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知らぬはお坊ちゃまばかりなり
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『着たよー。アルティちゃん、どおー?』
ちゃん付け止めろよ、と思いつつ振り返ると、そこには黒髪ロングの日本人女性が立っていた。
年齢的には二十代前半くらいだろうか。
どういう仕組みで竜の姿から人間の姿に変身しているのか分からないが、全て魔法のある世界だからという事にしておこう。
うちの両親も変身した事自体にはさほど驚いていなかった。
つまり、竜とはデカい猫に羽が生えた存在であり、人間の姿に変身するものだというのがこの世界の共通認識なんだろう。
多分。
知らんけど。
『えっと、鈴さんって呼んでいいのかな?』
『鈴でいいよー』
ほわほわとしたおっとりタイプなのだろうか。
そんな鈴に対して家族達がバリバリ警戒しているのが伝わって来る。
いや、警戒というよりも極度の尊敬?
畏敬の念というやつだろうか。
鈴の一挙手一投足に注目しているのが分かる。
俺として同じ元日本人同士だから滅多な事にはならないだろうと思っているので、かなり気が楽になった。
少なくともミィチェが問答無用で連れ去られる事はないだろうし。
「よくこんな服を持っていたな」
「お坊ちゃまの身に何かあった時の為に用意しておりました」
「そんな何かはないからな!」
俺が目隠しをされている間に、鈴はポーシェが持ち歩いていた俺の着替え(俺の着替えではない)の白いブラウスとピンクのワンピースを着せられた。
ちなみに父上と義兄上は、誰かに何かを言われる前に自主的に後ろを向いたらしい。
鈴がこちらに近付いて来たのを見て、エティーは俺の背中から降りて今は腰に抱き着いている。
何なんだ一体。
『エティーはアルティが大好きだから』
『エティーちゃんって言うんだー、可愛い姉妹だねぇー』
エティーの頭の上に乗りながらミィチェが呟く。
おい鈴、俺は兄であり姉ではないぞ。
「お兄様、ミィチェと竜神様は何と仰っているんですの?」
「……可愛い妹だねってさ」
適当に誤魔化しておく。
俺とエティーの事を可愛い姉妹だって言ってるんだよ、なんて言えるか。
そう言えば、エティーもさらりと竜神様と呼んでいるが、鈴のような存在の事を以前から知っていたんだろか?
「エティー、俺は竜の事も竜神様とやらの事も詳しくないんだけど、エティーは前から知っていたのか?」
「えーっと、それは……」
エティーは珍しく言い淀んでいる。
あまり俺に隠し事をしたりする妹じゃないんだけど。
「それについては私から話すべき事なのだが、もう夜も更けて来た。
竜神様がよろしければ、屋敷へご招待したいと思うのだが聞いてもらえるか?」
父上から説明、か。
何か事情がありそうな感じだし、ここは素直に従っておこう。
ちゃん付け止めろよ、と思いつつ振り返ると、そこには黒髪ロングの日本人女性が立っていた。
年齢的には二十代前半くらいだろうか。
どういう仕組みで竜の姿から人間の姿に変身しているのか分からないが、全て魔法のある世界だからという事にしておこう。
うちの両親も変身した事自体にはさほど驚いていなかった。
つまり、竜とはデカい猫に羽が生えた存在であり、人間の姿に変身するものだというのがこの世界の共通認識なんだろう。
多分。
知らんけど。
『えっと、鈴さんって呼んでいいのかな?』
『鈴でいいよー』
ほわほわとしたおっとりタイプなのだろうか。
そんな鈴に対して家族達がバリバリ警戒しているのが伝わって来る。
いや、警戒というよりも極度の尊敬?
畏敬の念というやつだろうか。
鈴の一挙手一投足に注目しているのが分かる。
俺として同じ元日本人同士だから滅多な事にはならないだろうと思っているので、かなり気が楽になった。
少なくともミィチェが問答無用で連れ去られる事はないだろうし。
「よくこんな服を持っていたな」
「お坊ちゃまの身に何かあった時の為に用意しておりました」
「そんな何かはないからな!」
俺が目隠しをされている間に、鈴はポーシェが持ち歩いていた俺の着替え(俺の着替えではない)の白いブラウスとピンクのワンピースを着せられた。
ちなみに父上と義兄上は、誰かに何かを言われる前に自主的に後ろを向いたらしい。
鈴がこちらに近付いて来たのを見て、エティーは俺の背中から降りて今は腰に抱き着いている。
何なんだ一体。
『エティーはアルティが大好きだから』
『エティーちゃんって言うんだー、可愛い姉妹だねぇー』
エティーの頭の上に乗りながらミィチェが呟く。
おい鈴、俺は兄であり姉ではないぞ。
「お兄様、ミィチェと竜神様は何と仰っているんですの?」
「……可愛い妹だねってさ」
適当に誤魔化しておく。
俺とエティーの事を可愛い姉妹だって言ってるんだよ、なんて言えるか。
そう言えば、エティーもさらりと竜神様と呼んでいるが、鈴のような存在の事を以前から知っていたんだろか?
「エティー、俺は竜の事も竜神様とやらの事も詳しくないんだけど、エティーは前から知っていたのか?」
「えーっと、それは……」
エティーは珍しく言い淀んでいる。
あまり俺に隠し事をしたりする妹じゃないんだけど。
「それについては私から話すべき事なのだが、もう夜も更けて来た。
竜神様がよろしければ、屋敷へご招待したいと思うのだが聞いてもらえるか?」
父上から説明、か。
何か事情がありそうな感じだし、ここは素直に従っておこう。
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