【完結】主人公

人殺し

アミンは父に代わり、仕事を直接引き受けるようになった。
報酬が高いほど酷い仕事が多い。
アザゼルの入院費を稼がないと。そう思って仕事を吟味した。
仕事の中には幼稚園襲撃などもあり、胸が痛くなった。
うじ虫のような父を殺せば家族皆が幸せになれるような気もした。
それでもアミンは仕事を続けた。

今になって思えばもっと違う形で仕事をしていればよかった。そうも思ったが、もうアミンはそれらを捉える事が出来なくなっていた。
アミンの仕事は人殺しだった。
アミンはライフルと共に眠り、ライフルと共に過ごした。
最初は父に復讐されるのが怖くてライフルをそばに置いていたが、しばらくするとそれは自分の一部になったような気がした。
今日のターゲットは芹沢と言った。
中学生だか、高校生だか、と言った年齢で親が医者だと聞いた。
ターゲットについては最低限の情報しか入ってこない。私怨だろうな。アミンはそう思った。芹沢の塾帰りアミンは草むらに隠れて慎重に彼の帰宅を待った。
今だ！！
アミンが引き金を引いて芹沢が倒れる。
「うぅ…。」
意識がある。失敗した。
アミンはその場から一目散に離れた。初めて仕事を失敗したのだ。アミンは身の振り方を考えた。見つかれば私はどうなるのだろうか。もう一発撃って確実に仕留めれば良かった。そうも思ったがアミンはただただ震えていた。