みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される

けるたん

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第6部 俺が『最強』になった理由《ワケ》

第15話 お兄ちゃんのことなんかぜんぜん大好きなんだからねっ!

「今日は楽しかったべさ! ありがとうだべ、千和お姉ちゃんっ!」
「おう。寅美が楽しかったなら、よかったわ」
「……片付けは全部、俺たちがやったんだけどね?」
「それは言わないお約束やで、相棒?」



 ときおり休憩を挟みつつ、寅美先輩と姉ちゃんがビニールプールで楽しみ続けること4時間。

 時刻は午後4時少し過ぎ。

 そろそろ施設の門限なので、俺たちはみんなして、寅美先輩を我が家の玄関前でお見送りしようとしていた。



「おい元気、ちゃんと寅美を家まで送り届けろよ? もし寅美に何かあったら……潰すからな?」

「りょ、了解です姉御っ!」

「いよいよ花丸INポイントノートのお題も、次で最後になっちまったなぁ。なぁ寅美先輩?」

「あの……シロー君? ごくごく当たり前のように女性用下着1枚で、外に出ないで欲しいんだべが……?」



 俺はこの激動の4カ月のことを思い返しながら、らしくもなく、おセンチな気分に浸ってしまった。



「色々あったなぁ、この4カ月」
「だべなぁ~。ほんとジェットコースターのように、一瞬で終わった感じがするべよ」
「おい寅美。最後のお題はなんだ?」
「え~と、ちょっと待って欲しいっぺ」



 姉ちゃんに尋ねられ、慌てて持って来ていたバックの中から、花丸㏌ポイントノートを取り出そうとする寅美先輩。
 







 そして、唐突に『終わり』が始まった。








「――探したぜ、鉄腕チワワ?」



 バイクの排気音と共に、真っ白な特攻服に身を包んだガタイのいい黒髪の男が、我が家の玄関前でバイクを止めた。



「……?? 誰あれ? 俺のファン?」
「ワイに聞かれても知らんわ」
「……うそ」



 おそらく180センチ後半と思われる筋肉質な男は、手負いの獣のようにギラギラと目を輝かせて、俺たちを……というより、姉ちゃんを見据えて笑っていた。 

 途端に姉ちゃんの瞳に、血生臭い色が混ざり出す。



「テメェ……なんでここに?」
「おいおい? そんな怖い目で睨むなよ? 未来の旦那さまだぞ?」
「「旦那さまぁっ!?」」



 あの泣く子も黙る姉ちゃんのメンチビームを、軽く肩を竦めるだけでかわす謎の特攻服野郎に、俺と元気はまったく同じリアクションで目を剥いた。

 ば、バカな!?

 このネトゲ廃人予備軍の姉に、恋人、彼氏だとぉ!?



「おい、アンタッ! 悪いことは言わねぇ、このアマめとるのだけは止めておけッ! 確実に後悔するぞ!? 正気に戻れっ! 今ならまだ引き返せる!?」

「そうやっ! 過去に何があったかは知らんが、にいはんはまだ若いっ! そう簡単に人生を棒に振ったらアカンッ! 考え直すんやっ!?」

「殺すぞ、ブサイクどもっ?」



 何故か姉ちゃんの身体から、とんでもねぇ殺気が弟たちに向けられる。

 もうね、身内に向ける目じゃないの?

 完全に道を極める人たちの目なのよね、アレ。



「何して来やがった、白いの?」
「いや何、最後の確認をしにな」



 白の特攻服野郎は、どこが諦観ていかんしたような冷めた笑みを顔に貼り付け、姉ちゃんをまっすぐ射抜いた。



「俺の女になる気はないのか?」

「ない。何度も言わせんな。女をモノとしか見てねぇテメェのとこに、どうしてハイパープリチーなこの千和ちゃんが、嫁に行かにゃならんのだ? 罰ゲームか? おぉ?」



 そうか、残念だ。

 と、軽く肩を竦める特攻服。

 め、目の前で、実の姉が告白どころかプロポーズされている件について。

 と、とりあえず、今、弟が言えることはただ1つ。



「いや、プリティーでは無いな」
「なっ? 姉御、自己評価が高すぎるで」
「ちょっと待ってろよ、白いの? 今から、このクズ共を八つ裂きにしてくるから」



 ガシッ! と、俺と元気の顔面を鷲掴みにしながら、申し訳なさそうに特攻服に謝る、姉ちゃん。

 いだだだだだだだっ!?

 ちょっ、飛び散る!?

 中身が飛び散るよ、姉ちゃん!?



「泣きさけぶ 我が貞操ていそうの 祈り声 せめてお口の 具合だけでも」



 全てを諦めた元気が、俺の隣で辞世の句を口にし始める。

 諦めるな、元気!

 諦めたらそこで、人生終了ですよ!?



「……さっきから、何なんだ? その頭のおかしいソイツらは?」
「あたしの愚弟1号と舎弟1号だ」

「愚弟? ――あぁ、なるほどな。おまえらが、最近ここら一帯で話題になっている、バカ強い中坊どもか」



 特攻服の男は蛇のようにシャーッ! と唇の端を吊り上げると、品定めするかのように、俺たちを見て来た。



「なるほど。確かに2人とも、いい身体をしている。とくに女モノのパンツ1丁の方。まるで野生の獣を彷彿とさせる筋肉……。もしや、おまえが噂の『喧嘩狼』か?」

「えっと、アナタは?」
「おっと、悪い。自己紹介がまだだったな」



 真っ白な特攻服に身を包んだ男は、見せびらかすように、俺たちに背中を向けた。

 彼の特攻服の背中、その真ん中部分には、金色の刺繍ししゅうでこう書かれていた。




 ――出雲愚連隊 初代総長 と。




「オレの名前は龍見虎太郎たつみこたろう。出雲愚連隊の総大将だ」



 そう言って、不敵な笑みを浮かべる特攻服もとい、龍見さん。

 なんともまぁ、派手なお人だ。

 ……って、うん?

 出雲愚連隊の総長? 

 ということは……まさかっ!?



「あぁっ!? 西日本最強の男っ!?」



 そうだよっ!

 コイツだ、コイツに違いないっ!

 大神家の不良債権と互角以上に渡り合った、出雲愚連隊の総長はコイツだ!? コイツだよ!?

 驚きに声をあげてしまう俺。

 しかし、このときの俺はまだ知らなかったのだ。




 神様のイタズラなサプライズは、まだ途中だったということを。






「お、お兄ちゃん……?」

「「「へっ?」」」



 突如。

 突如である。

 今まで押し黙っていた寅美先輩が、感極まったように口をひらいたのは。

 その声音は緊張のせいか震えており、瞳には涙の膜が出来ている始末だ。

 そんな今にも泣きそうな彼女の視線は、例の出雲愚連隊の総長へと注がれていて。



「と、寅美っ!? な、何でここに……」



 今、寅美先輩の存在に気がついたのか、龍見総長が先輩を見つめながら、大きく狼狽うろたえた。

 ……んっ?

 んんっ?

 んんん~~~っ!?



「……ねぇ姉上? 今、寅美先輩、あの人のことを見ながら『お兄ちゃん』って言わなかった?」

「……言ったな。メチャクチャ言ったな」

「ということは、アレか? ワイらがここ数カ月、必死に探していた、小娘の兄貴は……」



 寅美先輩が再び「お兄ちゃんっ!」と叫びながら、龍見総長の胸元へ飛び込む。

 瞬間、俺たちの唇からジェットエンジンが如き勢いで、驚きの声がまろび出た。



「「「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~~~~~~~っっっ!?!?」」」
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