ヒロインと悪役令嬢は戦友⁉︎

文字の大きさ
11 / 13
本編

11話 ヒロインと悪役令嬢、卒業式に挑む!②

しおりを挟む






「皆様!ご歓談の中失礼いたします。メッシーナ・オルドーと申します。少し私の話を聞いていただけませんか。」

会場にいる全員が何事かとメッシーナに注目した。ざわざわとしていた会場は静寂に包まれると共に、メッシーナが話し始めた。

「私の話に耳を傾けてくださり、ありがとうございます。私が皆様にお話ししたいことは殿下の婚約者であるサリア・クローディア公爵令嬢についてです。」

えっ、私のこと?なになに?何も聞いてないし、こんなのは計画にはないけど?他の令嬢、令息から視線を向けられていて私は慌てて食べていた料理を置いて背筋を伸ばした。

「サリア様がルクレウス殿下の婚約者であることはみなさんご存知のことでしょう。私は、サリア様が殿下の婚約者にふさわしくないのではないかと思っております。この間、ある噂を耳にしまして、実際にサリア様が商会で買い物をした際に自分の言い値で買い物をしたり、孤児院に訪問した際も帰り道で孤児たちと遊んだせいでドレスが汚れて不快だなどと王族の婚約者としてふさわしくない行動を取られていることを見聞きましたの。」

他にも、爵位の低い令嬢や、特待生として学園にきた平民を虐めて退学にさせたなどなど色々言っている。
私としては何言ってるかさっぱりわからない。いや、まじで。何かの演出かなー、と思いながらうんうん唸って黙っていると周りの人たちがひそひそ話し始めた。

「サリア様、そんなことしてたのか」

「学園ではとても素敵な方で殿下の婚約者としてもお似合いの方だと思っていたのに知らないところでそんなことしてたなんて。」

「証拠はあるのかしら。メッシーナ嬢が言っているのだから信憑性はありそうね。」

「それと、先日サリア様から相談を受けまして。自分は殿下には勿体無い存在だからあなたが代わりに殿下の婚約者になればいいじゃないと言われたのです。その場でこのお話はお断りしましたがこれでお分かりいただけたでしょうか。サリア・クローディア公爵令嬢は悪女ですわ!私はこんな方がこの国の王族の婚約者など絶対にふさわしくありません。殿下、その悪女との婚約は破棄することを提案いたします!どうかお考えください。」

メッシーナは軽くお辞儀をして私の方を見て口元をニヤリと歪めた。

そりゃあ、話はしたけど嘘織り混ぜすぎでしょうが!色々否定したいけどもう私は悪女認定されているようで視線がとても厳しくなっている。いまさら何を言っても無駄だろう。でも家族に迷惑かけるのもやだしどうしようかとまたうんうん唸っていると殿下の声が聞こえてきた。

「メッシーナ嬢、いい情報をありがとう。」

えっ、殿下はこの話を信じたの?あぁ、そうか、ここでゲームの強制力が働くのか……私の努力は無駄だったのかな…でもメルは殿下とあまり仲良くしてなかったみたいだしバッドエンドを迎えなさそうだからよかったのかなー…













あれ、なんでだろうとても悲しいな……殿下から離れたかったはずなのになんか視界が悪くなってきた…

「サリア、こっちを向いて。まだ私は何も言ってないよ。ちょっと驚くかもしれないけどこれからの話をちゃんと聞いていてね。」

ほら涙拭いて、とハンカチで殿下が涙を拭ってくれている私はなんで殿下はこっちにいるんだろうと頭がぼんやりしていた。


「あぁ、メッシーナ嬢待たせたね。さっきの提案に対する返事をしようか。答えは婚約の破棄はしない。もちろん解消もだ。」

殿下が発した言葉に会場はざわつき始め、メッシーナも動揺を隠さずに殿下に問いかけた。

「なぜですか?商会への迷惑行為はまだしも国民である孤児院の子供たちに対する言葉や令嬢・令息・平民に対するいじめは殿下の婚約者には相応しくありません。お考え直しください!」

殿下は、メッシーナの言葉を聞き、顔に笑みを浮かべた。

「私は、サリアがそんなことをした証拠などを提出されていないし、 何よりサリアには王家の影を護衛につけてある。その影たちからそのような報告はないしそんなことをすればもっと噂は広がっていると簡単にわかるだろう。それとも、オルドー侯爵家は王家に対して何か不満があるのか?」

メッシーナはわかりやすく顔を青白くさせているがもう後戻りはできず、次の言葉を言い連ねた。

「ですが、サリア様が婚約について不満に思っていることはいくら殿下でも知らなかったでしょう?私から見てもお二人は仲睦まじく見えていましたもの。」

勝ち誇った笑みを浮かべてサリアの方を見たが、殿下も楽しそうな顔をして口を開いた。

「今の話を聞いて思ったが、私がこの状況で君のいうことを信じると思うのか?第一、そんな大事なことがあれば君ではなく私にいうだろう、サリアも王族との結婚については幼い頃から学んでいるし、当然わからないわけがない。」

