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第九章:事業拡大
智枝の本当の所属について
伊吹の腕の中、美子は感激のあまり嗚咽を漏らしそうになるが、何とか堪えている。
「あとで京香さんにも日々の感謝を伝えないとね」
美子がよろけないようゆっくりと身体を離し、伊吹はパソコンの前で待機している智枝へと向き直る。
「さて、智枝」
「……はい、ご主人様」
呼ばれた智枝は背筋を伸ばし、伊吹へと向き直る。
「お母様の遺言に触れる可能性がある事を考慮して、智枝に聞く。
現段階で僕に伝えられる事はある?」
智枝が伊吹へ自己紹介した際、男性保護省へ出向している身だと説明した。
今この場で智枝の本来の所属を聞き出すと、咲弥が隠しておきたい事実が明らかになってしまう可能性がある。
例えば、智枝が伊吹の父親の関係者である、などだ。
その場合、三ノ宮家の中での智枝の立場が揺らいでしまう。スパイと言えなくもない。
だからあえて伊吹は、智枝から根掘り葉掘り聞き出すのではなく、自ら開示出来る情報はあるか、と聞く事にした。
「ご主人様の精液提供が初めてなされた際、遺伝子検査が行われました。これは同じ父親を持つ男性と女性との間での人工授精が行われないように、全ての精液に対して必ず検査される項目となります」
そこで一度言葉を止めて、伊吹の様子を窺う智枝。伊吹は理解している事を示す為に頷いてみせる。
「その際に、三ノ宮家から男性保護省に対して新しい執事の派遣依頼も出されました。
今までは心乃春様。ご主人様のおばあ様が執事として登録されておりましたが、お亡くなりになりましたので新しい執事が必要になった訳です。
ここで問題になったのが、誰がご主人様の執事をお務めするか。男性保護省は三ノ宮家襲撃事件により信用を著しく低下させております。
そこで、男性保護省は私に対して出向要請を出しました。遺伝子検査の結果で、ご主人様が私と血縁関係があると分かった為です。
ちなみに、私はご主人様の従姉に当たります。そして、母方に叔父がおりますので、ご主人様の間に男児をもうける事も期待されております」
そして、智枝はわざとらしく恥ずかしそうに両手で顔を覆う。話はここで終わり、伊吹はそういう意味で受け取った。
智枝は明言していないが、伊吹の父親と智枝の母親が兄弟姉妹の関係という事だろうと考える。
そしてすでに亡くなっているのであれば、隠す必要もない。恐らく伊吹の父親は生きている。
さらに、咲弥の遺言を鑑みると、いずれ会う機会があるという事も分かっている。
伊吹は今はそれだけで良しとする事にした。
「そうか、分かった。教えてくれてありがとう。
それと、美哉も橘香も二日連続はきついだろうから、今夜は智枝一人に相手をしてもらおうと思う。
男児が期待されてるみたいだから、よろしく頼むよ」
「分かりました。この身が砕けようともお務めを全う致します」
「えっ!? あたしのあーちゃんは?」
「とこちゃん、しーっ!」
「あとで京香さんにも日々の感謝を伝えないとね」
美子がよろけないようゆっくりと身体を離し、伊吹はパソコンの前で待機している智枝へと向き直る。
「さて、智枝」
「……はい、ご主人様」
呼ばれた智枝は背筋を伸ばし、伊吹へと向き直る。
「お母様の遺言に触れる可能性がある事を考慮して、智枝に聞く。
現段階で僕に伝えられる事はある?」
智枝が伊吹へ自己紹介した際、男性保護省へ出向している身だと説明した。
今この場で智枝の本来の所属を聞き出すと、咲弥が隠しておきたい事実が明らかになってしまう可能性がある。
例えば、智枝が伊吹の父親の関係者である、などだ。
その場合、三ノ宮家の中での智枝の立場が揺らいでしまう。スパイと言えなくもない。
だからあえて伊吹は、智枝から根掘り葉掘り聞き出すのではなく、自ら開示出来る情報はあるか、と聞く事にした。
「ご主人様の精液提供が初めてなされた際、遺伝子検査が行われました。これは同じ父親を持つ男性と女性との間での人工授精が行われないように、全ての精液に対して必ず検査される項目となります」
そこで一度言葉を止めて、伊吹の様子を窺う智枝。伊吹は理解している事を示す為に頷いてみせる。
「その際に、三ノ宮家から男性保護省に対して新しい執事の派遣依頼も出されました。
今までは心乃春様。ご主人様のおばあ様が執事として登録されておりましたが、お亡くなりになりましたので新しい執事が必要になった訳です。
ここで問題になったのが、誰がご主人様の執事をお務めするか。男性保護省は三ノ宮家襲撃事件により信用を著しく低下させております。
そこで、男性保護省は私に対して出向要請を出しました。遺伝子検査の結果で、ご主人様が私と血縁関係があると分かった為です。
ちなみに、私はご主人様の従姉に当たります。そして、母方に叔父がおりますので、ご主人様の間に男児をもうける事も期待されております」
そして、智枝はわざとらしく恥ずかしそうに両手で顔を覆う。話はここで終わり、伊吹はそういう意味で受け取った。
智枝は明言していないが、伊吹の父親と智枝の母親が兄弟姉妹の関係という事だろうと考える。
そしてすでに亡くなっているのであれば、隠す必要もない。恐らく伊吹の父親は生きている。
さらに、咲弥の遺言を鑑みると、いずれ会う機会があるという事も分かっている。
伊吹は今はそれだけで良しとする事にした。
「そうか、分かった。教えてくれてありがとう。
それと、美哉も橘香も二日連続はきついだろうから、今夜は智枝一人に相手をしてもらおうと思う。
男児が期待されてるみたいだから、よろしく頼むよ」
「分かりました。この身が砕けようともお務めを全う致します」
「えっ!? あたしのあーちゃんは?」
「とこちゃん、しーっ!」
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