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X回目のループ
疲れ切った2人
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薄暗い部屋の中。窓から見える空は赤く染まっており、ベッドに腰掛けた2人の表情を赤く照らしていた。
時恵は絶望感に、渡は閉塞感に苛まれていた。何度繰り返しても手掛かりすら掴めず、ただ仲間を失って行くだけ。時恵の超能力でもって過去へ戻り、仲間になった記憶さえも持たない状態の彼らに1から説明をし直す。仲間になって再び同じ時を繰り返し、そしてまた問題が発生し、仲間を失う。
「渡、私もう限界だよ……」
「時恵……」
時恵、渡、心音、透、夢子、そして、記代子。
ある日突然超能力に目覚めた彼ら。そして突如出現する世界の終わりを告げる物、隕石の襲来。力を合わせ、何とか世界の破滅を回避しようと試みるが、全く手掛かりのないままループした記憶だけが積み重なる。
時恵の超能力は、時間を巻き戻す事。自身の能力に気付いた時には、隕石が落ちて来るなどと思いも寄らなかった。時恵達が住んでいる街に向かって落ちて来る隕石を見た直後、時恵は初めて超能力を使った。1人で時を巻き戻したのだ。
自分1人ではどうする事も出来ない。でもそのまま世界が終わってもいいと諦める事も出来ない。自分に唯一出来る事は、時間を巻き戻す事だけだ。
そういった諦めにも似たループを繰り返しているうちに、心音が声を掛けてくれた。そして渡や透、夢子に記代子が仲間になってくれた。1人ではないと、支えてくれる仲間達がいたからこそ何とかやって来れた。
しかし。
「時恵、次のループは学校へ行こう。久し振りにみんなの顔見てさ、超能力を馬鹿みたいに無駄に使ってるとこ眺めててよ。
俺はさ、また可能性探してから、早めに戻って来るから」
「いやっ! 学校に行くんなら渡と一緒がいい!!」
「次でダメなら当分休もう。何もしないでリフレッシュしてから、今までと全く違う行動をしてみよう。そしたら何か、変わるかも知れないし」
「でもっ……!!」
「大丈夫、俺は絶対時恵の元に戻って来るから、な?」
そっと時恵の唇に口付けし、そして優しく抱き締める渡。背中をゆっくりと撫で下ろし、耳元で囁く。
「さぁ、やってくれ。目が覚めたらすぐに電話するから」
無言。時恵は渡の胸に頭を預けたまま、何も答えない。素肌に耳を押し付けて、まるで渡が生きているのを確かに感じようとしているようにも見える。
「心臓の音、早いよ?」
「そりゃ、まぁ……」
ふふっ、と笑う時恵。
(はぁ……。まだ、笑える)
時恵はそっと渡の胸元から顔を離して、ベッドに仰向けで寝転がる。そして両手を渡へ向ける。すぐに時恵の意を察して覆い被さり、ギュッと抱き締める渡。
「すぅ~~~、はぁ~~~……。いい?」
「あぁ、行こうか」
渡の返事を聞いた後、時恵はその能力を行使した。2人は眩しい光に包まれて、そして。
世界の時間が巻き戻る。もう何千、何万回も繰り返された時恵達の戦いは、未だ終わらない。
時恵は絶望感に、渡は閉塞感に苛まれていた。何度繰り返しても手掛かりすら掴めず、ただ仲間を失って行くだけ。時恵の超能力でもって過去へ戻り、仲間になった記憶さえも持たない状態の彼らに1から説明をし直す。仲間になって再び同じ時を繰り返し、そしてまた問題が発生し、仲間を失う。
「渡、私もう限界だよ……」
「時恵……」
時恵、渡、心音、透、夢子、そして、記代子。
ある日突然超能力に目覚めた彼ら。そして突如出現する世界の終わりを告げる物、隕石の襲来。力を合わせ、何とか世界の破滅を回避しようと試みるが、全く手掛かりのないままループした記憶だけが積み重なる。
時恵の超能力は、時間を巻き戻す事。自身の能力に気付いた時には、隕石が落ちて来るなどと思いも寄らなかった。時恵達が住んでいる街に向かって落ちて来る隕石を見た直後、時恵は初めて超能力を使った。1人で時を巻き戻したのだ。
自分1人ではどうする事も出来ない。でもそのまま世界が終わってもいいと諦める事も出来ない。自分に唯一出来る事は、時間を巻き戻す事だけだ。
そういった諦めにも似たループを繰り返しているうちに、心音が声を掛けてくれた。そして渡や透、夢子に記代子が仲間になってくれた。1人ではないと、支えてくれる仲間達がいたからこそ何とかやって来れた。
しかし。
「時恵、次のループは学校へ行こう。久し振りにみんなの顔見てさ、超能力を馬鹿みたいに無駄に使ってるとこ眺めててよ。
俺はさ、また可能性探してから、早めに戻って来るから」
「いやっ! 学校に行くんなら渡と一緒がいい!!」
「次でダメなら当分休もう。何もしないでリフレッシュしてから、今までと全く違う行動をしてみよう。そしたら何か、変わるかも知れないし」
「でもっ……!!」
「大丈夫、俺は絶対時恵の元に戻って来るから、な?」
そっと時恵の唇に口付けし、そして優しく抱き締める渡。背中をゆっくりと撫で下ろし、耳元で囁く。
「さぁ、やってくれ。目が覚めたらすぐに電話するから」
無言。時恵は渡の胸に頭を預けたまま、何も答えない。素肌に耳を押し付けて、まるで渡が生きているのを確かに感じようとしているようにも見える。
「心臓の音、早いよ?」
「そりゃ、まぁ……」
ふふっ、と笑う時恵。
(はぁ……。まだ、笑える)
時恵はそっと渡の胸元から顔を離して、ベッドに仰向けで寝転がる。そして両手を渡へ向ける。すぐに時恵の意を察して覆い被さり、ギュッと抱き締める渡。
「すぅ~~~、はぁ~~~……。いい?」
「あぁ、行こうか」
渡の返事を聞いた後、時恵はその能力を行使した。2人は眩しい光に包まれて、そして。
世界の時間が巻き戻る。もう何千、何万回も繰り返された時恵達の戦いは、未だ終わらない。
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