転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界に彩りを

なつのさんち

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第八章:続、三ノ宮家と宮坂家

意外な申し出

「……藍子あいこさんと燈子とうこさんとの結婚、ですか」

「おや? もしかして二人から結婚について匂わせるような話をされた事はなかったかい?
 あの子らには自分達から積極的に動くように急かしてたんだけどねぇ」

 考えてみれば、伊吹いぶきは藍子と燈子の姉妹の事について、ほとんど知らない。あまり伊吹から聞かなかったし、向こうも積極的に話そうとはしていなかったように思う。
 藍子も燈子も、伊吹の愛情が美哉みや橘香きっかに向いている事を察していたので、控えていたのだ。

「お二人は僕の事を気遣ってくれていますからね」

「良い女だよ。宮坂の女としては頼りないけどね、もっと自分から売り込んでもらわないと」

 宮坂家に限らず、家を残す為には男を産み、育てなければならない。
 大日本皇国は古来より男子継承を基本とする国家で、現在の男性が生まれにくい状況であってはなおさら男性の確保に重きを置いている。

 伊吹は宮坂家みやさかけ三ノ宮家さんのみやけの分家筋であると、先日福乃ふくのから聞かされていた。
 しして母親の咲弥さくやは当然として、心乃春このはの名字も自分と同じく三ノ宮だった。
 つまり、自分の父親は三ノ宮家の人間ではないはずで、伊吹自身も三ノ宮家の直系には当たらないはずだ、と気付く。

「あの、これもこの世の常識だと言われてしまうのかも知れませんが、仮に僕と宮坂家の女性の間に男の子が生まれたとして、僕の血が混じってしまえば宮坂家の直系ではなくなるのでは?」

「問題ないよ。遡れば同じところに繋がるからね」

「遡るって、どこまでです?」

(やはり鋭いね、このお方は)

 福乃は伊吹の質問をはぐらかす為に、質問には答えず話題を変える。

「それにね、これは常識というよりも知ってる人間しか知らない事だけどね、人工授精でなく自然妊娠の場合、男児が生まれてくる確率は三万分の一じゃないんだよ」

 自然妊娠、つまり男女が性行為をして出来た受精卵からは、人工授精よりも男児が生まれる確率が高い。

「えっと、どれくらい違うんですか?」

「自然妊娠の場合は一対百だと言われてるよ。ただ、事例が少ないからハッキリとした数字ではないんだけどね」

 百人中、男児が生まれるのはたったの一人。
 それでも、人工授精よりも遙かに確率が高い。

「だから毎晩毎晩励んでもらわないとね、例え好きな女でなくともさ」

「福乃様」

 智枝ともえが福乃へ抗議するが、福乃は相手にしていない様子で続ける。

「残念だがこれが現実さ。
 家中の女の排卵周期を考慮して、旦那様のお相手は今日は誰と誰と誰で明日が誰と誰と誰。びっしりと予定が決まってんのさ。
 まぁそれを管理してたのは私なんだけどね」

 突然宮坂家の大奥事情を聞かされた伊吹。やっぱそういうのあんのね、という程度で特に驚きはしない。

「だから伊吹様が後ろの侍女さんにご執心なのは良い事でもあり、辛い事でもあるわね。妻が増えれば増えるほど触れ合う機会が少なくなるしね。
 まぁ今のうちに仲良くしときな、うちから一人でも娶ってくれるんなら順番なんて気にはしないさ」

「もう一度詳しく」

 伊吹にとって、とてつもない情報がもたらされたような気がして、反射的に福乃へ問い掛けてしまう。
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