お坊ちゃまはシャウトしたい ~歌声に魔力を乗せて無双する~

なつのさんち

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我輩は猫である、名前はミィチェ

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 うちの屋敷で飼っているのは、地球の猫の種類でいうとロシアンブルーだろうか。
 色は限りなく黒に近いグレー。
 翼はそれほど大きくなく、滑空すらままならない。
 地球の猫と同じく、あまり人に愛想を振りまくようなタイプではない。
 来客のある際など、どこかに隠れてしまう事が多い。
 名前はミィチェ、とても可愛いメス猫だ。

 今は夏休みだから毎日一緒にいられるが、普段は俺は学院にいて、ミィチェはこの屋敷に残っている。
 悲しいし寂しいが、離れ離れだ。
 ずっと一緒にいられたらと思うが、寮に動物を連れて行く事は出来ない。
 寮ではなく俺専用の屋敷を王都に用意するという手もある。
 しかしミィチェは俺個人のペットではなく、俺が生まれる前からこの屋敷で飼われているのだから、俺一人のわがままでミィチェの住む家を変えるのは違うと思い、我慢している。

「猫派か、面白い表現だ。
 ミィチェが一番懐いているのはアルティだったね」

 犬派だ猫派だという議論は、この世界ではあまりないのだろうか。
 元々父上が飼っていたらしいミィチェ。
 母上と結婚して連れて来られた形になる。
 今では父上よりも俺にばかり擦り寄って来る。
 他の家族が構えば構うほど嫌がられ、余計に俺ばかりに懐くという悪循環。
 いや、俺にとっては好循環とも言えるけれど。

「あの娘だが、見た目は猫で中身は犬だ。
 そういう意味ではアルティは気に入るかもしれないな」

 そこでまたカーニャに話題が戻る、と。
 しかしやはり意味が分からない。
 敵の指揮官であり、婚約者の家の次期当主に内々定されていたカーニャが、見た目は猫で性格は犬、と。
 可愛らしい外見だけど、攻撃的でよく吠える、とかだろうか。
 しかし戦が終わった後、捕縛する際は目立った抵抗はなかったと報告を受けている。

「まぁ、明日会えば分かるよ」

 明日会えば、か。

 会わなければいけないだろうか。
 父上からも義兄上からもカーニャの話題を振られ、少し構えている自分がいる。
 前世日本の時の俺であれば、諸手を上げて喜んだかもしれない。
 ワンナイトラブをエンジョイトゥギャザーし、カーニャにニコニコスマイルでバイバイを告げてネクストレディをサーチアンドデストロイしていた可能性もある。
 いや、サーチアンドデストロイは違うか。

 貴族子女としての立場。
 いや、立場は関係ないな。
 父上がお膳立てをしてくれているくらいなのだから。

 問題なのは他の男子とは比べられないほどの魔力。
 この魔力がその時、自分でも制御出来ないほどの暴走を起こしてしまったとしたら。
 そう思わずにはいられない。
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