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第1話:祈りの拳
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この世界の全ての人間はスキルと呼ばれる能力を持ち、5歳の時に神託を受け職業が決まる。
あくまでも才能の一部のため、もちろん違う道に進むことも可能だ。
料理人との神託を受けてもアイドルになるものや、魔法使いが剣士になるなど、性格や夢までは神でも弄ることはできない。
「グォオオオオオ」
「モンスターだ!町にモンスターが入ってきたぞ!!」
群れからはぐれたのか、一匹のモンスターが町の警備隊を蹴散らしながら侵入してくる。
その騒ぎを聞きつけて、教会から一人の少女が様子を見に出てきた。
「お、おいお嬢ちゃん危ないぞ!」
「その格好は修道女かい?早く逃げなさい!」
神に祈りを捧げる乙女、彼女の名はリリーナ。
浄化のスキルを持つ聖女候補で、大神殿からの呼び出しを受け一人旅の途中だ。
「ギャオオオオオオ」
小刀の一つも持っていないリリーナ、その目の前までモンスターが迫る。
「危ない!!」
「逃げろ!!」
逃げ惑いながらリリーナを心配する声が上がった、その時。
ドゴォッ
祈りるように両手を握っていたリリーナは、その拳を大きく振りかぶってモンスターに叩きつけた。
象ほどの大きさだったモンスターはたった一撃で倒れ動かなくなる。
「…は?」
「…嘘だろ…」
見ていた人々は目を疑った…か弱い少女にしか見えない彼女が素手でモンスターを倒しただと?
人々の視線を集めている事など気にもせず、リリーナは軽く両手を揉みほぐす。
「ふー…うるさいなあ。祈りが終わったところでよかった」
そして何事もなかったかのようにリリーナは歩き出し、その町を後にした。
「あーあ、まだまだ遠いなあ…全く、浄化の能力者は大神殿に来い!って言うなら迎えくらい寄越してよね」
リリーナは孤児院出身で、併設されていた教会に所属していた修道女。
神から与えられたスキルは浄化、しかし神託で告げられた職業は拳闘士。
何を思って神がそのような組み合わせの人間を作り出したのか、それを知る者はいない。
幼い頃からお転婆だったリリーナは、メキメキと拳闘士としての才能を開花させた。
しかし浄化のスキルは貴重なもので、教会のお世話になっていることもあり修道女の道へ進むことにしたのだが。
大神殿から呼び出されたのはいいが、小さな教会で長旅の資金がなかったためリリーナは徒歩で何ヶ月かかるか分からない旅を始めたのだ。
「お祈りで貰ったお布施も少し溜まってきたし、ちょっと馬車借りちゃおうかなー…でも美味しいものも食べたい」
先程の町は騒ぎになってしまったので、次の町を目指すことにした。
あくまでも才能の一部のため、もちろん違う道に進むことも可能だ。
料理人との神託を受けてもアイドルになるものや、魔法使いが剣士になるなど、性格や夢までは神でも弄ることはできない。
「グォオオオオオ」
「モンスターだ!町にモンスターが入ってきたぞ!!」
群れからはぐれたのか、一匹のモンスターが町の警備隊を蹴散らしながら侵入してくる。
その騒ぎを聞きつけて、教会から一人の少女が様子を見に出てきた。
「お、おいお嬢ちゃん危ないぞ!」
「その格好は修道女かい?早く逃げなさい!」
神に祈りを捧げる乙女、彼女の名はリリーナ。
浄化のスキルを持つ聖女候補で、大神殿からの呼び出しを受け一人旅の途中だ。
「ギャオオオオオオ」
小刀の一つも持っていないリリーナ、その目の前までモンスターが迫る。
「危ない!!」
「逃げろ!!」
逃げ惑いながらリリーナを心配する声が上がった、その時。
ドゴォッ
祈りるように両手を握っていたリリーナは、その拳を大きく振りかぶってモンスターに叩きつけた。
象ほどの大きさだったモンスターはたった一撃で倒れ動かなくなる。
「…は?」
「…嘘だろ…」
見ていた人々は目を疑った…か弱い少女にしか見えない彼女が素手でモンスターを倒しただと?
人々の視線を集めている事など気にもせず、リリーナは軽く両手を揉みほぐす。
「ふー…うるさいなあ。祈りが終わったところでよかった」
そして何事もなかったかのようにリリーナは歩き出し、その町を後にした。
「あーあ、まだまだ遠いなあ…全く、浄化の能力者は大神殿に来い!って言うなら迎えくらい寄越してよね」
リリーナは孤児院出身で、併設されていた教会に所属していた修道女。
神から与えられたスキルは浄化、しかし神託で告げられた職業は拳闘士。
何を思って神がそのような組み合わせの人間を作り出したのか、それを知る者はいない。
幼い頃からお転婆だったリリーナは、メキメキと拳闘士としての才能を開花させた。
しかし浄化のスキルは貴重なもので、教会のお世話になっていることもあり修道女の道へ進むことにしたのだが。
大神殿から呼び出されたのはいいが、小さな教会で長旅の資金がなかったためリリーナは徒歩で何ヶ月かかるか分からない旅を始めたのだ。
「お祈りで貰ったお布施も少し溜まってきたし、ちょっと馬車借りちゃおうかなー…でも美味しいものも食べたい」
先程の町は騒ぎになってしまったので、次の町を目指すことにした。
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