契約婚で公爵夫人始めます!〜貴族社会のゴタゴタ?ブラック企業の百倍マシよ〜

歌龍吟伶

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第46話:平穏な日々の裏で

妊娠六ヶ月、シズリアは平穏な日々を送っていた。

つわりも落ち着いてきて、悩みといえば今度は食欲が出過ぎてしまい医師の目が厳しくなってきていることくらいか。

そういえば嫌がらせの手紙がピタリと止んだなと不思議に思っていると、


「すまない、手紙を勝手に読んだ。だがもう大丈夫だ、万が一次があったらすぐ言え」


何をしたのか聞いてはいけないような、迫力を感じさせる笑みを浮かべたジークハルトに言われた。

平和になったから良いやと思い穏やかな日々を堪能するシズリアの元には、度々義母ディアナが訪れている。

足繁く通うディアナの姿は噂となり、シズリアの妊娠は四ヶ月の時点で公表された。

お祝いの手紙や贈り物が次々と届いたが、絶対に安全を確認するまではシズリアに触れさせるなというジークハルト命令により使用人三人がかりで確認する徹底ぶり。


「お茶会の誘い?私が代わりに行ってくるわ、淑女の振る舞いというもののお手本を見せて来なくちゃ」


笑顔のディアナに任せれば、何故か令嬢達から弟子にしてくれという手紙が届き始め。


「何?縁起の悪い届け物が来た?誰だ…ああ、あの家か」


例えば妊婦に送るべきでは無いような物が届けば、ジークハルトが手紙をしたためそれ以降来なくなった。


「奥様、明日お暇を頂いても宜しいでしょうか」


ツェーザルが休暇を求める事が増え、少し疲れている様子。


「大丈夫?お休み増やしてるのに益々疲れていってない?」

「大丈夫ですよ、ちょっと面倒くさ…えーと、体力というより頭を使う事が多くて」


エレナを孤立させるべくツェーザルの三股は続いており、一人一人に合わせて演じ続ける事数ヶ月。

さすがに頭が混乱することも増えていた。


「ツェーザルは趣味とかあるのかしら、ちゃんと休まないと駄目よ」

「ご心配いただきありがとうございます」


少しふっくらしてきたシズリアからは母親らしさが滲み出ている、裏でツェーザルが何をしているかを知らない彼女に心配はかけられない。

ジークハルトからはそろそろ手を引いて良いと言われているのだが、ツェーザルは徹底的に潰しておこうと思っている。


(めんどくせぇけど、奥様が平和だとジークハルト様も嬉しそうだし)


相手が一人ならば期待を持たせるだけの関係を続けるのも大して時間を取らないのだが。


(三人別々ってのがめんどくせぇ…この間も危うく呼び間違えるところだったし)


体の関係を持ってしまうほうが楽だったのではと思うくらい、三人並行して気を持たせるのは面倒だった。


(あんなでも家柄はそこそこ良いから、下手に手を出すと厄介な事になる…ジークハルト様に止められたから仕方ない)


関係を断つ時にツェーザルが不利になりすぎないように、とジークハルトから釘を刺されたのだ。

責任を取れだのなんだのと言われるのは確かに御免だ、ツェーザルは相手に気付かれない程度の壁を保ったままの関係を続けていた。
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