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第8話 — 沈黙が死なない場所
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「罪悪感は告白で終わらない。
ただ、部屋を変えるだけだ。」
マルコスの手からハンドルが滑った。汗ではない——血だった。砕けたガラスがシートに突き刺さったまま、エンジンは咳き込むように唸っていた。道は闇と妄想だけでできていた。
隣町の警察署は、建築ミスのように見えた。薄暗く、歪んだ看板がぶら下がり、警官が一人、永遠に続く夜勤のような顔で煙草を吸っていた。
マルコスはよろめきながら車を降りた。背中に張り付いたシャツが、血の重さを物語っていた。
「助けが必要だ」 遠慮のない口調だった。
警官は、語彙だけは立派な浮浪者でも見たかのような目で彼を見た。
「何者だ?事故か?」
マルコスは深く息を吐いた。説明する気力はなかった。
「刑事だ。隣町で事件を追ってる。応援が欲しい。あと、命に関わらないコーヒーも。」
警官は眉をひそめた。
「ここは俺たちの管轄じゃないぞ。」
「だろうな。死体が玄関に転がってないと、コーヒーも出ないってか。」
もう一人の警官が現れた。年配で、すでに諦めきったような顔をしていた。
「怪我してるな。」
「芸術的な野心を持った擦り傷だ。」
「事件の場所は?」
「アカシアの館。ここから十五分ほど。遺言書と、罪悪感に潰れかけた狂人がいる。」
二人の警官は目を合わせた。ため息。無言の合意。しぶしぶの義務感。
「行ってみるか。だが、嘘だったらお前がただじゃ済まないぞ。」
マルコスはうなずき、警察車両に乗り込んだ。
「嘘だったら、自分で手錠かけるさ。だがこの遺言書は持ってけ。政治家よりも人格がある。」
車が発進した。闇が再びすべてを飲み込んだ。マルコスの身体は崩れかけていたが、意識は鋭く保たれていた。
到着した館は、夜のせいか小さく見えた。建物のせいではない——罪の重さだった。警察車両が軋む音を立てて止まった。まるでこの場所に嫌悪感を抱いているかのようだった。
マルコスは苦しげに車を降りた。血はすでに乾き始めていたが、痛みは消えず、生きていることを思い出させた。警官たちは館を見上げ、どこか他の場所にいたいという顔をしていた。
「ここか?」 一人が尋ねた。
「違うなら、誰かが悪夢をインテリアにしただけだ。」
玄関は半開きだった。抵抗の気配はない。叫びもない。ただ、待っているような沈黙があった。
ルベンスは館の主室にいた。座っていた。膝に手を置き、目は虚空を見ていた。すでに内側から拘束されているようだった。
「俺のせいだ。」 顔を上げずに言った。 「彼は俺に話しかける。死んでも止まらない。」
警官たちは目を合わせた。一人が慎重に近づき、手錠を構えた。
「立て。ゆっくりだ。」
ルベンスは従った。急ぐこともなく、抵抗することもなく。まるでこの場面を何度もリハーサルしてきたかのように。
「彼は俺を見る。責める。呼びかける。」
マルコスは壁にもたれかかった。疲れ切っていたが、目は鋭く、思考は冷静だった。
「叫びのない告白か。少し物足りないな。」
執事が廊下に現れた。目は赤く、顔は緊張に満ちていた。手には、くしゃくしゃになった遺言書——だが、まだ読める状態だった。彼はためらいながらマルコスに近づいた。
「彼はこれを消そうとした。」 声は低く、震えていた。 「でもできなかった。結局、真実だけが残った。」
マルコスはその紙を受け取った。手錠をかけられ、虚空に向かってつぶやくルベンスを見つめた。
「理解することは問題じゃない。問題は、その説明に耐えられるかどうかだ。」
警察車両は静かに夜道を進んでいた。乗っているのは二人の男と、一つの終わったはずの事件。マルコスは助手席に座り、ポケットには折りたたまれた遺言書。背中の痛みが、彼の意識を支えていた。後部座席にはルベンス。手錠をかけられていたが、沈黙とは無縁だった。
「全部、俺のものになるはずだった。」 声は小さく、感情は抑えられていた。 「最初から、そうだった。」
マルコスは答えなかった。窓の外を見ていた。森が、筋書きのない映画のように流れていく。
「彼は知ってた。俺が守るって。全部を維持するって。でも、あいつはあの子に残した。俺を脇役みたいに扱って。」
マルコスは短く息を吐いた。
「遺産と妄想。よくある組み合わせだ。」
ルベンスは少し身を乗り出した。手錠が軋む音を立てた。
