異世界YouTuber、バズる!!

歌龍吟伶

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夢か現か

第3話

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俺は目の前の存在が信じられなくて、思いっきり自分の顔を叩いた。

クソいてぇ…ゲームとかで見たことあるけど、なんでドワーフが目の前に??

痛いけど、やっぱり夢だ。

俺はそう結論づけて、目を覚まそうと意識を集中させる。


(起きろ俺!今何時だ?バイトに遅れてクビにでもなったら家賃が払えねえ!!)


俺は必死に念じた。


「変な格好した兄さんだなあ、どこから来たんだ??」


ドワーフがダンディーな声で話しかけてくる。

無駄に良い声してやがるな、イメージじゃないぞ?

何に影響された夢なのか。

そんなことを考えながら、俺はいつのまにか「起きろ…起きろ…」と口に出して呟いていた。


「なああんた、本当に大丈夫か?」


俺に無視され続けたドワーフが、ついに業を煮やして肩を叩く。

しっかり強めに。


(やっぱりイテェ)


痛覚すらリアルだ。

…これは、まさか、夢じゃない?

あり得ないあり得ない、自分にそう言い聞かせようとしても冷や汗が出てくる。

俺は恐る恐るドワーフに聞いてみた。


「な、なあ…ここはどこなんだ?」


ドワーフは、散々無視しておいて突然質問してきた俺に驚いたように一歩後ずさる。

すまんすまん、夢だと思ってたしさ。

…ていうか夢だよな?誰かそうだと言ってくれ。

ドワーフは、俺の質問に丁寧に答えてくれた。


「ここはサナ王国領にあるダムダムの森だ、森を出たらすぐラークの町がある」


さっぱり分からん!!

ちんぷんかんぷんな俺の様子に、ドワーフは心配そうな顔をする。


「兄さん、魔物にでも襲われたのか?頭の方かなりやられちまったようだな」


「あー、やっぱ魔物とかいるんだ…」


どうすんだよ丸腰だぞ?

俺は無意識にズボンのポケットに手を伸ばす。

そこには、馴染みある俺のスマホ…スマホ!?


「は!?スマホあんじゃん!!」


俺が突然叫んだもんだからドワーフは飛び退いた。

でも気にしてる余裕なんてない、俺はスマホの電源を入れてみた。


「…電源入るし!電波も通じてるのかこれ」


普段と変わった様子はない…友達からゲームをクリアしたというメッセージも来ている。

電気とか電波とかどうなってんの?


「なーんだ、やっぱり夢じゃん」


俺はそう結論づけた。

妙にリアルだしなかなか目覚めそうにないが、そのうち起きれるだろう。

しばらくこの変な夢に付き合うことにした。


「えーっと、俺はタケル!あんたは?」


「あ、ああ…俺はドーグ」


「ドーグさんか!あのさ、ドワーフってやつだよな?色んな種族がいるのか?」


俺の質問に、ドーグは目を丸くした。
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