転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界に彩りを

なつのさんち

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第九章:事業拡大

くじ引き

「よし、じゃあ引くよ」

 ある程度のくじが出来がり、適当な箱に入れてかき混ぜて、伊吹いぶき自らが引いた。

「なになに? んんっ。

 愛する君の為ならば、何だってするさ!!」

 伊吹はまるで舞台役者であるかのように、声を張って読み上げる。
 自分が考えた文章がこうも感情を込めて読み上げられると思っていなかった琥珀こはくが、意識を飛ばしかける。

 そんな琥珀の様子を見て、伊吹は気を良くしてしまう。

「じゃ、次ね。

 こんなに濡らして、何を期待してたんだい?」

「………………っ!?
 ちょちょちょちょっと! 何で私の目を見ながら言うのよ!?」

 羞恥に悶えていた燈子だが、我に返って伊吹に食って掛かる。

「だって、とこちゃんの名前が書いてあったからさぁ」

 伊吹が笑いながら燈子にくじを見せる。
 そこには、燈子の目を見て全力で、と指示書きされている。

美哉みやちゃん? 橘香きっかちゃん?」

 燈子が二人のうちどちらかの犯行だとあたりを付けるが、本人達は素知らぬ顔で次のくじが引かれるのを待機している。

「はいはーい、次行きますねー。

 お姉ちゃん、いつまで寝てるの?
 起きて! 遅刻しちゃうよ!」

「ぐはっ!!」

 参加せず、伊吹の後ろに控えていた智枝ともえが被弾する。
 強がった割に手も足も出なかった先日の夜の事をからかわれているのだ。

「お姉ちゃん、起きないとイタズラしちゃうよ?」

「あっあっあっ……」

 伊吹の追加の即興による追撃を受け、崩れ落ちる智枝。
 紫乃しのみどり、琥珀は伊吹がとんでもないソフトウェアを作り出そうとしている事にようやく気付き、どんな場所でどう使われるかをよくよく考えた上で規約を作らなければならないと、認識を改める。

「どんどん行くよー。

 おじいさんとおばあさんになっても一緒だよ」

 先ほどの弟攻撃よりは優しく、ほんわかした雰囲気の文章。
 男性が少なくなってしまったこの世界でも、乙女チックな女性の夢が叶うという可能性を示せた。

「とっても素敵だわ!」

 藍子あいこがパチパチと手を鳴らして喜んでいる。
 決して全ての女性が、伊吹の声を使ってイケない事をしようとする訳ではないという事も示された。

「今のはあーちゃんか。次は誰かな?

 やっと見つけた。ここにいたんだね、僕のお姫様」

 翠が胸の前で手を組み、キラキラした表情で伊吹を見つめる。
 この文章を書いたのが翠だと分かり、伊吹が手を差し出す。
 翠が差し出された手を取ったので、伊吹は膝の上へと座らせる。

「あーあ、翠ねぇ終わったわね」

 燈子の呟きを聞こえない振りをして躱して、伊吹は次のくじを引く。

「何だよこれ……。んんんっ。

 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

「ぴぃ~~~~~~!!」

 耳元で伊吹の吐息を食らった翠が飛び上がり、伊吹の鼻に頭をぶつけた。

「いっつ……」

「すみません、すみません、すみません!」

 頭を押さえながら謝る翠と、鼻を押さえながら苦笑する伊吹。

「罰が当たったのよ、全く」

 そんな二人をジトッとした目で見る燈子。

「奥様の嫉妬」
「奥様怖い」

「違う!」

 美哉と橘香がからかい、そして燈子が否定する。

「じゃあ次はとこちゃんが膝の上ね。はいはい座った座った。
 さて、何が出るかなぁっと。



 曲者くせものじゃ! 出合え出合え~~~!!」

「何でそうなるのよ!!」
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