「彼は笑ってるように見えた。死にかけてても、俺を空っぽにするってわかってたんだ。」
「そして今、お前に全部を残してる。罪も含めてな。」 マルコスは顔を向けずに言った。
ルベンスは乾いた笑いを漏らした。そこにユーモアはなかった。
「彼はまだ話してる。廊下で。鏡の中で。ベアトリスも聞いてる。彼女は、彼が答えてるって言う。」
「正義感のある幽霊か。ここはもう霊的裁判所だな。」
運転席の警官はバックミラーを見たが、何も言わなかった。車は黙々と暗い道を進んでいた。まるでこの物語から一刻も早く抜け出したいかのように。
ルベンスは窓に頭を預けた。
「ただ、俺のものにしたかっただけなんだ。それだけだ。」
マルコスは前を見つめた。警察署が近づいていた。そしてそれと共に、終わり——あるいは、ただの一時停止。
警察署は以前よりも明るく見えた。館との対比のせいかもしれない。ルベンスは抵抗せずに連れて行かれた。彼の目は、誰にも見えない何かを見つめていた。警官たちは、壊れた絵画を運ぶように彼を扱った。丁寧だが、価値は感じていない。
マルコスは遺言書を差し出した。紙は汚れ、くしゃくしゃだったが、まだ読めた。警官の一人が無表情で彼を見た。
「医療処置、受けるか?」
マルコスは姿勢を正した。身体は抗議していたが、声は平然としていた。
「コーヒーの後で。あと、君らにも心理カウンセラーが必要かもな。」
ルベンスは彼を見た。目は深く沈み、声は幼さを帯びていた。まるで、戦争が始まる前にすでに敗北していた者のようだった。
「彼は俺に、静寂ばかりを残した。」 顔を向けずに言った。 「そしてその静寂は、どんな遺産よりも重い。」
マルコスはゆっくりと近づいた。身体は痛んでいたが、言葉は澄んでいた。
「静寂は重くない。ただ響くだけだ。そして、お前のは叫んでる。」
ルベンスは目を閉じた。牢の壁に頭を預け、自分の音を消そうとするかのようだった。
執事は扉の前に立っていた。手は震えていたが、動きには迷いがなかった。まるで、ようやく約束を果たした者のように。
マルコスは彼を見た。
「休め。残りは俺がやる。」
執事はうなずいた。そして初めて、少しだけ軽く見えた。
マルコスはゆっくりと警察署を後にした。身体はまだ血を流していた。だが、真実はようやく記録された。
彼は暗い空を見上げ、ポケットの中の折りたたまれた紙に目を落とした。
「静寂は続いている。…それが何かを語ってるのか、まだわからない。」
ただ、部屋を変えるだけだ。」
マルコスの手からハンドルが滑った。汗ではない——血だった。砕けたガラスがシートに突き刺さったまま、エンジンは咳き込むように唸っていた。道は闇と妄想だけでできていた。
隣町の警察署は、建築ミスのように見えた。薄暗く、歪んだ看板がぶら下がり、警官が一人、永遠に続く夜勤のような顔で煙草を吸っていた。
マルコスはよろめきながら車を降りた。背中に張り付いたシャツが、血の重さを物語っていた。
「助けが必要だ」 遠慮のない口調だった。
警官は、語彙だけは立派な浮浪者でも見たかのような目で彼を見た。
「何者だ?事故か?」
マルコスは深く息を吐いた。説明する気力はなかった。
「刑事だ。隣町で事件を追ってる。応援が欲しい。あと、命に関わらないコーヒーも。」
警官は眉をひそめた。
「ここは俺たちの管轄じゃないぞ。」
「だろうな。死体が玄関に転がってないと、コーヒーも出ないってか。」
もう一人の警官が現れた。年配で、すでに諦めきったような顔をしていた。
「怪我してるな。」
「芸術的な野心を持った擦り傷だ。」
「事件の場所は?」
「アカシアの館。ここから十五分ほど。遺言書と、罪悪感に潰れかけた狂人がいる。」
二人の警官は目を合わせた。ため息。無言の合意。しぶしぶの義務感。
「行ってみるか。だが、嘘だったらお前がただじゃ済まないぞ。」
マルコスはうなずき、警察車両に乗り込んだ。
「嘘だったら、自分で手錠かけるさ。だがこの遺言書は持ってけ。政治家よりも人格がある。」
車が発進した。闇が再びすべてを飲み込んだ。マルコスの身体は崩れかけていたが、意識は鋭く保たれていた。
到着した館は、夜のせいか小さく見えた。建物のせいではない——罪の重さだった。警察車両が軋む音を立てて止まった。まるでこの場所に嫌悪感を抱いているかのようだった。
マルコスは苦しげに車を降りた。血はすでに乾き始めていたが、痛みは消えず、生きていることを思い出させた。警官たちは館を見上げ、どこか他の場所にいたいという顔をしていた。
「ここか?」 一人が尋ねた。
