魔法使いの少年と学園の女神様

龍 翠玉

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38.女神様のガールズトーク 前編

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 ※穂香視点です

「こんにちは、穂香さん」
「あっ、なっちゃん、いらっしゃい」

 冬休みが始まってすぐ、なっちゃんが遊びに来た。と言っても、来たのは私の部屋ではなくて、ユウ君の部屋。部屋の主のユウ君は、風間君とクリスマスパーティーの買い出しに行ってる。

 みんなに言ってはないけど、私とユウ君が同棲してるなんてことは、なっちゃんにはバレてると思う。
 私達も、もうそこに関してはあまり隠すつもりもないしね。

「もう、通い妻ではなく、若奥さんって感じですね。エプロン姿ごちそうさまです」
「え?そんなことないでしょ?いつもと一緒よ」

 そして、なっちゃんは二人きりの時は特に意地悪だ。ユウ君と私のことをこれでもかというくらい弄ってくる。
 今でこそ少しは慣れてきたけど、去年の今頃なんて大変だったなぁ。
 まだ、ユウ君と付き合ってなくて、知識も経験もなかったから、なっちゃんの言うことが理解できなくて困った。それをわかりやすく言ってもらうと、内容が凄すぎて顔から火が出るくらい恥ずかしかったのも覚えてる。

 私がユウ君と仲良くなる前は、そんなことはなかったんだけど……今日も覚悟しておこう。
 特に今日は、ファミレスとかみたいに周りを気にしなくていいから、なっちゃんが暴走しそうな気がする。

 私の横に座ってるなっちゃんは、今日は白のセーターに赤いチェックのミニスカート。私しかいないからいいけど、普通に下着見えそうなんだよね。

 私はブラック、なっちゃんは砂糖とクリームたっぷりの珈琲を飲みながら、クリスマスパーティのメニューを決めていく。ケーキは買ってくるし、揚げ物とかサラダがメインだから作るのは簡単なんだけどね。

「なっちゃん、それだと多すぎないかな?」
「去年より二人多いから大丈夫じゃないですか?それに……どっちかと言うと、少し余るくらいの方がいいですよね?」
「まぁ、足りないよりはいいよね」
「……そうじゃなくて、次の日の穂香さんの負担を減らすためですよ」
「え?なんで?」
「なんでって……今年もクリスマスはやりまくるんですよね?次の日、立てないと大変ですよ?」
「ちょっと待って。今年は立てなくなるまでなんてしな……あ……」

 しまった。やっちゃった。気付いた時には遅くて、なっちゃんの目がキラッと光った気がした。

「今年は……ですか……去年は立てなくなるまでやったってことですよね?」
「あはは……まぁ……結果的に……」
「……穂香さん、その時が初体験って言ってましたよね?最初から一体どれだけやってるんですか……優希さんは絶倫で鬼畜だったんですね……」

 寝ようとした時はもう明るかったとか、そんな事言えるわけないじゃない。ここはなんとか誤魔化して逃げたい。そして、ユウ君ゴメン……なっちゃんが言ってることは弁解せず、スルーさせてもらうね。

「……そこは、まぁ……初めてで良くわからなかったから……なっちゃんはどうだったの?」

 よく考えたら、なっちゃんの事ってあまり聞いてない気がする。いつも私がテンパって余裕が無いせいもあるからだけど。

「そうですね……普通に痛かったですよ?全体的に思ってた通りかなぁって感じでした。よくある漫画や穂香さんみたいに、最初から良かったなんてこともないですよ」
「待って……私をそんな珍しい物みたいに言わないで……私も最初は痛かったんだから……」
「知ってますよ。言ってみたかっただけです。私は、いわゆる耳年増だったので……知識だけはあったんですよ。逆に浩介さんはあんな感じですけど、全然知識とかなくて……最初から私がリードする形でした。浩介さんは草食系なんですよね」

