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番外編
サーラとトーマ
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不戦協定が結ばれた後。
魔法府へ戻ったサーラは上司や同僚達から質問攻めにされていた。
「四天王と戦ったのか?!」
「その青年は…毒使いだと?どのような魔法なのだ!」
「魔物にあったんだよな、どんな魔法を使っていた?」
トーマのことは自分で研究したかったサーラ。
質問攻めにオロオロしながらジリジリ後退りし、隙をついてトーマを引きずって逃げた。
「あ!まてサーラ!」
「独り占めは狡いぞ!」
飛び込んだのは自分の研修室。
狭くて埃っぽい物置のような部屋に入り、鍵をかける。
「はぁはぁ…やっと帰ってこれた…」
「あ、あの…僕も来て良かったんですか?」
おとなしいイメージだった魔法府の職員達の危機迫る顔は恐ろしく、トーマは思い出して震えた。
「すみませんトーマさん、驚かせてしまって」
サーラは椅子の埃を軽く払い、トーマに座るよう勧める。
そして本棚に向かうと毒使いに関する書籍を手に取った。
「ふふふ…この本にも書いていなかった、毒を吸収する能力。なにより、意思を持ち生きる毒。私だけの研究ができるわ…ふふふふふ」
不気味に笑い、トーマを振り返るサーラ。
「あ、あの…なにを…」
何故だろう椅子から立てない。
冷や汗を流すトーマに、サーラはニッコリと微笑む。
「痛かったら言ってくださいね…大丈夫ですよ、ちゃーんと優しくしますから…」
その手には太い注射器のようなものが握られている。
魔力を測るためのものなのだが、もちろんトーマはそんなもの知らない。
「え、なんですかそれ…何するんですかー?!」
響き渡るトーマの悲鳴。
しかし助けてくれる者などここには居ない。
部屋の外で聞き耳を立てている職員達は、ただ悔しくて嘆いているだけ。
「くっそー!サーラのやつ楽しそうだな!」
「せめて見学だけでも…!」
「開けてくれよー、見せてくれよー!」
結局、トーマが実家に帰れたのは半年後。
虚ろな笑顔を浮かべるトーマを父と兄は心配したが、
「大丈夫だよ…とても楽しく過ごしているよ…」
トーマは一泊だけして魔法府へ戻ってしまった。
彼はもう、サーラから逃れられない。
「お帰りなさい、トーマさん!またたくさん実験しましょうね♪」
「はい…」
その後、周囲から「子供に遺伝するのか実験できたらいいのに」と言われ、真剣に考え込んだサーラに押し切られる形で二人は結婚することになる。
サーラに振り回されるトーマはいつも幸せそうだったとか。
サーラがドM製造機と呼ばれるようになったかどうかは、わからない-----
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不気味に笑い、トーマを振り返るサーラ。
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「くっそー!サーラのやつ楽しそうだな!」
「せめて見学だけでも…!」
「開けてくれよー、見せてくれよー!」
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「お帰りなさい、トーマさん!またたくさん実験しましょうね♪」
「はい…」
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