「違うなら、誰かが悪夢をインテリアにしただけだ。」
玄関は半開きだった。抵抗の気配はない。叫びもない。ただ、待っているような沈黙があった。
ルベンスは館の主室にいた。座っていた。膝に手を置き、目は虚空を見ていた。すでに内側から拘束されているようだった。
「俺のせいだ。」 顔を上げずに言った。 「彼は俺に話しかける。死んでも止まらない。」
警官たちは目を合わせた。一人が慎重に近づき、手錠を構えた。
「立て。ゆっくりだ。」
ルベンスは従った。急ぐこともなく、抵抗することもなく。まるでこの場面を何度もリハーサルしてきたかのように。
「彼は俺を見る。責める。呼びかける。」
マルコスは壁にもたれかかった。疲れ切っていたが、目は鋭く、思考は冷静だった。
「叫びのない告白か。少し物足りないな。」
執事が廊下に現れた。目は赤く、顔は緊張に満ちていた。手には、くしゃくしゃになった遺言書——だが、まだ読める状態だった。彼はためらいながらマルコスに近づいた。
「彼はこれを消そうとした。」 声は低く、震えていた。 「でもできなかった。結局、真実だけが残った。」
マルコスはその紙を受け取った。手錠をかけられ、虚空に向かってつぶやくルベンスを見つめた。
「理解することは問題じゃない。問題は、その説明に耐えられるかどうかだ。」
警察車両は静かに夜道を進んでいた。乗っているのは二人の男と、一つの終わったはずの事件。マルコスは助手席に座り、ポケットには折りたたまれた遺言書。背中の痛みが、彼の意識を支えていた。後部座席にはルベンス。手錠をかけられていたが、沈黙とは無縁だった。
「全部、俺のものになるはずだった。」 声は小さく、感情は抑えられていた。 「最初から、そうだった。」
マルコスは答えなかった。窓の外を見ていた。森が、筋書きのない映画のように流れていく。
「彼は知ってた。俺が守るって。全部を維持するって。でも、あいつはあの子に残した。俺を脇役みたいに扱って。」
マルコスは短く息を吐いた。
「遺産と妄想。よくある組み合わせだ。」
ルベンスは少し身を乗り出した。手錠が軋む音を立てた。
「彼は笑ってるように見えた。死にかけてても、俺を空っぽにするってわかってたんだ。」
「そして今、お前に全部を残してる。罪も含めてな。」 マルコスは顔を向けずに言った。
ルベンスは乾いた笑いを漏らした。そこにユーモアはなかった。
「彼はまだ話してる。廊下で。鏡の中で。ベアトリスも聞いてる。彼女は、彼が答えてるって言う。」
「正義感のある幽霊か。ここはもう霊的裁判所だな。」
運転席の警官はバックミラーを見たが、何も言わなかった。車は黙々と暗い道を進んでいた。まるでこの物語から一刻も早く抜け出したいかのように。
ルベンスは窓に頭を預けた。
「ただ、俺のものにしたかっただけなんだ。それだけだ。」
マルコスは前を見つめた。警察署が近づいていた。そしてそれと共に、終わり——あるいは、ただの一時停止。
警察署は以前よりも明るく見えた。館との対比のせいかもしれない。ルベンスは抵抗せずに連れて行かれた。彼の目は、誰にも見えない何かを見つめていた。警官たちは、壊れた絵画を運ぶように彼を扱った。丁寧だが、価値は感じていない。
マルコスは遺言書を差し出した。紙は汚れ、くしゃくしゃだったが、まだ読めた。警官の一人が無表情で彼を見た。
「医療処置、受けるか?」
マルコスは姿勢を正した。身体は抗議していたが、声は平然としていた。
「コーヒーの後で。あと、君らにも心理カウンセラーが必要かもな。」
ルベンスは彼を見た。目は深く沈み、声は幼さを帯びていた。まるで、戦争が始まる前にすでに敗北していた者のようだった。
「彼は俺に、静寂ばかりを残した。」 顔を向けずに言った。 「そしてその静寂は、どんな遺産よりも重い。」
マルコスはゆっくりと近づいた。身体は痛んでいたが、言葉は澄んでいた。
「静寂は重くない。ただ響くだけだ。そして、お前のは叫んでる。」
ルベンスは目を閉じた。牢の壁に頭を預け、自分の音を消そうとするかのようだった。
執事は扉の前に立っていた。手は震えていたが、動きには迷いがなかった。まるで、ようやく約束を果たした者のように。
マルコスは彼を見た。
「休め。残りは俺がやる。」
執事はうなずいた。そして初めて、少しだけ軽く見えた。
マルコスはゆっくりと警察署を後にした。身体はまだ血を流していた。だが、真実はようやく記録された。
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