転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界に彩りを

なつのさんち

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第八章:続、三ノ宮家と宮坂家

順番よりも大事な事


「詳しくったってそのままだよ。第一夫人との子供が先だなんて言わないから、今からでも好きなだけ子作りしなって言ってんのさ。
 そちらのお二人が先に男の子を身籠もってくれれば、藍子あいこ燈子とうこが身籠った男の子はこちらへ養子に出してくれるだろう?
 順番よりも、男の子を授かる事の方がよっぽど大事さね」

 伊吹いぶきは思わず美哉みや橘香きっかへ顔を向けると、二人は目をまん丸にして驚いているようだった。

「そうそう。それとね、うちからVividColorsヴィヴィッドカラーズへと派遣する秘書達も好きに抱いてくれて良いからね」


 福乃が帰った後、伊吹は美子よしこ京香きょうか智枝ともえ、そして美哉と橘香で福乃の申し出について話し合う事にした。

「三ノ宮家として、先ほどの話をどう受け止めれば良いのか教えてほしい」

 自分自身、当主としての教育は受けていないし、そもそも三ノ宮家の事を何も聞かされていない。三ノ宮家とはこういう家だ、という家訓のようなものも聞いた事がない。
 だからそこ、伊吹は心乃春と長い付き合いがあったのであろう美子と京香に正直に尋ねる事にした。

「……恐らくですが、福乃様の仰る事に嘘偽りはないと思います。
 彼女は宮坂家の奥事情を取り仕切っておられたお方。伊吹様から寄せられる宮坂家への信用を損なうような発言をされるとは思えません」

 美子の答えに、京香も頷いている。

「正直、今すぐにでも美哉と橘香を部屋へ連れ帰りたい。母親の前で言う事じゃないけど……」

「いえ、大変光栄な事です」

 京香も美子も、とても嬉しそうに二人を見ている。当の美哉と橘香は顔を真っ赤にし、俯いているが。

 伊吹は自分に対して毎朝あれだけの事をしておいて、今さらそんな反応をするんだなと思うが、伊吹のお務めと自分のお務めではまた違う話になるのだろうと思い直す。

「ただ、美哉と橘香は僕の妻となる人達と良い関係を築きたいと話してくれている。         
 その想いを無碍にはしたくない。だからこそ、今すぐ二人を抱きたいから宮坂家から第一夫人を選んだようかのように捉えられるような行動はしたくない」

 今すぐ美哉と橘香とセックスしたいから俺と婚約しろ。婚約に同意するな? よし、じゃあ今から二人を抱いてくるわ。
 これではいくら男性が希少な世界と言えども、伊吹は最低のクズになってしまう。

「まずは伊吹様が藍子様と燈子様とご結婚なさるおつもりがあるかどうかでは」
「もちろんお二人の意思を確認される必要もあると思います」

(今くらいは侍女としての発言をしてほしくないんだけど……)

 伊吹は美哉と橘香が、他人事のように藍子と燈子との結婚を語るのが嫌だと感じた。
 これは伊吹個人の問題ではなく、俺とお前達の問題なのだと、叫びたいほどもどかしく感じたが、今ここでそんな事を言っても仕方がない。
 それが彼女達二人が選んだ、侍女という職業なのだ。

(もう少し、もう少し我慢して、寝室で問い詰めてやればいい)

 そう思う事で、伊吹は燃えたぎる想いを抑えようと努力していた。
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