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第十二章:安藤真智デビュー
真智と侍女達
マチルダの撮影が始まる頃、伊吹が様子を見にスタジオ入りした。
「おー、いいじゃん」
伊吹自身の撮影は予定されていないので、紺色の着流し姿だ。秋も深まってきたが、室内なので寒いという事はない。
「父さん、ボクの撮影を見に来てくれたの? うれしー」
翔太に成り切る真智を演じる真智、という難しい世界観になっているが、伊吹はマチルダに合わせて声を掛ける。
「真智は男装姿も良く似合うな。男塚歌劇団のトップスターになれるんじゃないか?」
この世界にも、女性のみで構成された歌劇団が存在し、男役のトップスターは女性達の憧れの的となっている。
「ボクは世界中の子猫ちゃん達を楽しませてあげないといけないからね、そんなヒマはないかなー」
悪戯っ子のような表情を浮かべるマチルダを、カメラマンがパシャパシャと写真に収めていく。何枚撮ったか分からなくなった頃、撮った写真のチェックする事になった。
「あ、拡大してうちの瞳の中を確認して! イブイブが写り込んでるかもやし」
YoungNatterへ投稿する為、投稿画像を見た者が拡大して隅々まで確認する可能性がある。
マチルダの瞳など、思ってもみない場所から副社長の素顔が流出するのは避けなければならない。
「今一つ一つ確認するのは大変だから、それはVCスタジオの編集担当に任せよう。
もし写ってたらボツにするか、レタッチ……、修正? してくれるだろうし」
二人のやり取りを聞いていたVCスタジオの技術者が、副社長のお姿を消すなんてとんでもないと恐縮するが、それよりもお姿を見られない事の方が大切であると侍女一同が説得した。
真智チャンネルの関係者については、信頼出来る者しか選んでいない為、伊吹もついついドット絵のお面を着けずに顔を出してしまったのだ。
「ごめんね、僕が見学に来ちゃったせいで」
「いえいえとんでもございません!」
さらに恐縮する技術者達を宥めつつ、伊吹はマチルダの次の衣装を眺める。
白いブラウスに水色のエプロンスカートを合わせ、ロングヘアーの金髪のウィッグをツインテールにしている。
「よくここまで再現出来たなぁ」
侍女達の働きはもちろんではあるが、マチルダが前世でコミケに参加する程度の画力を持ち合わせていた事が大きい。マチルダが絵で描いて伝え、侍女達が見て再現したのだ。
前世で同人誌を配布していた事もあり、マチルダは漫画もイラストも上手に描く事が出来きる。マチルダは伊吹の衣装も考案しているので、侍女達も喜んでマチルダに協力している。
そして出来上がった衣装を見て、伊吹が笑顔を見せる。侍女達はマチルダを伊吹の本当の妹であるかのように思い始めていた。
マチルダは前世のアニメのヒロインのコスプレ姿で写真を撮られている。
(委員長と仲良くなるきっかけになったシーンってどんな表情やったっけ、無表情かな)
パシャパシャと撮られつつ、前世の記憶を頼りに色んなポーズを取るマチルダ。
そして思い出したように伊吹の方へ指を差し、腰に手を当てる。
「あんたバカぁ!?」
瞬間、その場が凍り付いたように静まり返り、そして一斉にマチルダに対して殺気が向けられる。
そして全ての女性が怒りの表情を浮かべてマチルダへと詰め掛けた。
「ひぃっ……」
突然の事に驚き、恐怖したマチルダの腰が抜け、その場にへたり込んでしまう。
「ちょっと待って! 聞いてくれ!!
