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1巻
1-3
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ゆっくりと自転車を漕いで家に帰ると、真新しい白いスニーカーが玄関に置かれていた。うちの中学は指定こそないけれど、色のついていない白いスニーカーでないといけないという変な決まりがある。
もしかして陽菜が来ているのかな。靴を脱ぎながらリビングに向かって声を上げた。
「陽菜? なにかわたしに用だった?」
「沙織ちゃん、おかえりなさい」
「……おかえり」
リビングのドアからあっちゃんパパと一緒に出てきた人物を見た途端、わたしは「えっ」と小さく声を上げた。
そこに立っていたのは、気まずそうに視線を逸らす高田くんだった。
「な、なんで、うちに高田くんが?」
「こら。人を指でささないの。千晴くんね。実は裏のおばあちゃんのひ孫さんなんですって」
「裏のおばあちゃんの?」
わたしの家の裏には、少し腰の曲がったおばあちゃんが一人で住んでいた。
回覧板を持っていくと必ずお菓子をくれる。わたしたち家族がこの家に引っ越してくる前から裏の家に住んでいて、わたしを孫のように可愛がってくれていた。
大好きなおばあちゃんだ。
「千晴くん、偉いのよ。おばあちゃんのためにお買い物したり、お洗濯したりしているの。本当、おばあちゃん孝行よね」
あっちゃんパパはニコニコしながら高田くんを褒める。親しげに名前で呼んでいるけれど、高田くんは若干困惑しているようだ。
「高田くんが裏のおばあちゃんのひ孫だってことは分かったけれど、なんでうちにいるの」
おばあちゃんのひ孫であることと、ここにいる理由とは直結しない。
「それがね。お肉屋さんで千晴くんが肉じゃがの作り方を聞いていてね。すごく真剣にメモしているんだけれど、やっぱり実際に作って覚えるのが一番でしょ? だからうちに連れてきたのよ。ねっ、千晴くん」
「まぁ、うん」
高田くんは気まずげに頷いた。わたしの直感が働く。
たぶん、高田くん自身はわたしの家に来るつもりはなかった。あっちゃんパパが無理やり高田くんを引っ張ってきたのだろう。商店街にいるおばちゃんたちにも後押しされ、断るに断れない状況におかれた高田くんが簡単に想像できた。
「というわけで、今日のご飯は肉じゃがよ」
確かに醤油のいい匂いが玄関まで漂ってきている。高田くんはあっちゃんパパの顔色を窺うようにして切り出す。
「あの、そろそろ帰ります」
「あら。せっかくだから三人でお茶でも飲みましょうよ」
「いえ。洗濯物を取り込まないといけないんで」
高田くんはさっさとリビングに荷物を取りに行く。
わたしはよかったと息をついた。高田くんとお茶なんてしてもなにを話せばいいか分からないもの。あっちゃんパパのマシンガントークで、わたしたちが話す必要なんてないだろうけれど、気まずいものは気まずい。
「あ! それならおばあちゃんと千晴くんの分も肉じゃがをタッパーに詰めるから、ちょっとだけ待っていてね!」
あっちゃんパパは慌ただしく、台所へ駆けていった。
玄関に取り残されたのは、わたしと高田くん。まさか高田くんを残してわたしだけ部屋に行くわけにもいかず、その場で荷物を持ったまま立っていた。
これなら、三人でお茶をした方が良かったかもしれない。
「えーと。ごめんね、高田くん。あっちゃんパパが無理やり家に連れてきたんでしょ?」
「まぁ、……うん。でも助かった。丁寧に教えてもらえたから」
「へー」
なぜ料理を教わろうとしているのか、高田くんに聞いてみたい。
確かに裏のおばあちゃんからすれば、買い物や洗濯をしてもらえて助かるのだろうけれど、高田くんが放課後を潰してまでやらないといけないのだろうか。
「えーと」
あっちゃんパパみたいに料理が好きなの?
