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第22話:運命の双子
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旅を続けるリリーナ達は、岩の魔物が出るというガーロンの谷へ向かった。
「見えてきましたね、あれがガーロンの谷です」
「かなり頑丈で大型の魔物が出るという噂ですよ」
「岩の魔物ということは、食べられないわね」
どうしても食に繋がるリリーナの思考回路。
一つ前の街でしっかり肉料理を堪能してきたのだが、すでに口が肉を欲している。
「早く終わらせて肉を食べましょう」
「…そうですね」
「…次は魚でもよろしいでしょうか」
「魚ならアクアーラ海域の魚が食べたいわ、海沿いの街へ行った時にしましょうよ」
そんな話をしながら谷へ近づく一行。
崖から覗き込むと、底が見えないほど深い谷の奥から生ぬるい風が噴き上げてきている。
「なんだか気持ち悪いわね」
『気持ち悪いだとおおおお!!』
谷の底から声が響き、複数の岩が飛んできた。
「わっと」
「お気をつけください!」
「魔物か!」
岩と共に現れたのは、家三つ分くらいある魔物。
『人間どもめ、我が縄張りを荒らしにきたか!』
「魔物が喋った!」
『ふはははは!我は人間を食った!我は最強となる!』
今までも人食いの魔物と何度も遭遇してきたが、人語を話す魔物など一匹も居なかった…しかし目の前の魔物とは間違いなく会話ができている。
「どういうこと…食べた人数が関係するとか?」
「とにかく倒すしかありませんね」
「守りは私にお任せを」
盾になるべくマルロが前に出る。
『ひ弱な人間が我に傷など付けられるものか!』
雄叫びを上げ攻撃してくる魔物。
その威力は凄まじく、地響きに足を取られて動きにくい。
「私が引きつけます、その隙にリリーナ様が攻撃を」
アレクシオの合図に頷き、リリーナが隙を狙う。
大きな人間のような形をした魔物、その足元を走り回るアレクシオ。
魔物は攻撃が当たらず苛立ち始める。
『ちょこまかとおおお!!』
「ていやっ」
まずは右足を殴る。
『ぐああああ!足が!』
よろめいた魔物の腰の辺りを殴り、更に体勢を崩した所で魔物の体を駆け上がるリリーナ。
「ふんっ!」
渾身の力で魔物の脳天に拳を振り下ろし、
『ぐぁああああああ!!』
倒れ込んだところへトドメの一撃。
「うりゃぁあ!」
ゴンッ
『ぎゃあああああくそおおおお!!』
魔物は地に伏し、動かなくなった。
「やりましたね!」
「ええ…あら?」
リリーナはある事に気づき、魔物の亡骸へ近づく。
その腹の当たりが仄かに光っていたのだ。
そっと触れてみると…
「…人だわ!!」
ひび割れた魔物の体の奥に、人間の姿が。
リリーナが触れると、ヒビは大きくなり崩れていく。
「なんという事だ…」
「…妊娠しているようですね」
そう、中に閉じ込められていた人物は女性。
そしてその腹部は今にも生まれそうなほど大きくなっていた。
「なぜ…待って、まだ生きてる!息があるわ!」
女性の胸は僅かに上下している、リリーナは彼女の体を抱きしめ力を注ぎ込む。
「お願い、繋がって…」
虫の息となっている女性、更にはその胎内にいるはずの命へ手を伸ばすリリーナ。
リリーナの体からは光と共に紫の霧が生まれ、二人を包み込んだ。
---そして数十分後、立て続けに聞こえた産声。
女性が最後の力を振り絞って産み落としたのは、双子の男女だった---
「見えてきましたね、あれがガーロンの谷です」
「かなり頑丈で大型の魔物が出るという噂ですよ」
「岩の魔物ということは、食べられないわね」
どうしても食に繋がるリリーナの思考回路。
一つ前の街でしっかり肉料理を堪能してきたのだが、すでに口が肉を欲している。
「早く終わらせて肉を食べましょう」
「…そうですね」
「…次は魚でもよろしいでしょうか」
「魚ならアクアーラ海域の魚が食べたいわ、海沿いの街へ行った時にしましょうよ」
そんな話をしながら谷へ近づく一行。
崖から覗き込むと、底が見えないほど深い谷の奥から生ぬるい風が噴き上げてきている。
「なんだか気持ち悪いわね」
『気持ち悪いだとおおおお!!』
谷の底から声が響き、複数の岩が飛んできた。
「わっと」
「お気をつけください!」
「魔物か!」
岩と共に現れたのは、家三つ分くらいある魔物。
『人間どもめ、我が縄張りを荒らしにきたか!』
「魔物が喋った!」
『ふはははは!我は人間を食った!我は最強となる!』
今までも人食いの魔物と何度も遭遇してきたが、人語を話す魔物など一匹も居なかった…しかし目の前の魔物とは間違いなく会話ができている。
「どういうこと…食べた人数が関係するとか?」
「とにかく倒すしかありませんね」
「守りは私にお任せを」
盾になるべくマルロが前に出る。
『ひ弱な人間が我に傷など付けられるものか!』
雄叫びを上げ攻撃してくる魔物。
その威力は凄まじく、地響きに足を取られて動きにくい。
「私が引きつけます、その隙にリリーナ様が攻撃を」
アレクシオの合図に頷き、リリーナが隙を狙う。
大きな人間のような形をした魔物、その足元を走り回るアレクシオ。
魔物は攻撃が当たらず苛立ち始める。
『ちょこまかとおおお!!』
「ていやっ」
まずは右足を殴る。
『ぐああああ!足が!』
よろめいた魔物の腰の辺りを殴り、更に体勢を崩した所で魔物の体を駆け上がるリリーナ。
「ふんっ!」
渾身の力で魔物の脳天に拳を振り下ろし、
『ぐぁああああああ!!』
倒れ込んだところへトドメの一撃。
「うりゃぁあ!」
ゴンッ
『ぎゃあああああくそおおおお!!』
魔物は地に伏し、動かなくなった。
「やりましたね!」
「ええ…あら?」
リリーナはある事に気づき、魔物の亡骸へ近づく。
その腹の当たりが仄かに光っていたのだ。
そっと触れてみると…
「…人だわ!!」
ひび割れた魔物の体の奥に、人間の姿が。
リリーナが触れると、ヒビは大きくなり崩れていく。
「なんという事だ…」
「…妊娠しているようですね」
そう、中に閉じ込められていた人物は女性。
そしてその腹部は今にも生まれそうなほど大きくなっていた。
「なぜ…待って、まだ生きてる!息があるわ!」
女性の胸は僅かに上下している、リリーナは彼女の体を抱きしめ力を注ぎ込む。
「お願い、繋がって…」
虫の息となっている女性、更にはその胎内にいるはずの命へ手を伸ばすリリーナ。
リリーナの体からは光と共に紫の霧が生まれ、二人を包み込んだ。
---そして数十分後、立て続けに聞こえた産声。
女性が最後の力を振り絞って産み落としたのは、双子の男女だった---
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