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第六章:続、Vtunerデビューの準備
忠言
藍子は多恵子達の様子を見に行き、燈子はイラストを完成させるべく別室で作業中の為、現在事務所には伊吹と美哉と橘香、そして智枝の四人しかいない。
伊吹が美哉と橘香に声を掛けて、それぞれ隣に座らせる。
「ご主人様、よろしいでしょうか?」
その様子を見て、智枝が伊吹へ真剣な表情で切り出した。
伊吹は三ノ宮家の人間しかいない今、美哉と橘香とイチャイチャしたいと思っていたところに水を差された形になったので、少しむすっとしながら頷いた。
「昨夜も今朝も、主従関係なく食卓を共にさせて頂きましたが、これは常からの事なのですか?」
(やっぱり引っ掛かってたのか)
伊吹は智枝が、美子とや京香と同じく、主従は食事を別にするべきだと思っている事を察する。
「そうだよ。それは僕が小さい頃から続けている事だから、今さら止める事は出来ないからね」
「しかし……」
伊吹を諫めようとしている智枝の言葉を遮って、伊吹が自分の想いを語り出す。
「僕は侍女であろうが執事であろうが、大切な家族として接したいと思っている。家族なら一緒に食事を摂るのが当たり前だし、話をする時は座って目を同じ高さに合わせるのが当然だと思っている。
智枝にだって、第三者がいない状況であればソファーに座ってほしいんだ。
いついかなる時も執事や侍女が畏まってたら、こっちだって疲れる。分かるでしょ?」
伊吹は自分の言葉を強調するように、美哉と橘香の肩を抱き寄せる。
「お言葉ながらご主人様。ご主人様はこれからもっと多くの従者の上に立たれるお立場です。今から人を使う事、人を従える事に慣れて頂かなければなりません。
従者が畏まるのは主を敬愛しておればこそ。馴れ合いになってはいけないのです」
伊吹の言葉に対し、智枝は聞く耳を持たぬと持論を押し付けて来る。伊吹としては、智枝の考え方もある意味正しいのだろうとは思うのだが、自分にそれを求められても困る。
人の上に立つも何も、自分はこの世界の事も碌に知らない十八歳だ。
この世界で育ったのなら何の不思議も疑問もなく、従者を当たり前のように使えたのかも知れないが、伊吹は前世一般庶民である。前世の常識が邪魔をして、すんなりと自分の立場を受け入れる事が出来ていないのだ。
「……じゃあ、智枝はいついかなる時でも僕に対して馴れ合ったり、甘えたり、抱き着いたり、家族のような触れ合いはしないんだね?」
「当然です。私はご主人様の生活をお支えする道具。道具に対する情は不要です」
伊吹は智枝の言葉を聞いて、前世世界で呼んでいた、あるWEB小説を思い出す。小説投稿サイトに投稿されていた、女性の願望を全て断る事を職業としている主人公の物語だ。
今回の場合は馴れ合いをしたいという願望を抱いているのは伊吹なので、お断りをするのは智枝になる。
「今から僕が言う事する事を全て拒否・否定してほしい。
執事として、僕の無茶な命令を断り、僕を窘める事が出来るのであれば智枝は完璧な従者だ。その時は僕も譲歩しよう。
けれど、僕の行動を拒否せず、智枝が受け入れてしまった時は、智枝が僕に譲歩するように。
どうかな? 智枝に僕の我が儘を諫める事が出来る?」
「私はご主人様に譲歩などと、そんな偉そうな事は申しません。もしも私が馴れ合ったり、甘えたり、抱き着いたりしてしまった時は、ご主人様のご意向に沿った形でお支えするように致します」
伊吹は美哉と橘香に後ろで見ておいてほしい、と耳打ちする。その言葉に従い、二人はソファーから立ち上がり、伊吹の後ろへと控える。
「よし、じゃあ今から始めようか。
僕の言動全てを断るんだ。いいね?」
伊吹が美哉と橘香に声を掛けて、それぞれ隣に座らせる。
「ご主人様、よろしいでしょうか?」
その様子を見て、智枝が伊吹へ真剣な表情で切り出した。
伊吹は三ノ宮家の人間しかいない今、美哉と橘香とイチャイチャしたいと思っていたところに水を差された形になったので、少しむすっとしながら頷いた。
「昨夜も今朝も、主従関係なく食卓を共にさせて頂きましたが、これは常からの事なのですか?」
(やっぱり引っ掛かってたのか)
伊吹は智枝が、美子とや京香と同じく、主従は食事を別にするべきだと思っている事を察する。
「そうだよ。それは僕が小さい頃から続けている事だから、今さら止める事は出来ないからね」
「しかし……」
伊吹を諫めようとしている智枝の言葉を遮って、伊吹が自分の想いを語り出す。
「僕は侍女であろうが執事であろうが、大切な家族として接したいと思っている。家族なら一緒に食事を摂るのが当たり前だし、話をする時は座って目を同じ高さに合わせるのが当然だと思っている。
智枝にだって、第三者がいない状況であればソファーに座ってほしいんだ。
いついかなる時も執事や侍女が畏まってたら、こっちだって疲れる。分かるでしょ?」
伊吹は自分の言葉を強調するように、美哉と橘香の肩を抱き寄せる。
「お言葉ながらご主人様。ご主人様はこれからもっと多くの従者の上に立たれるお立場です。今から人を使う事、人を従える事に慣れて頂かなければなりません。
従者が畏まるのは主を敬愛しておればこそ。馴れ合いになってはいけないのです」
伊吹の言葉に対し、智枝は聞く耳を持たぬと持論を押し付けて来る。伊吹としては、智枝の考え方もある意味正しいのだろうとは思うのだが、自分にそれを求められても困る。
人の上に立つも何も、自分はこの世界の事も碌に知らない十八歳だ。
この世界で育ったのなら何の不思議も疑問もなく、従者を当たり前のように使えたのかも知れないが、伊吹は前世一般庶民である。前世の常識が邪魔をして、すんなりと自分の立場を受け入れる事が出来ていないのだ。
「……じゃあ、智枝はいついかなる時でも僕に対して馴れ合ったり、甘えたり、抱き着いたり、家族のような触れ合いはしないんだね?」
「当然です。私はご主人様の生活をお支えする道具。道具に対する情は不要です」
伊吹は智枝の言葉を聞いて、前世世界で呼んでいた、あるWEB小説を思い出す。小説投稿サイトに投稿されていた、女性の願望を全て断る事を職業としている主人公の物語だ。
今回の場合は馴れ合いをしたいという願望を抱いているのは伊吹なので、お断りをするのは智枝になる。
「今から僕が言う事する事を全て拒否・否定してほしい。
執事として、僕の無茶な命令を断り、僕を窘める事が出来るのであれば智枝は完璧な従者だ。その時は僕も譲歩しよう。
けれど、僕の行動を拒否せず、智枝が受け入れてしまった時は、智枝が僕に譲歩するように。
どうかな? 智枝に僕の我が儘を諫める事が出来る?」
「私はご主人様に譲歩などと、そんな偉そうな事は申しません。もしも私が馴れ合ったり、甘えたり、抱き着いたりしてしまった時は、ご主人様のご意向に沿った形でお支えするように致します」
伊吹は美哉と橘香に後ろで見ておいてほしい、と耳打ちする。その言葉に従い、二人はソファーから立ち上がり、伊吹の後ろへと控える。
「よし、じゃあ今から始めようか。
僕の言動全てを断るんだ。いいね?」
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