試しにそう聞こうとした。その前に高田くんが口を開く。
「本当、お前のとこの親父パワフルだな。そういえば、もう一人の親父もこうだったな」
もう一人の親父? あっちゃんパパだけじゃなくて、いつの間に裕二お父さんにも会ったのだろうか。
そう思っているうちに、あっちゃんパパが戻ってきた。
「はい。お待たせ。おばあちゃんによろしくね」
あっちゃんパパは高田くんにビニール袋を渡す。
中には肉じゃがの入ったタッパーだけでなく、お漬物のパックも入っていた。この前、裕二お父さんが京都出張のお土産にたくさん買ってきたものだ。
「ありがとうございました」
高田くんはあっちゃんパパに頭を下げて家を出ていった。
「えっ! 高田くんって、裏のおばあちゃんと一緒に暮らしているの⁉」
わたしは肉じゃがのジャガイモをお皿に取り落とすほど驚いた。
「あら。言わなかった?」
食卓を一緒に囲むあっちゃんパパがケロッとした顔で言う。
「言ってないよ」
つまり、わたしと高田くんは学校だけじゃなくて家まで隣同士だということだ。
なるほど、高齢のおばあちゃんと一緒に住んでいるから、買い物や洗濯をしているのだろう。料理もその一環に違いない。
裕二お父さんがほうれん草の和え物に箸をつけながら首をかしげる。
「高田くん……。この前話していた隣の席の?」
「うん。いつも素っ気ない子」
わたしの答えに今度はあっちゃんパパが首を捻る。
「あら、でも今日は熱心だったわよ。出汁の取り方も覚えたいって言っていたくらいだもの。でも、それはおばあちゃんに聞いた方がいいって言っておいたわ。家庭の味だものね」
出汁なんて、あっちゃんパパの手伝いをたまにするわたしでも取ったことがない。料理するときはいつもの顆粒出汁を入れるだけだ。
大体お隣のおばあちゃんは高齢といっても、料理はお手の物。おばあちゃんの作るおはぎは絶品で、甘すぎないあんこはいくらでも食べられる。あんまり高田くんがなんでもやってしまうと、逆にボケてしまうんじゃないかと心配になった。
わたしは、ふと気になったことを尋ねる。
「そういえば裕二お父さんは高田くんに会った?」
「いや。見かけてもいないが?」
「でも今日、高田くんがもう一人の親父もって言っていたんだよね。これって、うちにお父さんが二人いるって知っているってことだよね」
二人は顔を見合わせた。
「暁也。お前、話したのか?」
「いいえ。でも、千晴くんは裏のおばあちゃんのひ孫ですもの。以前、千晴くんがおばあちゃんちに遊びに来たときにでも会ったことがあるのかもしれないわね」
「それか、おばあちゃんから話を聞いていたのかもしれないな。親父が二人もいる子は珍しいから」
確かに高田くんの口ぶりはそんな感じだったかもしれない。
それに、裕二お父さんは珍しいと言うけれど、珍しいどころか全国どこを見ても、お父さんが二人もいるなんてこの家ぐらいじゃないかな。
裕二お父さんはみそ汁をすすりながら、さらに付け加える。
「そうそう。おばあちゃんといえば、うちの親父とお袋がゴールデンウイークのはじめに遊びに来るって」
「おばあちゃんとおじいちゃんが?」
裕二お父さんが「そうだ」と頷く。
あっちゃんパパは美織お母さんと同じ、身寄りのない子供が集まる施設で育った。だから、お父さんとお母さんがいない。わたしがおばあちゃんとおじいちゃんと呼ぶのは裕二お父さんの両親だけだ。
この家に来るなんて珍しい。
どちらかというと、わたしと裕二お父さんが二人のもとに遊びに行くことが多い。嫌われているわけではないけれど、あっちゃんパパも一緒だと微妙におじいちゃんおばあちゃんが気を使うからだ。
それなのに、いきなり遊びに来るなんてどうしたのだろう。
同じように思ったのか、あっちゃんパパが小首をかしげた。
「あら。こんな時期になにかしら」
「なんでも沙織の進級祝いに来るらしい」
「ふーん」
中学二年生になるときは、お祝いなんてしなかったのにどうしたのだろう。
不思議に思いつつも、久しぶりの再会には違いない。お土産を買ってきてくれるだろうから楽しみだ。
四月も折り返しに入り、新しいクラスにもかなり馴染んできた。
三年生にもなると元々知っている顔が多いから、最初からあまり壁も感じない。宮部先生もいい先生で、クラスの頼れるお姉さんという雰囲気で接している。クラス替えで戦々恐々としていたけれど、過ごしやすい良いクラスだ。
ホームルームの時間、宮部先生はプリントを配っていく。
