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第九章:事業拡大
VCうたかたラボ
『あんどうかたる』と『あんどうた』を開発する会社が設立された。
デジタルで楽器の音を合成するDTMという技術の最先端を走っている企業、ララファと宮坂家が一億円ずつ出資して会社を立ち上げる。
そしてその会社からVividColorsへ新規発行株式を無償譲渡し、持ち株比率がそれぞれ三十三パーセントずつとなった。
VividColorsへ株式が無償譲渡された理由は、伊吹の声を録音するからだ。これに対しての正当な報酬額が決められない為、新規発行株式を譲渡する事となった。
この事から、技術確立後の特許権については会社名義で申請する事で合意された。一度技術を確立すれば、伊吹以外の声を収録して多角的に事業展開する事が出来る。
社名は『VCうたかたラボ』とし、設置場所はVividColorsが一棟借りしているビルの五階になった。
伊吹の声の収録は継続的に行われ、試行錯誤しながら何度も取り直す事が予想された為、伊吹のいるビルに設置するのが一番良いとの判断だ。
社長は伊吹で、宮坂家側の役員は福乃、そしてララファ側にも役員がいるが、基本的にララファは技術提供と技術確立後の販売がメインになるので、伊吹のいるビルに顔を出す事はない。
『あんどうかたる』改め『安藤語流』の開発責任者は岡野菊、そして『あんどうた』改め『&uta』の開発責任者は岡野の娘の岡野美羽が選ばれた。
ちなみに、『安藤語流』は当て字として、『あんどうた』が何故『&uta』と改められたかを説明すると、既存のDTMソフトの追加機能として『&uta』がオプション販売される事となるからだ。
伊吹の声を収録した歌声データベースが『&uta』であり、そのデータベースを活用する為には作曲ソフトが必要なのだ。
「貴方様が安藤家の……。いつもお世話になっております」
無表情な顔、無感動に聞こえる声。美羽は伊吹に対して礼儀正しく頭を下げるが、あまり人間味が感じられない印象だ。
「いえ、こちらこそありがとうございます。
お二人にはお力をお借りしますので、気楽に接してもらえれば嬉しいです」
「第一段階として、社長が仰っていたようにすでにある音源をぶつ切りにして合成して行く事で、どの言葉、どの単語がパーツとして使いやすいかを調べます。
そしてある程度この言葉だと分かった後、第二段階として改めて社長の声を収録させて頂きます。
その後、開発班を『安藤語流』と『&uta』へ分け、話し言葉と歌声それぞれに特化した開発を進めて行きます。
何度も何度も社長の声を録音させて頂く事になります。よろしいですね?」
菊の説明を受けて、伊吹は問題ないと頷く。
「いずれはお兄様がおられないくともアバターの動きと『安藤語流』を組み合わせて生配信が出来るようになるのですわね」
今日も乃絵流のコスプレで身を固めたVCスタジオの技術責任者、多恵子が伊吹の手を取る。
「……社長の妹様ですか?」
同じく無表情のまま、美羽がふわふわドレス姿の多恵子を見つめて質問する。
「いや、VividColorsの子会社であるVCスタジオの技術責任者、河本多恵子さんです」
「お兄様! ワタクシは乃絵琉ですわ! 乃絵琉なのですわ!!」
伊吹の腕にしがみ付いて喚く多恵子を、分かった分かったと宥める伊吹。いつもありがとうなと軽く抱き締められ、多恵子はようやく落ち着きを取り戻す。
そんな二人のやり取りを見ていた美羽の目がわずかに見開いた。
(あー、乃絵流二人目……?)
伊吹に話し掛ける機会を窺っていた燈子が、そんな美羽の様子を眺めていた。
デジタルで楽器の音を合成するDTMという技術の最先端を走っている企業、ララファと宮坂家が一億円ずつ出資して会社を立ち上げる。
そしてその会社からVividColorsへ新規発行株式を無償譲渡し、持ち株比率がそれぞれ三十三パーセントずつとなった。
VividColorsへ株式が無償譲渡された理由は、伊吹の声を録音するからだ。これに対しての正当な報酬額が決められない為、新規発行株式を譲渡する事となった。
この事から、技術確立後の特許権については会社名義で申請する事で合意された。一度技術を確立すれば、伊吹以外の声を収録して多角的に事業展開する事が出来る。
社名は『VCうたかたラボ』とし、設置場所はVividColorsが一棟借りしているビルの五階になった。
伊吹の声の収録は継続的に行われ、試行錯誤しながら何度も取り直す事が予想された為、伊吹のいるビルに設置するのが一番良いとの判断だ。
社長は伊吹で、宮坂家側の役員は福乃、そしてララファ側にも役員がいるが、基本的にララファは技術提供と技術確立後の販売がメインになるので、伊吹のいるビルに顔を出す事はない。
『あんどうかたる』改め『安藤語流』の開発責任者は岡野菊、そして『あんどうた』改め『&uta』の開発責任者は岡野の娘の岡野美羽が選ばれた。
ちなみに、『安藤語流』は当て字として、『あんどうた』が何故『&uta』と改められたかを説明すると、既存のDTMソフトの追加機能として『&uta』がオプション販売される事となるからだ。
伊吹の声を収録した歌声データベースが『&uta』であり、そのデータベースを活用する為には作曲ソフトが必要なのだ。
「貴方様が安藤家の……。いつもお世話になっております」
無表情な顔、無感動に聞こえる声。美羽は伊吹に対して礼儀正しく頭を下げるが、あまり人間味が感じられない印象だ。
「いえ、こちらこそありがとうございます。
お二人にはお力をお借りしますので、気楽に接してもらえれば嬉しいです」
「第一段階として、社長が仰っていたようにすでにある音源をぶつ切りにして合成して行く事で、どの言葉、どの単語がパーツとして使いやすいかを調べます。
そしてある程度この言葉だと分かった後、第二段階として改めて社長の声を収録させて頂きます。
その後、開発班を『安藤語流』と『&uta』へ分け、話し言葉と歌声それぞれに特化した開発を進めて行きます。
何度も何度も社長の声を録音させて頂く事になります。よろしいですね?」
菊の説明を受けて、伊吹は問題ないと頷く。
「いずれはお兄様がおられないくともアバターの動きと『安藤語流』を組み合わせて生配信が出来るようになるのですわね」
今日も乃絵流のコスプレで身を固めたVCスタジオの技術責任者、多恵子が伊吹の手を取る。
「……社長の妹様ですか?」
同じく無表情のまま、美羽がふわふわドレス姿の多恵子を見つめて質問する。
「いや、VividColorsの子会社であるVCスタジオの技術責任者、河本多恵子さんです」
「お兄様! ワタクシは乃絵琉ですわ! 乃絵琉なのですわ!!」
伊吹の腕にしがみ付いて喚く多恵子を、分かった分かったと宥める伊吹。いつもありがとうなと軽く抱き締められ、多恵子はようやく落ち着きを取り戻す。
そんな二人のやり取りを見ていた美羽の目がわずかに見開いた。
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