転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界に彩りを

なつのさんち

文字の大きさ
217 / 243
第十五章:結婚式

結婚の儀

「花嫁様方のご用意が整いましてございます」

 皇宮内に勤める侍女が、襖の外から声を掛ける。智枝ともえが襖を開けると、そこには煌びやかな十二単で着飾った藍子あいこ燈子とうこが今にも倒れそうな表情で立っていた。

「すごく綺麗だけど、大丈夫?」

 伊吹は二人の表情に気付いて声を掛ける。二人とも長い黒髪のカツラを被っており、とても重そうに見える。

「わわわ私のお衣装がこここ皇后陛下のごごごご結婚のぎぎぎ儀」
「わわわ私のお衣装はこここ皇太后陛下のののののの」

「お、落ち着いて二人とも、とりあえず座ったら?」

「いえ、一度お座りになると再び立ち上がられるのが大変です。
 すでに式場のご準備が整っているようなので、このままお向かい下さい」

 智枝が伊吹いぶきへそう伝えると、二人を案内して来た侍女が頷いた。
 伊吹が立ち上がり、侍女の案内に続いて歩く。その後ろを藍子と燈子がゆっくりと慎重に歩く。衣装が重いのもあるが、二人は衣装の意味と価値と歴史の重みを感じ、思うように歩けないでいる。
 そのさらに後ろから、賢一けんいちあかねが続く。智枝は最後尾で見守っている。

 式場へ着くと、白い斎服さいふくの上に白い束帯そくたいを纏い、烏帽子を被った武三たけぞうが巫女装束の女性達と共に待っていた。
 侍女の誘導に従い、伊吹を中心として右に藍子、左に燈子の順番で高さのある木の椅子へと座る。
 三人の後方に参列者用の椅子が用意されており、そちらに賢一と茜、そして智枝が座る。参列者が少ないが、皇宮内で行われる儀式の為、仕方がない。

「それでは始めさせて頂きます」

 武三が式場奥の祭壇に一礼をした後、祭壇の右手にある御簾に向かっても一礼をした。それを不思議に思った伊吹がそちらを見ると、御簾の向こうに誰かが座っているのが見えた。伊吹は武三に倣って祭壇と御簾に一礼をする。

 武三が大幣おおぬさをバサッバサッと振り、伊吹達の穢れを払う。その後、巫女から受け取ったお膳を祭壇へ捧げた。

 武三が祝詞を読み上げ、八百万の神々へ伊吹と藍子と燈子の結婚を報告する。

 続いて三献の儀。
 小の杯に巫女が御神酒を注ぎ、伊吹が口を付け、藍子が口を付け、また伊吹が口を付け、燈子が口を付けるという順番で飲み交わす。
 中の杯は藍子が口を付け、伊吹が口を付け、燈子が口を付け、伊吹が口を付けるという順番で飲み交わす。
 大の杯は、また小の杯と同じ順番で飲み交わす。

 武三から伊吹達へ誓詞が渡される。本文は武三が読み上げるので、誓詞に書かれた通りに名前だけ自分で言うように説明を受ける。
 伊吹の両側から藍子と燈子が誓詞に手を添える。

「今日の良き日に、皇国大神宮の大御前において、

 『……伊吹いぶき
 『宮坂みやさか藍子あいこ
 『宮坂みやさか燈子とうこ

 以上、一名の夫と二名の妻が結婚の儀を執り行います。
 今後はご神徳のもと、相和し、相敬い、苦楽を共にし、明るく温かい生活を営み、子孫繁栄のために勤め、終生変わらぬことをお誓い致します。
 何卒、幾久しく始祖たる神々のご守護を賜りますようお願い申し上げます」

 誓詞を武三へ返し、結婚指輪の交換へ移る。
 巫女が持って来た結婚指輪を伊吹が受け取り、まず藍子の左手薬指へと通す。続いて巫女から燈子の結婚指輪を受け取り、燈子の左手薬指へ通す。
 そして藍子が伊吹の結婚指輪を巫女から受け取り、伊吹の左手薬指へ通す。燈子が伊吹の結婚指輪に触れ、指輪交換が終わる。

 指輪の交換が終わり、続いて玉串を祭壇へ捧げる玉串奉奠たまぐしほうてんへ移る。
 武三が伊吹、藍子、燈子の順番で玉串を手渡し、それぞれが受け取る。祭壇へ歩み寄り、祭壇へお辞儀をしてから目を閉じる。幸せな家庭が築けますように、子宝に恵まれますように、伊吹のような強い男の子をもうける事が出来ますように、などの祈念を玉串に込め、玉串案たまぐしあんと呼ばれる台へと捧げる。
 一歩下がり、二礼二拍一礼をして、三人は元いた席へと戻った。

 続いて親族盃の儀へ移る。
 巫女が賢一、茜、智枝に杯を渡し、御神酒を注ぐ。巫女の一人が杯と御神酒を持って式場を出て行く。
 武三の合図で参列者が一斉に杯を飲み干す。伊吹は御簾の向こう側の影が動いたのが見えた。

 親族盃の儀が終わり、武三が祭壇のお膳を下げて、巫女へ手渡す。
 武三が一同に起立するように声を掛けてから祭壇へと向き直り、結婚の儀が滞りなく執り行われた事を報告し、一礼する。そして御簾へと向き直り、もう一度一礼する。
 武三の一礼に合わせて、全員が祭壇へと一礼し、御簾へも一礼をする。

「これにて無事、伊吹様、藍子様と燈子様の結婚の儀が執り行われました。始祖たる神々もお慶びの事と存じます。

 伊吹様はこちらへどうぞ」

 武三が伊吹のみを指名し、祭壇の方へ来るよう呼びかける。先ほど式の途中で式場を退出した巫女の元へ伊吹を誘う。

「皆様は私に続いて退出願います。伊吹様がお戻りになるまで、控え室でお待ち下さい」

(さて、いよいよか……)

 式場を出る際、智枝が伊吹の方を振り返り、小さく頷いた。
感想 23

あなたにおすすめの小説

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?

ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。 それは——男子は女子より立場が弱い 学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。 拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。 「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」 協力者の鹿波だけは知っている。 大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。 勝利200%ラブコメ!? 既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

貞操逆転世界に転生してイチャイチャする話

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が自分の欲望のままに生きる話。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!