「はい。ではプリントに書かれている通り、この日程で家庭訪問をします。ご両親に確認してもらって、サインを貰ってきてください」
プリントを後ろに回しながら内容に目を通す。例年通り出席番号順かと思いきや後ろからになっていた。
つまり、わたしの順番はクラスの最後。来週から始まってゴールデンウイークを挟み、五月の中旬に終わる予定になっている。
家庭訪問は毎回あっちゃんパパが先生を迎えてくれていた。
わたしの家の事情は先生同士で引き継ぎがあるらしく、家に来ても驚かれることはまずない。あっちゃんパパの手作りお菓子の歓迎に、先生が気おくれすることはあったけれど。
ホームルームが終わると荷物をまとめ始める。やってきた陽菜が訳知り顔で言う。
「中三の家庭訪問かぁ。やっぱりあれを聞かれるかな」
「あれ?」
「進路希望だよ」
考えてもみなかったけれど、確かに進学したい高校を聞かれそうだ。
とはいえ、そう慌てることはない。
中二の三学期にあらかじめ進路調査票を提出しているからだ。わたしは無理せずに行けるバスケ部の強い公立の高校を書いていた。私立もバスケ部が強いところを選んでいる。
「ねえ、高田くんはどこに行くの。一年後には分かるんだから教えてよ。分からなかったら県内の高校の特徴を教えるよ」
物好きにも陽菜が隣に座る高田くんに話を振る。
どうせ答えはないのだろうなと思っていたけれど、意外にも高田くんは口を開いた。
「就職」
「「え?」」
ぼそりとした声に思わず、わたしと陽菜は声を合わせる。
今、就職と言ったように聞こえたけれど……
「だから就職する」
一瞬聞き間違いかと思ったけれど、間違いなかったみたい。
「それって高校に行かないってこと?」
「高校行かないって、……なんで?」
わたしはつい聞いてしまった。それが高田くんの癇に障ったようだ。
「なんでだっていいだろ!」
高田くんはこれまで聞いたことのない大きな声で叫んだ。
「なに?」
「え、今の高田くん?」
珍しい人の大声にクラス中が注目する。
「えっと、ご、ごめん」
わたしは謝るけれど、高田くんはムスッとしたまま荷物を持って立ち上がる。そしてわたしたちを置き去りにして、教室から出ていった。
高田くんは裏のおばあちゃんの家に住んでいる。
もしかしたらお金がないから、高田くんだけおばあちゃんの家に来たのかもしれない。それとも、ご両親が事故に遭って、いないという可能性もある。
なににしてもなにか事情があるに違いなかった。
それが理由で、あんなに素っ気ない態度をしているのかもしれない。人の事情に首を突っ込んで、悪いことをしてしまったと気持ちが沈む。
高田くんのことを考えながら家に帰ると、あっちゃんパパが家から出てくるところだった。帰ってきたわたしを見て、笑みを浮かべる。
「あ。ちょうどよかった、沙織ちゃん。裏のおばあちゃんに回覧板を持っていってくれない?」
青いファイルの回覧板を目の前に差し出された。町内会のそれは月に一度は必ず回ってくる。回覧板を裏の家に持っていくなんて、なんでもない仕事だ。
でも、わたしはすぐには手に取れなかった。
「なんで、わたしが?」
思わず上ずった声になってしまう。
「なんでって、いつも遊びに行っているし。沙織ちゃんが行った方がおばあちゃんも喜ぶじゃない」
当然あっちゃんパパは、わたしが高田くんに会いたくないことを知らない。どうして回覧板を持っていくことを嫌がるのかという顔をしていた。
「そうそう。お野菜いただいたから、それで作った浅漬けも持っていってね」
浅漬けの入ったタッパーまで持たされてしまった。
「分かった。行ってくる」
観念して通学鞄を置き、玄関を出る。おばあちゃんに渡して、すぐに帰ってこよう。
肩に力が入っていることを自覚しながら、家の裏へ向かった。周りを見回して高田くんの姿がないことを確認する。
おばあちゃんの家のチャイムを素早く鳴らした。はーいという返事はおばあちゃんの声だ。ほっと安堵して、インターホンに向けて話しかける。
「裏の秋月です。回覧板を持ってきました」
「あらあら。沙織ちゃん、ちょっと待っていてね」
わたしは自転車だけど高田くんは徒歩だから、まだ帰ってきていないようだ。渡すものだけ渡して、早く去ってしまおう。
程なくして引き戸の玄関がカラカラと音を立てて開き、おばあちゃんが出てきた。腰はちょっと曲がっているけれど、しっかり歩いている。頬がふっくらしていて、お日様のような顔をしていた。
「沙織ちゃん、こんにちは。回覧板、ありがとうね。ちょうど美味しい甘納豆を貰ったのよ。さあ、上がって食べていって」
