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第十五章:結婚式
義父と義母
結婚の儀が無事終了し、両家の顔合わせも済んだ。
伊吹、そして藍子と燈子がそれぞれ衣装部屋へ通され、皇宮付きの侍女達の手で衣装を剥がれていく。
伊吹は着て来たスーツへ着替えて、三人は控え室でようやく落ち着く事が出来た。智枝が温かいお茶を入れて労う。
「藍子、燈子。本当に綺麗だった。
さっき三人で撮ってもらった写真と、事前に撮った着る用意だった紋付き袴と白無垢姿、両方新しいビルの住居スペースに飾りたいな」
結婚式の日程が決まってから、式当日に諸々の引っ越し作業をして新しいビルへ移れるようにと手配がされていた。
今日までに新社屋の改装を終わらせる為、多くの人手が集められた。
「夢のような時間だった、って言いたいけど、自分の身に起こってる事が信じられなくて、これって私の妄想なんじゃないかって思ってたよ」
「分かる。自分が結婚するってのもいまいち実感がないのに、お相手が皇族って、ねぇ。
こんな漫画書いたら売れるかな?」
ようやく緊張感から解放され、口々に今日の感想を言い合う三人の元へ、賢一と茜が顔を出した。
「いやいや殿下! ご立派でしたなぁ!!」
「「お父様!?」」
顔を真っ赤にした賢一が伊吹へ抱き着く。これほど羽目を外している父親を見た事がない娘二人は、大いに戸惑う。
三人が皇王皇后夫妻と面会している間に、賢一と茜は別室へ通されて歓待を受けていたのだ。
伊吹は賢一を力強く抱き締め返す。
「お義父さん、今日こうして素敵な奥さんを迎えられたのは、襲撃犯から逃れて来た私を宮坂家が保護して下さったからです。本当にありがとうございます。
もしよろしければ、ですが、私の事は伊吹と呼んで頂ければ嬉しいです。もちろん、お義母さんも」
抱き着いていた賢一が伊吹から身体を離し、茜と顔を見合わせる。そして二人揃って智枝の様子を見て、咎められていない事を確認し、伊吹へと向き直る。
「……分かった。伊吹、娘達を頼む」
賢一が伊吹に対し、頭を下げた。男性が人に対して頭を下げる事は、なかなかない。
茜も藍子も燈子も、そんな賢一の姿に驚きを隠せない。
賢一は頭を上げた後、藍子と燈子の肩に触れる。
「この二人は家の言う事を聞かず、やりたい事があるからと自ら会社を立ち上げた。本当に心配させられたが、そのお陰で伊吹と出会う事が出来た。
これこそが始祖たる神々のお導きというヤツなのかも知れんな」
藍子も燈子も、賢一が自分達の事をそんな風に思っていたなどとは知らず、二人揃って賢一へと抱き着いた。
「二人とも、大きくなったなぁ」
「「お゛ど゛う゛さ゛ま゛っ……」」
賢一は子供が多く、妻達の力関係も考えて、普段から娘達一人一人とゆっくり会話する機会を取る事をしてこなかった。それも彼の宮坂家当主としての立ち振る舞い方だったのだ。
藍子と燈子は決して自分達が蔑ろにされていた訳ではないという事を感じて、感極まっている。
「娘達だけでなく、家同士の繋がりもよろしくお願いしますね、伊吹さん」
「ええ、こちらこそお願いします。
福乃さんに頼りっぱなしでお恥ずかしいですが」
この世界において、こういう場でビジネスの話を持ち出すのは、一般的には女性の役割となる。男性は家の精神的支柱であり、女性は支柱を支えながら他との交渉を司る。
競う事も馴れ合い事も、女性の仕事だ。
「福乃がえらく伊吹を評価するから良い気がしていなかったが、今日からは俺の息子でもある!
