吹へ見せる。
「……? どっかで見たような顔だな、どこでだっけ」
「今朝鏡で見たんじゃないの?
でもそっくりにはしてないし、そこまで似てはないと思うんだけどなぁ。
どう思う?」
燈子が伊吹の後ろに控えている美哉と橘香へイラストを向けると、二人ともコクコクと燈子へ頷いてみせた。
「まぁまだ下書きだから、ここから清書しないとだけどね」
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