おばあちゃんは回覧板を受け取ると、わたしの手を優しく引く。
「いえ、わたしは回覧板とあっちゃんパパが作った浅漬けを届けに来ただけなので」
「でもね。本当に美味しい甘納豆なのよ。お友達がお土産に買ってきてくれてね。少しだけ食べていかない? それにお話ししたいこともあるし」
いつもならすぐにお邪魔している。
それでも今日は上がるわけにはいかなかった。
「ごめんなさい。これから、あっちゃんパパのお手伝いをしないといけないから」
あっちゃんパパはたぶん、おばあちゃんの家にお邪魔して帰ってくると思っているだろう。だけど、ここは噓をついてでも、この場を早く立ち去りたかった。
「そう……」
しゅんとしたおばあちゃんの声と表情に心が痛んだ。
そのとき、背後から話しかけられる。
「二人で家の前でなにしているの」
声に振り向くと高田くんが立っていた。
間に合わなかった。帰ってくる前に、立ち去ろうと思っていたのに。
わたしは気まずくて、つい視線を逸らす。
「えっと、回覧板を届けていただけ。それじゃ」
そそくさと、その場を去ろうとした。だけど、高田くんが「待って」と引き留める。
「話したいことがあるから、十分、いや五分だけ家に上がって」
驚くことに高田くんの方から誘いがあった。
「……じゃあ、少しだけ」
あまりにも真剣な目で見つめてくるので、ノーとは言えなかった。
でも、話したいことってなんだろう。
就職について聞き返したことを、まだ怒っているのかな。
「こっち」
高田くんが玄関には入らず、家の塀沿いに歩く。
どこに行くかはすぐに分かった。
平屋のおばあちゃんの家の横には広い庭がある。野菜もそこで育てていて、よくお裾分けを貰う。庭に面した縁側は少し腰かけて話すには、ちょうどいい場所だ。
だが、庭の方に行ったわたしは驚いて足を止めた。
以前はなかったものが置かれていたからだ。
「バスケットゴール……。高田くん、バスケするの?」
ストリートバスケで使われるバスケットゴールが家の外壁につけられていた。前に来たときはなかったし、おばあちゃんが使うわけがない。
持っていた荷物を縁側に置きながら高田くんは言う。
「こっち来る前は、バスケ部だったから」
「そうなんだ! それなら自己紹介のときに、そう言えばよかったのに」
同じバスケ部だったこともあって、一気に高田くんを身近に感じた。
「チビのくせに変だろ」
「そんなことないよ。ポイントガードってポジションもあるし、これから身長が伸びる可能性はいくらでもあるじゃない。ねえ、バスケ部に入ろうよ。わたしが男子バスケ部の子たちに紹介するからさ」
もしかして陽菜が来ているのかな。靴を脱ぎながらリビングに向かって声を上げた。
「陽菜? なにかわたしに用だった?」
「沙織ちゃん、おかえりなさい」
「……おかえり」
リビングのドアからあっちゃんパパと一緒に出てきた人物を見た途端、わたしは「えっ」と小さく声を上げた。
そこに立っていたのは、気まずそうに視線を逸らす高田くんだった。
「な、なんで、うちに高田くんが?」
「こら。人を指でささないの。千晴くんね。実は裏のおばあちゃんのひ孫さんなんですって」
「裏のおばあちゃんの?」
わたしの家の裏には、少し腰の曲がったおばあちゃんが一人で住んでいた。
回覧板を持っていくと必ずお菓子をくれる。わたしたち家族がこの家に引っ越してくる前から裏の家に住んでいて、わたしを孫のように可愛がってくれていた。
大好きなおばあちゃんだ。
「千晴くん、偉いのよ。おばあちゃんのためにお買い物したり、お洗濯したりしているの。本当、おばあちゃん孝行よね」
あっちゃんパパはニコニコしながら高田くんを褒める。親しげに名前で呼んでいるけれど、高田くんは若干困惑しているようだ。
「高田くんが裏のおばあちゃんのひ孫だってことは分かったけれど、なんでうちにいるの」
おばあちゃんのひ孫であることと、ここにいる理由とは直結しない。
「それがね。お肉屋さんで千晴くんが肉じゃがの作り方を聞いていてね。すごく真剣にメモしているんだけれど、やっぱり実際に作って覚えるのが一番でしょ? だからうちに連れてきたのよ。ねっ、千晴くん」
「まぁ、うん」
高田くんは気まずげに頷いた。わたしの直感が働く。
たぶん、高田くん自身はわたしの家に来るつもりはなかった。あっちゃんパパが無理やり高田くんを引っ張ってきたのだろう。商店街にいるおばちゃんたちにも後押しされ、断るに断れない状況におかれた高田くんが簡単に想像できた。
