オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将

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第45話 オッサン齢53歳にしてストライキにあう。

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 ボスティラノサウルスは本当にデカい。

 テーマパークでジュラシックな世界を体験出来るボートに乗った時に最後に出てくる奴と同じくらいのサイズがある。

 相手の頭がかなり自分より上の方にあった。

 相手がこちらに反応するギリギリまで近づき、そこから一気にダッシュする。

 体型と体重で補正が入るのか、レベルが上がった割に俺の足は遅い。
 それでも、運動してない一般男性程度のスピードと持続力は確保できるようになった。

「うぉぉぉ!」
 雄叫びをあげてこちらに注目させる。

 俺を認識して突進して来た、
 相手と目が合った瞬間俺の背中から魅夢がひょこっと顔を出してティラノサウルスを魅了する。

 よし!

 グハァァ!

 魅了に成功したので油断した。
 相手が突進して来た勢いが完全に収まらず体当たりに近い状態でぶつかった。

 勢いで吹っ飛ばされるが、なんとか相打ちのような状態でダメージは与えられた。

 相手のHPも高く、俺の回復量も増えているので、HPは満タンになるから問題はないんだけど…。

 この戦い方は痛いしカッコ悪い。

 もう少しカッコよくモンスター倒せるようにならんかな。

 そう考えながら、ボスのレアドロップ品を回収しようと思ったが…。
 …
 …
 …
 あれ?落ちてないな。

「みードロップ品回収した?」

「してないよ」
 なぜ?

 笹かまに聞こうと居る方を見て納得した。

 今、近くには千紗、笹かま、女の子2人、オッサン2人しかいない。

 残りの17名はもう少し遠いところにいた。

 俺たち分を含めて、ドロップ率は32%だ。

「ごめんごめん、倒すの早すぎた?」
 笹かまにそう伝えると、なんかすごい形相をしてる。

「剣崎さんは問題ないっす…あいつらが来なかっただけで」

「どういう事?」

「協会の特別措置受けてるって事は、運が悪かった、環境が悪かったって人もいるんすけど、文字通り悪質なやつも居るんすよ。むしろそっちの方が多いくらいなんす。
 そういう奴は排除するようにしたつもりなんすけど、すんません甘かったみたいっす」

 笹かまにそう告げられた所で、後ろからニヤニヤしながら、リーダーらしき態度の男が近づいて来た。

「こんなに簡単にドロップ出来るなら俺たちにも分けてくれても良いんじゃないですかねぇ」

「少しと言うのはどれくらいだ?」

「そうですね、1人につき1日10万で良いですよ」
 1日210万…1月で6000万以上の出費で2億貯めるのか…。
 無理だな。

「流石に無理だよ…」

「じゃあ、俺たちはもうボスモンスターに近づかないです。
 良いんですか?
 このまま稼げなくなりますよ?」

 困った。

「オッサン!お前は大人しく金払えば良いんだよ!
 あ!俺らがいなければアイテム手に入らねぇんだろうが!
 ごちゃごちゃ言わずに出すもの出せよ!」

 別のメンバーからも強く言われてしまった。

「はいはいはいはい、皆さん契約書にちゃんと目通してるっすかぁ?
 今回の報酬は皆さんをレベル30まで引き上げる事だけっす、また途中でこちらの指示に従わない場合は即時解雇ってなってるっすよ」
 すっかり困ってどうして良いか分からずにいたら、笹かまが間に入ってくれた。

