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ケイン・マークス
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キールの言葉はケインの胸に刺さった。
仲間達の想いが嬉しかった。
ケインはしっかりと剣を握り直し、立ち上がる。
「まだだ…俺はまだ奇跡を起こしていない…」
きっと過去の自分は十分やったと言うだろう。
ここまで来たこと、そして四天王に一撃を食らわせたこと。
旅を始めるまでの自分だったら考えられないほど成長している。
間違いなく強くなった、自分で自分を褒めてやりたいくらいだ。
(だが、まだ足りない…)
勝たなくては。
自分だけが負けるなんて、かっこ悪い。
(俺は…もう二度と、これで良いなんて思わない)
故郷では強い方だったケイン。
しかし騎士試験での成績は下の下で、入隊後も次々と同僚が成果を上げる中なにもできず。
(俺だけが成長できなかった)
同じ訓練をしているはずなのに。
なぜ同僚はどんどん先へ行く?
なぜ俺だけ立ち止まっているんだ?
なぜ、後輩にまで追い抜かれていくんだ…
最初の数年は、もちろん悔しくて必死に訓練した。
なかなか成果が出なくても、訓練をサボらず自主練も追加して頑張った。
それでも努力が身を結ばない、そんな日々が続いたある日。
少しだけ気分転換にと立ち寄った酒場で、飲み会をしていた先輩たちの会話が聞こえてきたのだ。
「いやー、まじめに訓練してもバカを見るだけだよな」
「そうそう、クビにさえならなけりゃ金が入ってくるのによ」
「命賭けるなんて馬鹿なことしなくていいよなー」
笑って酒を飲む先輩騎士たち。
それを見て、ケインの中で何かが壊れた。
(ああ…そうか。頑張っても無駄なら、やめていいんだ)
彼はその日から努力をやめた。
(今ならあの日の俺をぶん殴って訓練場に引きずっていくのにな)
悪魔の囁きに耳を傾けてしまったことを、後悔しても遅い。
旅をしながら体を鍛え直したけれど、毎日頭の中にはあの日の自分がいた。
馬鹿だな、無駄なのに。
ずっと脳内に聞こえる過去の自分の声を振り払いながら、ここまで来たのだ。
名誉の死を遂げれば多額の金が実家に送られる。
(…知るか!俺は生きて帰るんだ、仲間たちと!)
幼い頃憧れた英雄譚。
そこに名を刻むべく、ケインは。
「うおおおおおお!!」
キールたちに話しかけたせいで隙が出来ていたガメル、その足の付け根に剣を突き刺す。
『ぐあ!』
体勢を崩したガメルの脇目掛けて剣を振り上げると、僅かな隙間に剣が通った。
関節部分には僅かだが隙間がある、その繋ぎ目を狙ったのだ。
そしてケインは大きく跳ね、
『人間めえええええ!!』
顔を上げ睨みつけてきたガメルの残された目を。
『ぎやぁああああ!!』
渾身の力で突き刺した。
仲間達の想いが嬉しかった。
ケインはしっかりと剣を握り直し、立ち上がる。
「まだだ…俺はまだ奇跡を起こしていない…」
きっと過去の自分は十分やったと言うだろう。
ここまで来たこと、そして四天王に一撃を食らわせたこと。
旅を始めるまでの自分だったら考えられないほど成長している。
間違いなく強くなった、自分で自分を褒めてやりたいくらいだ。
(だが、まだ足りない…)
勝たなくては。
自分だけが負けるなんて、かっこ悪い。
(俺は…もう二度と、これで良いなんて思わない)
故郷では強い方だったケイン。
しかし騎士試験での成績は下の下で、入隊後も次々と同僚が成果を上げる中なにもできず。
(俺だけが成長できなかった)
同じ訓練をしているはずなのに。
なぜ同僚はどんどん先へ行く?
なぜ俺だけ立ち止まっているんだ?
なぜ、後輩にまで追い抜かれていくんだ…
最初の数年は、もちろん悔しくて必死に訓練した。
なかなか成果が出なくても、訓練をサボらず自主練も追加して頑張った。
それでも努力が身を結ばない、そんな日々が続いたある日。
少しだけ気分転換にと立ち寄った酒場で、飲み会をしていた先輩たちの会話が聞こえてきたのだ。
「いやー、まじめに訓練してもバカを見るだけだよな」
「そうそう、クビにさえならなけりゃ金が入ってくるのによ」
「命賭けるなんて馬鹿なことしなくていいよなー」
笑って酒を飲む先輩騎士たち。
それを見て、ケインの中で何かが壊れた。
(ああ…そうか。頑張っても無駄なら、やめていいんだ)
彼はその日から努力をやめた。
(今ならあの日の俺をぶん殴って訓練場に引きずっていくのにな)
悪魔の囁きに耳を傾けてしまったことを、後悔しても遅い。
旅をしながら体を鍛え直したけれど、毎日頭の中にはあの日の自分がいた。
馬鹿だな、無駄なのに。
ずっと脳内に聞こえる過去の自分の声を振り払いながら、ここまで来たのだ。
名誉の死を遂げれば多額の金が実家に送られる。
(…知るか!俺は生きて帰るんだ、仲間たちと!)
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そこに名を刻むべく、ケインは。
「うおおおおおお!!」
キールたちに話しかけたせいで隙が出来ていたガメル、その足の付け根に剣を突き刺す。
『ぐあ!』
体勢を崩したガメルの脇目掛けて剣を振り上げると、僅かな隙間に剣が通った。
関節部分には僅かだが隙間がある、その繋ぎ目を狙ったのだ。
そしてケインは大きく跳ね、
『人間めえええええ!!』
顔を上げ睨みつけてきたガメルの残された目を。
『ぎやぁああああ!!』
渾身の力で突き刺した。
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