転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界に彩りを

なつのさんち

文字の大きさ
64 / 243
第六章:続、Vtunerデビューの準備

忠言

 藍子あいこ多恵子たえこ達の様子を見に行き、燈子とうこはイラストを完成させるべく別室で作業中の為、現在事務所には伊吹いぶき美哉みや橘香きっか、そして智枝ともえの四人しかいない。
 伊吹が美哉と橘香に声を掛けて、それぞれ隣に座らせる。

「ご主人様、よろしいでしょうか?」

 その様子を見て、智枝が伊吹へ真剣な表情で切り出した。
 伊吹は三ノ宮家さんのみやけの人間しかいない今、美哉と橘香とイチャイチャしたいと思っていたところに水を差された形になったので、少しむすっとしながら頷いた。

「昨夜も今朝も、主従関係なく食卓を共にさせて頂きましたが、これは常からの事なのですか?」

(やっぱり引っ掛かってたのか)

 伊吹は智枝が、美子とや京香と同じく、主従は食事を別にするべきだと思っている事を察する。

「そうだよ。それは僕が小さい頃から続けている事だから、今さら止める事は出来ないからね」

「しかし……」

 伊吹を諫めようとしている智枝の言葉を遮って、伊吹が自分の想いを語り出す。

「僕は侍女であろうが執事であろうが、大切な家族として接したいと思っている。家族なら一緒に食事を摂るのが当たり前だし、話をする時は座って目を同じ高さに合わせるのが当然だと思っている。
 智枝にだって、第三者がいない状況であればソファーに座ってほしいんだ。
 いついかなる時も執事や侍女が畏まってたら、こっちだって疲れる。分かるでしょ?」

 伊吹は自分の言葉を強調するように、美哉と橘香の肩を抱き寄せる。

「お言葉ながらご主人様。ご主人様はこれからもっと多くの従者の上に立たれるお立場です。今から人を使う事、人を従える事に慣れて頂かなければなりません。
 従者が畏まるのは主を敬愛しておればこそ。馴れ合いになってはいけないのです」

 伊吹の言葉に対し、智枝は聞く耳を持たぬと持論を押し付けて来る。伊吹としては、智枝の考え方もある意味正しいのだろうとは思うのだが、自分にそれを求められても困る。
 人の上に立つも何も、自分はこの世界の事も碌に知らない十八歳だ。
 この世界で育ったのなら何の不思議も疑問もなく、従者を当たり前のように使えたのかも知れないが、伊吹は前世一般庶民である。前世の常識が邪魔をして、すんなりと自分の立場を受け入れる事が出来ていないのだ。

「……じゃあ、智枝はいついかなる時でも僕に対して馴れ合ったり、甘えたり、抱き着いたり、家族のような触れ合いはしないんだね?」

「当然です。私はご主人様の生活をお支えする道具。道具に対する情は不要です」

 伊吹は智枝の言葉を聞いて、前世世界で呼んでいた、あるWEB小説を思い出す。小説投稿サイトに投稿されていた、女性の願望を全て断る事を職業としている主人公の物語だ。
 今回の場合は馴れ合いをしたいという願望を抱いているのは伊吹なので、お断りをするのは智枝になる。

「今から僕が言う事する事を全て拒否・否定してほしい。
 執事として、僕の無茶な命令を断り、僕を窘める事が出来るのであれば智枝は完璧な従者だ。その時は僕も譲歩しよう。
 けれど、僕の行動を拒否せず、智枝が受け入れてしまった時は、智枝が僕に譲歩するように。
 どうかな? 智枝に僕の我が儘を諫める事が出来る?」

「私はご主人様に譲歩などと、そんな偉そうな事は申しません。もしも私が馴れ合ったり、甘えたり、抱き着いたりしてしまった時は、ご主人様のご意向に沿った形でお支えするように致します」

 伊吹は美哉と橘香に後ろで見ておいてほしい、と耳打ちする。その言葉に従い、二人はソファーから立ち上がり、伊吹の後ろへと控える。

「よし、じゃあ今から始めようか。
 僕の言動全てを断るんだ。いいね?」
感想 23

あなたにおすすめの小説

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?

ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。 それは——男子は女子より立場が弱い 学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。 拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。 「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」 協力者の鹿波だけは知っている。 大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。 勝利200%ラブコメ!? 既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

貞操逆転世界に転生してイチャイチャする話

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が自分の欲望のままに生きる話。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!