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第九章:事業拡大
DVDがやって来たヤァ! ヤァ! ヤァ!
自分以外にも転生者がいた、という伊吹の発言に、何とも言えない空気感が事務所に漂う。
伊吹と出会ったばかりの紫乃、翠、琥珀は何と反応すれば良いか分からず藍子と燈子を見つめる。
見つめられる二人にしても、伊吹がどこまで本気で言っているのか測りかねているので、何も言えないのだ。
智枝は主人に対して不敬な反応をしないように、と無表情を決め込んでいる。
事務所内でいつも通りなのは美子だけだ。
「とりあえずDVDを確認しよう」
不織布ケースに入れられたDVDが数十、いや数百はある。一枚一枚に曲の題名が明記されており、一枚につき一曲吹き込まれているのだと伊吹は理解する。
「やべぇ、手が震えて上手く掴めない」
ケースのフィルム同士がくっついて剥がれにくかったり、無理に剥がしてしまって破れたりする。
段ボールは傷んでいないが、中に入れられていたDVDは結構古いものであると予想される。
伊吹はDVDが破損するのを恐れ、選ぶのを諦めてソファーに沈むように座り込む。
「智枝、何でもいいからこの中から一枚選んでパソコンで再生して」
「分かりました」
伊吹は期待と不安で身体の震えが止まらない。その様子を心配した燈子が、伊吹の腕を取ってさすっている。
画面に映し出されたのはギターを抱えて座る人物。顔は映らない画角になっており、手元が確認しやすいように撮ったと思われる。
ずちゃちゃーん、ずちゃちゃーん、とギターを掻き鳴らしながら曲が始まる。
「男性!?」
「英語!?」
「何この曲!?」
「すごい……」
「このお声は……」
皆の声は、伊吹には届かなかった。身体全体でリズムを取り、そして口ずさむ。そして歌いながら燈子を抱き締める。
「ちょっと耳元で歌わないで、あっ……」
歓喜、懐古、郷愁などの感情が爆発した伊吹は、勢いのまま燈子の唇を奪う。
そしてその勢いのまま、隣に座っていた藍子にもキスをして、また画面を見ながら歌い始める。
その表情はとても晴れやかで、嬉しそうで、懐かしそうで、それでもどこか寂し気な、そんな少年のような顔をしている。
「こんな宝物、本当に貰っていいんだろうか。世界を変えてしまうぞ……」
伊吹が美子に送り主を確認するようお願いするが、そもそも段ボールには配送伝票が貼り付けられていない。
誰かが直接VividColorsのあるこのビルへ持って来たという事になる。
「こんなとんでもないものの著作権、貰っていいんだろか。これだけで遊園地丸ごと作ってチンパンジーを飼える以上の儲けが手に入るぞ」
誰もツッコむ知識のある人物がいない為、あえてここで説明すると、伊吹が想像しているのはマイケル・ジャクソンであり、マイケル・ジャクソンはビートルズの著作権を持っていたのではなく版権を持っていた時期がある、というのが正確な情報となる。
続けて適当にDVDを入れ替えて曲を流すように言われている智枝以外、反応らしい反応を見せない。
伊吹が画面の中の男性が歌うのに合わせて、同じように歌ってみせるのを見て、皆が驚愕しているからだ。
伊吹はこの曲を知っている。誰とも知らない人間が送ってきた、聞いた事のない曲調の歌を。
それはつまり、伊吹が本当に並行世界の記憶を持っており、そして画面の中で弾き語りしている男性もまた、並行世界の記憶を持っている人物である事を証明しているのだ。
伊吹と出会ったばかりの紫乃、翠、琥珀は何と反応すれば良いか分からず藍子と燈子を見つめる。
見つめられる二人にしても、伊吹がどこまで本気で言っているのか測りかねているので、何も言えないのだ。
智枝は主人に対して不敬な反応をしないように、と無表情を決め込んでいる。
事務所内でいつも通りなのは美子だけだ。
「とりあえずDVDを確認しよう」
不織布ケースに入れられたDVDが数十、いや数百はある。一枚一枚に曲の題名が明記されており、一枚につき一曲吹き込まれているのだと伊吹は理解する。
「やべぇ、手が震えて上手く掴めない」
ケースのフィルム同士がくっついて剥がれにくかったり、無理に剥がしてしまって破れたりする。
段ボールは傷んでいないが、中に入れられていたDVDは結構古いものであると予想される。
伊吹はDVDが破損するのを恐れ、選ぶのを諦めてソファーに沈むように座り込む。
「智枝、何でもいいからこの中から一枚選んでパソコンで再生して」
「分かりました」
伊吹は期待と不安で身体の震えが止まらない。その様子を心配した燈子が、伊吹の腕を取ってさすっている。
画面に映し出されたのはギターを抱えて座る人物。顔は映らない画角になっており、手元が確認しやすいように撮ったと思われる。
ずちゃちゃーん、ずちゃちゃーん、とギターを掻き鳴らしながら曲が始まる。
「男性!?」
「英語!?」
「何この曲!?」
「すごい……」
「このお声は……」
皆の声は、伊吹には届かなかった。身体全体でリズムを取り、そして口ずさむ。そして歌いながら燈子を抱き締める。
「ちょっと耳元で歌わないで、あっ……」
歓喜、懐古、郷愁などの感情が爆発した伊吹は、勢いのまま燈子の唇を奪う。
そしてその勢いのまま、隣に座っていた藍子にもキスをして、また画面を見ながら歌い始める。
その表情はとても晴れやかで、嬉しそうで、懐かしそうで、それでもどこか寂し気な、そんな少年のような顔をしている。
「こんな宝物、本当に貰っていいんだろうか。世界を変えてしまうぞ……」
伊吹が美子に送り主を確認するようお願いするが、そもそも段ボールには配送伝票が貼り付けられていない。
誰かが直接VividColorsのあるこのビルへ持って来たという事になる。
「こんなとんでもないものの著作権、貰っていいんだろか。これだけで遊園地丸ごと作ってチンパンジーを飼える以上の儲けが手に入るぞ」
誰もツッコむ知識のある人物がいない為、あえてここで説明すると、伊吹が想像しているのはマイケル・ジャクソンであり、マイケル・ジャクソンはビートルズの著作権を持っていたのではなく版権を持っていた時期がある、というのが正確な情報となる。
続けて適当にDVDを入れ替えて曲を流すように言われている智枝以外、反応らしい反応を見せない。
伊吹が画面の中の男性が歌うのに合わせて、同じように歌ってみせるのを見て、皆が驚愕しているからだ。
伊吹はこの曲を知っている。誰とも知らない人間が送ってきた、聞いた事のない曲調の歌を。
それはつまり、伊吹が本当に並行世界の記憶を持っており、そして画面の中で弾き語りしている男性もまた、並行世界の記憶を持っている人物である事を証明しているのだ。
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