「辞めさせれるものなら、辞めさせてみろよ!
 この先のレアドロップどうするつもりだ?」
 どうも、本人たちの思惑と違っていたようで、ちょっと焦ってる

「別の人雇うっすよまだ2日目っすし、はい、じゃあ武器回収するんで返してくださーい」

「待て!俺たはそっちのオッサンと話してるんだ!横から口出すんじゃねぇよ!」
 さっきの口調の荒い人が抗議して来た。

「あー剣崎さんが依頼主っすけど、協会として皆さん雇用してるんで、その辺の業務は俺の仕事っすね」

「てめぇ!痛い目見せるぞ!
 この人数相手に勝てると思ってるのか?」

「は?」
 あ、いつも笹かまじゃ無くなった。

 一瞬でとんでもない殺気が溢れ出して来た。

 やっぱり、笹かまってとんでもなく強い探索者なんだな。

「ダンジョン内での暴力行為つーのは殺し合いだぞ?
 お前、死ぬ覚悟出来てるんだろうな?」
 うっわ、やっば、絶対笹かま怒らせないようにしよ。

「そ、そ、そんな事したら、ダンジョン出てから訴えてやるからな!」

「どうやって出るんだ?」

「え?そ、それは、契約書にもダンジョンからの帰還の保証は書いてあったろう!」

「即時解雇っつったろ?
 契約はすでに無効化してんだよ、お前らボス倒した時近くに居なかったって事はここのゲートくぐれないんだぞ?」

「ちょ、ちょっと待て!俺たちを上まで連れて行かないって言うのか!」

「暴力行為するって言ってる奴らを連れて帰るわけねぇだろ?」

「おかしいだろ!こんな所まで連れて来ておいて、何言ってるんだ!」

「いいから、まずお前らに貸した装備返せよ」

「まだ交渉中だ!返せるわけゲボォォォ」
 うわ!笹かまがいきなりリーダーらしき態度の男の腹警棒で引っ叩いた。

「うるせーよ…んっんっ、協会から貸与したものの返却をしない場合、悪質な横領とみなし強制回収させてもらいます」
 うん、順番が逆だね。

 それでも、慌ててみんな装備を返し出した。

「改めて、皆さんは契約が解除されました。
 ここからの帰還を望む場合、ダンジョン遭難扱いで自己負担で遭難救助申請した方のみ上に戻ってもらいます。
 金額は階層×1万円に下層なので4倍で180万になります。
 支払えない方は、協会の方で一時負担させていただきますので、そちらの申請もしてください。
 次にボスのリポップは4時間後ですのでそれまでに決めてくださいね」
 笹かまがビジネスモードになってそれだけを伝える。

「ま、待ってくれ!俺はこいつらに騙されただけなんだ!」

「そういう苦情は騙した奴にするっす。
 うちは契約通りに行動するだけっす。」

「これ以上借金増えたら、生きていけない!」

「じゃあ、死ぬしかないっすね」
 笹かまが鬼になってる。

 笹かまに促されて、俺たちはゲートの途中にあるプレートから1階に戻る事にした。

「こんな下まで来て俺たちと一緒に居たんだから、かなりレベル上がってるんじゃないのか?
 自力で上戻れないのか?」
 道すがら笹かまに聞いてみた。

「ん?剣崎さんってボスフィルター知らないんすか?」

「ボス…フィル…ター?」

「ボスの適正レベル行ってない奴がどんなに下降りても、ボス階と同じ経験値効率になるってのを、通称ボスフィルターって言うんすけど?」

「えっと、もう少し詳しく教えてくれないか?」

「んーと、最初のボスが5階っすよね、そうすると適正レベルは5ってなるっす。
 ここを4でクリアしてその下降りても5階と同じ数だけモンスター倒さないとレベル上がらないっす。
 今回のメンバーだと1桁レベルばっかりなので、10階も40階も倒す数一緒にって事っすね」

「え!そうなの!?」

「自力で真っ当にレベル上げてる人は気にする必要ないっすけど、今回みたいなパワーレベリングだと影響出るっすね」

「じゃあ、今いるメンバーもせいぜいレベル12、3って事?」

「そんなもんじゃないっすかね?」

「え!あいつら、そんなレベルであんな反抗して来たの?」

「今まで全然レベル上がらなかったから、急にレベル上がって気が大きくなったんじゃないっすか?」

「置き去りはちょっと可哀想じゃないか?」

「奴らは自分の実力もかえりみないで行動したんっす。
 探索者は全て自己責任っす。
 自分の都合の良い事ばかりいう奴は死ぬか実力つけるかしか道はないんす」

 明日は我が身にならないよう、俺も気をつけよう。
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