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第六章:続、Vtunerデビューの準備
男性保護省の方から来た執事
昼食を摂った後、藍子は多恵子から連絡が入った。
ビル周辺の警備が厳重になった為、多恵子達だけではこのビルに近付く事も出来ない。
宮坂警備保障と警察とは協力関係にあるので、藍子は小杉の部下を伴って迎えに行った。
伊吹と燈子は引き続き、アバターの元となるイラストについて話し合っている。
「イラストに関してはとこちゃんに任せるけど、今から来る河本さん達と話してもらって、動かしやすいイラストでとりあえずのアバターを作ってもらって初配信に臨めればいいと思う。
河本さん達はこれからこのビルで仕事してもらうんだし、随時より良いアバターに変更して行けばいいかな」
「なるほど、どんどん良いアバターになって行く訳ね。そっか、これが買収した強みになるのね」
他の企業へ発注する場合、一つ一つの変更に支払いが生じるので、短期間で何度も細かい要望を投げる事は出来ない。しかし社内、もしくはグループ内の企業であればそれが可能になる。
燈子が決めあぐねていたイラストについて、伊吹は今から最高のイラストを決める必要はなく、随時良いものに更新していけると示し、ようやく燈子の唸り声が止む事となった。
「じゃあ、このイラストを元に清書してくるね」
燈子が別室でイラストを仕上る為に事務所を出て行ったのと入れ替わりに、宮坂警備保障の警備員が入って来た。
「執事と名乗るお客様がお見えなのですが」
京香が伊吹へと目配せをし、伊吹が問題ないと頷く。
「聞いています。通してもらえますか?」
「男性保護省より参りました、久我智枝と申します。
私は出向している身ではありますが、男性保護省には不信感がお有りと存じます。
ご信頼頂けるよう努めて参りますので、何卒よろしくお願い致します」
黒いスーツに長いスカート。シニョンに纏められた髪型。伊吹はファッションに詳しくない為、ホテルのコンシェルジュという印象を受ける。身長は伊吹よりも低く、百六十センチに届かない程度か。
「初めまして、三ノ宮伊吹です。よろしくお願いします」
立ち上がって頭を下げる伊吹に対し、智枝は早速執事として主に対する教育を開始する。
「ご主人様、主が従者へ頭を下げてはなりません。我々は家具と等しくお使い下さい」
(面倒な人が来たなぁ)
先ほども藍子と燈子と侍女達を一緒に食事を摂れるよう話し合ったところだ。
伊吹としてはそういう堅苦しい事は出来るだけ避けたい。お世話になるとはいえ、お世話をされて当たり前とは思いたくないと考えているからだ。
「智枝さん、僕はもっと親しみやすいお付き合いを望んでいます。
三ノ宮家は和やかな雰囲気の職場であると思って下さい」
「ご主人様のご希望は賜りました。善処致します。
私の事は、智枝とお呼び下さい」
智枝は伊吹が思ったほど頑固ではないようで、伊吹の望みには可能な限り応えるつもりのようだ。
執事が付いたはいいが、現状で特に何かしてもらうべき事はない。
「今このビルにいる状況については京香さんに教えてもらって下さい。
実家の屋敷に帰るとなると、智枝……、さんも付いて来てくれるの?」
生まれた時からの関係性があるので、美子と京香に対して今さら呼び捨てにするのは気恥ずかしくて出来ない。だからと言って智枝のみ呼び捨てにするのは、と思い、結局敬称を付けて呼んでしまう。
「私はご主人様がおられる場所が職場でございます。どちらへでも着いて参ります。
私もご主人様のご希望に沿いたいと思っておりますゆえ、ご主人様も私の言葉に耳を傾けて頂ければと思うのですが、如何でしょうか?」
伊吹の希望に沿うようにするから、伊吹も智枝が言う事を聞いてくれ。そういう風に伊吹は捉えた。
「分かりました。すぐには慣れないと思うけど、智枝さんの助言を聞くようにします」
「智枝、とお呼び下さい」
