お坊ちゃまはシャウトしたい ~歌声に魔力を乗せて無双する~

なつのさんち

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帰還報告

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「お母様、お父様。帰還の報告が遅くなり、申し訳ありません」

「大丈夫よ、私としては何の心配もしていませんでしたからね」

 エティーのご機嫌が戻った後、俺はようやく母上の執務室へ行く事が出来た。
 執務室内の応接用ソファーに母上と父上が座っており、俺はその対面に座っている。
 エティーに抱き着かれた形で。
 ご機嫌が戻ったとはいえ、甘えモードが解除された訳ではない。
 
「報告は受けましたが、こちらの被害は皆無で圧勝に終わったというのは間違いないのかしら?」

「はい、特に問題はありませんでした」

「そう、それは何よりだわ」

 声はとても朗らかで、息子の無事を喜んでいるように聞こえているが、母上はずっとエティーを睨みつけている。
 自分で言うのも気色悪さを感じるが、愛息子まなむすこを取られた母親というのはこういう顔をするものらしい。
 睨まれている本人は満面の笑みを浮かべて俺の胸に頬擦りをしている。

 家族の間においても、このように嫉妬や羨望や憤りといった負の感情を覚える機会が多いと思う。
 いくら仲の良い家庭であってもだ。
 親は子供の事を、ただ猫可愛がりするのではなく、時に厳しく叱る事もある。
 そして子供も子供なりに親に対して反発する事もあるだろう。
 そんな時、お互いに負の感情を魔力に乗せてぶつけ合い、傷付け合う事になるのではないかと生まれ変わった当初は思っていた。
 が、やはり魔法があって当たり前のこの世界では、幼い頃から感情を制御するよう育てられるようになっていて、感情出力の強弱をしたり、実際に持っている感情とは違った表現をしたりする。
 じゃあ街全体に影響を及ぼすようなエティーの魔法は何だったのかというと、あれは俺に対する怒っていますアピールであって、街に致命的な影響が出ないよう制御されていたのだ。
 では致命的ではないものの、多少の影響は出ても問題ないのか?
 その疑問に答えるならば、エティーは問題ないと思っている、という答えが正しい。

 だってエティーは生まれながらのお貴族様なのだから。
 一般市民への多少の影響よりも、自分の怒りを俺に伝える方を優先させてしまうのだ。
 そんなエティーだが、決して街に壊滅的な影響を与えるような事はしない。
 そして俺を抱き締めて離さないエティーを睨みつけている母上も、ただの嫉妬していますアピールなのである。
 本心からエティーに対して怒っている訳ではないのだ。

パリィーン

 ……テーブルに置かれていたティーカップが割れた。
 あれれー、おかしいなぁー、何で父上のティーカップが割れたんだろうなー。
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