 なっちゃんは見た目は大人しそうで小っちゃくて可愛いのに……中身は超肉食系のドSなんだよね。

「それは今も同じなの?」
「そうですよ。たまに逆にすると、私が余計なことを言っちゃうので……その時だけは、本気で落ち込んでる浩介さんが見られます。それを見てると、なんかこう色々したくなっちゃうんですけどね」

 なっちゃんはやっぱり風間君の事が大好きなんだなぁ。
 なっちゃんが笑顔でちょっと頬を染めながら、こんなに楽しそうに人の事を話すことなんてないもの。抱きしめて撫で撫でしてあげたいくらい可愛い。

「ところで穂香さん、ぶっちゃけこの一年で何回やりました?もう、私より経験積んでますよね?」
「ふぇ?そ、そんなことないんじゃない?何回したかなんて覚えてないけど……」

 突然とんでもない事聞かれて、思わず変な声出ちゃった。
 計算したら大体はわかるけど、絶対に言ったらいけない気がする。同棲してるからやろうと思ったらいつでもできるから、周りより多いに決まってるし。

「……では、週に何回位してますか?ちなみに、私が調べた情報によると、校内のカップルの平均は二回位ですよ」
「え?うそ?」

 思わず、少なって言いそうになってしまったんだけど。
 私達みたいに同棲してないと会える時間も限られるから、そんなものなのかな?それ以前にいつそんなの調べたの?その平均に私達は入ってないよね?
 そして、私の表情の変化をなっちゃんが逃すはずもなく、

「今、少ないって思いましたよね?もちろん、穂香さん達は入ってませんよ。入れたら平均値が跳ね上がりそうなので……」
「う……そんなことは……ないと思うよ?」
「では、参考までに教えてもらえませんか?いいですよね、穂香さん?」

 そう言って、なっちゃんは私にくっついて腕を抱いてきた。腕になっちゃんの柔らかい感触が伝わってくる。この状態で上目遣いとか可愛すぎてヤバいと思う。反則だよ、なっちゃん。風間君はされてるかわからないけど、こんなの絶対抗えないよ。
 でもここは教えられない。その前に、実際何回くらいなんだろう?毎日はしてないけど……回数だと五~十回の間くらいかな……う~ん、ユウ君次第なんだよ~。

「五回ですか?」

 なっちゃんがじーっと見つめてくる。これ、目を逸らしたら負けだよね。

「八回……いや、十回ですか?…………まさか、十五回とか二十回こえてるとか……ですか?」
「ちょっと、なっちゃん。いくらなんでも、そんなにないって……」
「そうですよね……でも、大体わかったのでいいですよ。十回くらいですね」
「えっ……なんで……」

 わかったの?って言いそうになって、もうその時には全て遅かったことに気が付いた。最初の五回って言われた時に何も言わなかった時点で、それ以上を認めてしまったようなものなのね。

「……穂香さんは最初は壁がたくさんあって分かりにくかったですけど、今はそういうのがなくて分かりやすいです。優希さんと仲良くなってからですかね?」
「……うん……ユウ君と出会ってなかったら、私は全然変わってないと思うよ。間違いなく誰とも付き合ってないし、勉強ばかりしてるつまらない女だって自信あるし……なっちゃんはどうなの?もし、風間君と出会ってなかったら?」
「浩介さんと出会ってなかったら……私は正直わかりませんね。ただ、優希さんがフリーでいたら狙っていると思いますよ」
「え?」

 ユウ君がフリーだったら狙ってた……いや、ちょっと待って……あ、風間君と出会ってなかったの話だよね。あ~なんか私、めっちゃ焦ってる……変な汗出てきたかも。

「穂香さん、動揺しすぎですよ。浩介さんと出会ってなかったらの話なんですから……優希さんに恋愛感情は持ってませんよ」

 とりあえず、珈琲飲んで落ち着こう。
 風間君がいないなんていう仮の話なのに、私の心臓は激しく鼓動を続けている。そして、次のなっちゃんの言葉を聞いて、私は心臓が止まるかと思った。

「ただ、浩介さんがいるいない、優希さんへの恋愛感情とか抜きにして……優希さんとは一度してみたいです」





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