これは物語の中のセリフなんだ、僕の事を罵った訳じゃないんだ!」
今にもマチルダに掴み掛りそうになっていた侍女達を止め、伊吹が説明する事で何とかその場は収まった。
「失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した……」
「それはまた別のアニメだろ……」
伊吹はポロポロと涙を流すマチルダを、抱き締めて慰めてやるのだった。
「おー、いいじゃん」
伊吹自身の撮影は予定されていないので、紺色の着流し姿だ。秋も深まってきたが、室内なので寒いという事はない。
「父さん、ボクの撮影を見に来てくれたの? うれしー」
翔太に成り切る真智を演じる真智、という難しい世界観になっているが、伊吹はマチルダに合わせて声を掛ける。
「真智は男装姿も良く似合うな。男塚歌劇団のトップスターになれるんじゃないか?」
この世界にも、女性のみで構成された歌劇団が存在し、男役のトップスターは女性達の憧れの的となっている。
「ボクは世界中の子猫ちゃん達を楽しませてあげないといけないからね、そんなヒマはないかなー」
悪戯っ子のような表情を浮かべるマチルダを、カメラマンがパシャパシャと写真に収めていく。何枚撮ったか分からなくなった頃、撮った写真のチェックする事になった。
「あ、拡大してうちの瞳の中を確認して! イブイブが写り込んでるかもやし」
YoungNatterへ投稿する為、投稿画像を見た者が拡大して隅々まで確認する可能性がある。
マチルダの瞳など、思ってもみない場所から副社長の素顔が流出するのは避けなければならない。
「今一つ一つ確認するのは大変だから、それはVCスタジオの編集担当に任せよう。
もし写ってたらボツにするか、レタッチ……、修正? してくれるだろうし」
二人のやり取りを聞いていたVCスタジオの技術者が、副社長のお姿を消すなんてとんでもないと恐縮するが、それよりもお姿を見られない事の方が大切であると侍女一同が説得した。
真智チャンネルの関係者については、信頼出来る者しか選んでいない為、伊吹もついついドット絵のお面を着けずに顔を出してしまったのだ。
「ごめんね、僕が見学に来ちゃったせいで」
「いえいえとんでもございません!」
さらに恐縮する技術者達を宥めつつ、伊吹はマチルダの次の衣装を眺める。
白いブラウスに水色のエプロンスカートを合わせ、ロングヘアーの金髪のウィッグをツインテールにしている。
「よくここまで再現出来たなぁ」
侍女達の働きはもちろんではあるが、マチルダが前世でコミケに参加する程度の画力を持ち合わせていた事が大きい。マチルダが絵で描いて伝え、侍女達が見て再現したのだ。
前世で同人誌を配布していた事もあり、マチルダは漫画もイラストも上手に描く事が出来きる。マチルダは伊吹の衣装も考案しているので、侍女達も喜んでマチルダに協力している。
そして出来上がった衣装を見て、伊吹が笑顔を見せる。侍女達はマチルダを伊吹の本当の妹であるかのように思い始めていた。
マチルダは前世のアニメのヒロインのコスプレ姿で写真を撮られている。
(委員長と仲良くなるきっかけになったシーンってどんな表情やったっけ、無表情かな)
パシャパシャと撮られつつ、前世の記憶を頼りに色んなポーズを取るマチルダ。
そして思い出したように伊吹の方へ指を差し、腰に手を当てる。
「あんたバカぁ!?」
瞬間、その場が凍り付いたように静まり返り、そして一斉にマチルダに対して殺気が向けられる。
そして全ての女性が怒りの表情を浮かべてマチルダへと詰め掛けた。
「ひぃっ……」
突然の事に驚き、恐怖したマチルダの腰が抜け、その場にへたり込んでしまう。
「ちょっと待って! 聞いてくれ!!
これは物語の中のセリフなんだ、僕の事を罵った訳じゃないんだ!」
今にもマチルダに掴み掛りそうになっていた侍女達を止め、伊吹が説明する事で何とかその場は収まった。
「失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した……」
「それはまた別のアニメだろ……」
伊吹はポロポロと涙を流すマチルダを、抱き締めて慰めてやるのだった。
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