メッシーナは何も言えず、唇を噛み締めた。

「まあ、ついでだから教えるがオルドー侯爵家が行ってきた悪事がわかったぞ。お前がサリアの周りでこそこそしていたことがきっかけで少し調べてみたらたくさんの証拠が出てきてな。以前から調査はしていたが、侯爵の隠蔽が完璧で証拠が掴めなかったのだけどお前の方は杜撰だったのだな、とても助かったよ。それに、サリアの名前で商会で好き勝手したり、気いらない令嬢や平民をいじめて退学にしていたのはお前の方だろ?証拠もあるぞ。それに退学にさせた者たちは王家とクローディア公爵家で保護し、他国への留学や公爵家の支援を受けて暮らしている。言い逃れはできないぞ?」

会場は今までにないくらいざわつき始め、メッシーナへの批判が聴こえてきた。メッシーナはわなわな震え始めて叫んだ。

「あんたのせいよ、サリア!私の方があんたなんかより殿下の婚約者に相応しいわ。マナーやダンスも上手ではないし、勉強だって私とそんなに変わらないじゃない!爵位が高いってだけで婚約者になって気に入らないのよ!」

ぼんやりしていたサリアもやっと事態が飲み込めてきた。
そういうことだったのか。私騙されていたのね、全然気づかなかったわ。でも、オルドー侯爵家がそんなことしてきていたなんてメッシーナは隠すの上手ね、演技力あるわと見当違いなことを考えていた。

「はぁ、サリア、何か可愛いこと考えているみたいだけど現実に戻っていこようね。後、私はメッシーナ嬢を選ぶことはないからね、絶対に。連れて行け!」

入口に控えていた騎士たちがはっ!と言い、メッシーナを連れて行った。

会場から出ていくのを確認してから殿下は皆の方を向いた。

「せっかくの卒業パーティーがこんな感じになってしまい、すまない。私たちはこれで退場するが皆はまだまだ楽しんでくれ。」

殿下が謝罪し、皆はパーティーは仕切り直しだというようにまた乾杯や思い出話に花を咲かせ始めた。

「では、サリア。私たちは行こうか。後からメルティナ嬢もくるからそこで話せばいいよ。向こうにもサリアの好きな料理を用意してあるからね。」





ーーーーーーーーーーーーー

あんまりざまぁではなかったかもですがこれが限界です、、
物足りなかったらすみません、、
次は溺愛回です!






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が

和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」 エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。 けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。 「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」 「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」 ──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。

溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~

紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。 ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。 邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。 「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」 そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。

【完結】元悪役令嬢は、最推しの旦那様と離縁したい

うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
「アルフレッド様、離縁してください!!」  この言葉を婚約者の時から、優に100回は超えて伝えてきた。  けれど、今日も受け入れてもらえることはない。  私の夫であるアルフレッド様は、前世から大好きな私の最推しだ。 推しの幸せが私の幸せ。  本当なら私が幸せにしたかった。  けれど、残念ながら悪役令嬢だった私では、アルフレッド様を幸せにできない。  既に乙女ゲームのエンディングを迎えてしまったけれど、現実はその先も続いていて、ヒロインちゃんがまだ結婚をしていない今なら、十二分に割り込むチャンスがあるはずだ。  アルフレッド様がその気にさえなれば、逆転以外あり得ない。  その時のためにも、私と離縁する必要がある。  アルフレッド様の幸せのために、絶対に離縁してみせるんだから!!  推しである夫が大好きすぎる元悪役令嬢のカタリナと、妻を愛しているのにまったく伝わっていないアルフレッドのラブコメです。 全4話+番外編が1話となっております。 ※苦手な方は、ブラウザバックを推奨しております。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜

咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。 もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。 一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…? ※これはかなり人を選ぶ作品です。 感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。 それでも大丈夫って方は、ぜひ。

完【恋愛】婚約破棄をされた瞬間聖女として顕現した令嬢は竜の伴侶となりました。

梅花
恋愛
侯爵令嬢であるフェンリエッタはこの国の第2王子であるフェルディナンドの婚約者であった。 16歳の春、王立学院を卒業後に正式に結婚をして王室に入る事となっていたが、それをぶち壊したのは誰でもないフェルディナンド彼の人だった。 卒業前の舞踏会で、惨事は起こった。 破り捨てられた婚約証書。 破られたことで切れてしまった絆。 それと同時に手の甲に浮かび上がった痣は、聖痕と呼ばれるもの。 痣が浮き出る直前に告白をしてきたのは隣国からの留学生であるベルナルド。 フェンリエッタの行方は… 王道ざまぁ予定です

処理中です...