とある一般人女性の日常

歌龍吟伶

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クレーム王「どちらでもどうぞ」

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とある職場のT君は、図体がデカく無愛想。

そんな彼は、人呼んでクレーム王。


「あんなに態度の悪い店員は初めてよ!!」
「あの態度はなんだ!?辞めさせないなら今後の取引も考えるぞ!」


など、お客様だけでなく取引先からもクレームを受けまくる。

しかし当の本人はまったく気にしておらず、 2年経ってようやく少しマシな接客をするようになったような気がする…という程度だ。

ある日の事。

販売員Aが店内で作業していると、女性客が二人来店した。

別々のお客様で、それぞれ商品を選んでいる。

そして、同時にレジへ向かった。

レジ入り口で鉢合わせし、どうぞ合戦を始めるお客様たち。

レジに立つのは、クレーム王T君。

販売員Aが隣のレジを開けるために向かった、次の瞬間。


「どちらでもどうぞー」


レジに片手をついていたT君が、そう言い放ったのだ。

ちなみに、販売員Aはお客様が同時にレジへと近づいた瞬間にはもうレジを開けようと向かっていた。

この間わずか30秒ほど。

面倒が大嫌いで待てないT君は、どうぞどうぞをし始めた客を見て咄嗟に本音が出てしまったのだろう。

販売員Aは、内心(どちらでもどうぞじゃねーよ!!)とツッコミつつレジを開設。


「お客様、こちらのレジへどうぞ」


幸いにもこの時のお客様はどちらも穏やかな方で、笑いながらAとT君のレジで会計を済ませ退店していった。

この日は暇だったため、客の居なくなった店内で販売員AはT君に声をかける。


「ちょっとー、どちらでもどうぞは笑ったわー」

「いやー、間違えました」


何か違う事を言わなくてはという考えはあったらしい。

同時でなければ、お先にお待ちのお客様からどうぞと言える。

どちらかが出口から並んだのであれば、入り口はこちらですと言える。

まったく同時に入り口からレジに並ばれたがゆえに起きた珍事であった。
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