何でも言ってくれ、全部福乃に任せてあるからな!」
伊吹にとってはありがたい話ではあるが、当主とはいえ妻がいなければ何も出来ない。
一見情けないような発言も、伊吹以外の女性達からは当主として見劣りしない存在感を示している。
伊吹、そして藍子と燈子がそれぞれ衣装部屋へ通され、皇宮付きの侍女達の手で衣装を剥がれていく。
伊吹は着て来たスーツへ着替えて、三人は控え室でようやく落ち着く事が出来た。智枝が温かいお茶を入れて労う。
「藍子、燈子。本当に綺麗だった。
さっき三人で撮ってもらった写真と、事前に撮った着る用意だった紋付き袴と白無垢姿、両方新しいビルの住居スペースに飾りたいな」
結婚式の日程が決まってから、式当日に諸々の引っ越し作業をして新しいビルへ移れるようにと手配がされていた。
今日までに新社屋の改装を終わらせる為、多くの人手が集められた。
「夢のような時間だった、って言いたいけど、自分の身に起こってる事が信じられなくて、これって私の妄想なんじゃないかって思ってたよ」
「分かる。自分が結婚するってのもいまいち実感がないのに、お相手が皇族って、ねぇ。
こんな漫画書いたら売れるかな?」
ようやく緊張感から解放され、口々に今日の感想を言い合う三人の元へ、賢一と茜が顔を出した。
「いやいや殿下! ご立派でしたなぁ!!」
「「お父様!?」」
顔を真っ赤にした賢一が伊吹へ抱き着く。これほど羽目を外している父親を見た事がない娘二人は、大いに戸惑う。
三人が皇王皇后夫妻と面会している間に、賢一と茜は別室へ通されて歓待を受けていたのだ。
伊吹は賢一を力強く抱き締め返す。
「お義父さん、今日こうして素敵な奥さんを迎えられたのは、襲撃犯から逃れて来た私を宮坂家が保護して下さったからです。本当にありがとうございます。
もしよろしければ、ですが、私の事は伊吹と呼んで頂ければ嬉しいです。もちろん、お義母さんも」
抱き着いていた賢一が伊吹から身体を離し、茜と顔を見合わせる。そして二人揃って智枝の様子を見て、咎められていない事を確認し、伊吹へと向き直る。
「……分かった。伊吹、娘達を頼む」
賢一が伊吹に対し、頭を下げた。男性が人に対して頭を下げる事は、なかなかない。
茜も藍子も燈子も、そんな賢一の姿に驚きを隠せない。
賢一は頭を上げた後、藍子と燈子の肩に触れる。
「この二人は家の言う事を聞かず、やりたい事があるからと自ら会社を立ち上げた。本当に心配させられたが、そのお陰で伊吹と出会う事が出来た。
これこそが始祖たる神々のお導きというヤツなのかも知れんな」
藍子も燈子も、賢一が自分達の事をそんな風に思っていたなどとは知らず、二人揃って賢一へと抱き着いた。
「二人とも、大きくなったなぁ」
「「お゛ど゛う゛さ゛ま゛っ……」」
賢一は子供が多く、妻達の力関係も考えて、普段から娘達一人一人とゆっくり会話する機会を取る事をしてこなかった。それも彼の宮坂家当主としての立ち振る舞い方だったのだ。
藍子と燈子は決して自分達が蔑ろにされていた訳ではないという事を感じて、感極まっている。
「娘達だけでなく、家同士の繋がりもよろしくお願いしますね、伊吹さん」
「ええ、こちらこそお願いします。
福乃さんに頼りっぱなしでお恥ずかしいですが」
この世界において、こういう場でビジネスの話を持ち出すのは、一般的には女性の役割となる。男性は家の精神的支柱であり、女性は支柱を支えながら他との交渉を司る。
競う事も馴れ合い事も、女性の仕事だ。
「福乃がえらく伊吹を評価するから良い気がしていなかったが、今日からは俺の息子でもある!
何でも言ってくれ、全部福乃に任せてあるからな!」
伊吹にとってはありがたい話ではあるが、当主とはいえ妻がいなければ何も出来ない。
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