(引っ掛かってたのはそこかよ)
「……智枝、よろしく」
はい、と満面の笑みを浮かべて頭を下げる智枝を見て、伊吹は変な人だなぁと思うのだった。
ビル周辺の警備が厳重になった為、多恵子達だけではこのビルに近付く事も出来ない。
宮坂警備保障と警察とは協力関係にあるので、藍子は小杉の部下を伴って迎えに行った。
伊吹と燈子は引き続き、アバターの元となるイラストについて話し合っている。
「イラストに関してはとこちゃんに任せるけど、今から来る河本さん達と話してもらって、動かしやすいイラストでとりあえずのアバターを作ってもらって初配信に臨めればいいと思う。
河本さん達はこれからこのビルで仕事してもらうんだし、随時より良いアバターに変更して行けばいいかな」
「なるほど、どんどん良いアバターになって行く訳ね。そっか、これが買収した強みになるのね」
他の企業へ発注する場合、一つ一つの変更に支払いが生じるので、短期間で何度も細かい要望を投げる事は出来ない。しかし社内、もしくはグループ内の企業であればそれが可能になる。
燈子が決めあぐねていたイラストについて、伊吹は今から最高のイラストを決める必要はなく、随時良いものに更新していけると示し、ようやく燈子の唸り声が止む事となった。
「じゃあ、このイラストを元に清書してくるね」
燈子が別室でイラストを仕上る為に事務所を出て行ったのと入れ替わりに、宮坂警備保障の警備員が入って来た。
「執事と名乗るお客様がお見えなのですが」
京香が伊吹へと目配せをし、伊吹が問題ないと頷く。
「聞いています。通してもらえますか?」
「男性保護省より参りました、久我智枝と申します。
私は出向している身ではありますが、男性保護省には不信感がお有りと存じます。
ご信頼頂けるよう努めて参りますので、何卒よろしくお願い致します」
黒いスーツに長いスカート。シニョンに纏められた髪型。伊吹はファッションに詳しくない為、ホテルのコンシェルジュという印象を受ける。身長は伊吹よりも低く、百六十センチに届かない程度か。
「初めまして、三ノ宮伊吹です。よろしくお願いします」
立ち上がって頭を下げる伊吹に対し、智枝は早速執事として主に対する教育を開始する。
「ご主人様、主が従者へ頭を下げてはなりません。我々は家具と等しくお使い下さい」
(面倒な人が来たなぁ)
先ほども藍子と燈子と侍女達を一緒に食事を摂れるよう話し合ったところだ。
伊吹としてはそういう堅苦しい事は出来るだけ避けたい。お世話になるとはいえ、お世話をされて当たり前とは思いたくないと考えているからだ。
「智枝さん、僕はもっと親しみやすいお付き合いを望んでいます。
三ノ宮家は和やかな雰囲気の職場であると思って下さい」
「ご主人様のご希望は賜りました。善処致します。
私の事は、智枝とお呼び下さい」
智枝は伊吹が思ったほど頑固ではないようで、伊吹の望みには可能な限り応えるつもりのようだ。
執事が付いたはいいが、現状で特に何かしてもらうべき事はない。
「今このビルにいる状況については京香さんに教えてもらって下さい。
実家の屋敷に帰るとなると、智枝……、さんも付いて来てくれるの?」
生まれた時からの関係性があるので、美子と京香に対して今さら呼び捨てにするのは気恥ずかしくて出来ない。だからと言って智枝のみ呼び捨てにするのは、と思い、結局敬称を付けて呼んでしまう。
「私はご主人様がおられる場所が職場でございます。どちらへでも着いて参ります。
私もご主人様のご希望に沿いたいと思っておりますゆえ、ご主人様も私の言葉に耳を傾けて頂ければと思うのですが、如何でしょうか?」
伊吹の希望に沿うようにするから、伊吹も智枝が言う事を聞いてくれ。そういう風に伊吹は捉えた。
「分かりました。すぐには慣れないと思うけど、智枝さんの助言を聞くようにします」
「智枝、とお呼び下さい」
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