「というわけで、今日のご飯は肉じゃがよ」
確かに醤油のいい匂いが玄関まで漂ってきている。高田くんはあっちゃんパパの顔色を窺うようにして切り出す。
「あの、そろそろ帰ります」
「あら。せっかくだから三人でお茶でも飲みましょうよ」
「いえ。洗濯物を取り込まないといけないんで」
高田くんはさっさとリビングに荷物を取りに行く。
わたしはよかったと息をついた。高田くんとお茶なんてしてもなにを話せばいいか分からないもの。あっちゃんパパのマシンガントークで、わたしたちが話す必要なんてないだろうけれど、気まずいものは気まずい。
「あ! それならおばあちゃんと千晴くんの分も肉じゃがをタッパーに詰めるから、ちょっとだけ待っていてね!」
あっちゃんパパは慌ただしく、台所へ駆けていった。
玄関に取り残されたのは、わたしと高田くん。まさか高田くんを残してわたしだけ部屋に行くわけにもいかず、その場で荷物を持ったまま立っていた。
これなら、三人でお茶をした方が良かったかもしれない。
「えーと。ごめんね、高田くん。あっちゃんパパが無理やり家に連れてきたんでしょ?」
「まぁ、……うん。でも助かった。丁寧に教えてもらえたから」
「へー」
なぜ料理を教わろうとしているのか、高田くんに聞いてみたい。
確かに裏のおばあちゃんからすれば、買い物や洗濯をしてもらえて助かるのだろうけれど、高田くんが放課後を潰してまでやらないといけないのだろうか。
「えーと」
あっちゃんパパみたいに料理が好きなの?
試しにそう聞こうとした。その前に高田くんが口を開く。
「本当、お前のとこの親父パワフルだな。そういえば、もう一人の親父もこうだったな」
もう一人の親父? あっちゃんパパだけじゃなくて、いつの間に裕二お父さんにも会ったのだろうか。
そう思っているうちに、あっちゃんパパが戻ってきた。
「はい。お待たせ。おばあちゃんによろしくね」
あっちゃんパパは高田くんにビニール袋を渡す。
中には肉じゃがの入ったタッパーだけでなく、お漬物のパックも入っていた。この前、裕二お父さんが京都出張のお土産にたくさん買ってきたものだ。
「ありがとうございました」
高田くんはあっちゃんパパに頭を下げて家を出ていった。
「えっ! 高田くんって、裏のおばあちゃんと一緒に暮らしているの⁉」
わたしは肉じゃがのジャガイモをお皿に取り落とすほど驚いた。
「あら。言わなかった?」
食卓を一緒に囲むあっちゃんパパがケロッとした顔で言う。
「言ってないよ」
つまり、わたしと高田くんは学校だけじゃなくて家まで隣同士だということだ。
なるほど、高齢のおばあちゃんと一緒に住んでいるから、買い物や洗濯をしているのだろう。料理もその一環に違いない。
裕二お父さんがほうれん草の和え物に箸をつけながら首をかしげる。
「高田くん……。この前話していた隣の席の?」
「うん。いつも素っ気ない子」
わたしの答えに今度はあっちゃんパパが首を捻る。
「あら、でも今日は熱心だったわよ。出汁の取り方も覚えたいって言っていたくらいだもの。でも、それはおばあちゃんに聞いた方がいいって言っておいたわ。家庭の味だものね」
出汁なんて、あっちゃんパパの手伝いをたまにするわたしでも取ったことがない。料理するときはいつもの顆粒出汁を入れるだけだ。
大体お隣のおばあちゃんは高齢といっても、料理はお手の物。おばあちゃんの作るおはぎは絶品で、甘すぎないあんこはいくらでも食べられる。あんまり高田くんがなんでもやってしまうと、逆にボケてしまうんじゃないかと心配になった。
わたしは、ふと気になったことを尋ねる。
「そういえば裕二お父さんは高田くんに会った?」
「いや。見かけてもいないが?」
「でも今日、高田くんがもう一人の親父もって言っていたんだよね。これって、うちにお父さんが二人いるって知っているってことだよね」
二人は顔を見合わせた。
「暁也。お前、話したのか?」
「いいえ。でも、千晴くんは裏のおばあちゃんのひ孫ですもの。以前、千晴くんがおばあちゃんちに遊びに来たときにでも会ったことがあるのかもしれないわね」
「それか、おばあちゃんから話を聞いていたのかもしれないな。親父が二人もいる子は珍しいから」
確かに高田くんの口ぶりはそんな感じだったかもしれない。
それに、裕二お父さんは珍しいと言うけれど、珍しいどころか全国どこを見ても、お父さんが二人もいるなんてこの家ぐらいじゃないかな。
裕二お父さんはみそ汁をすすりながら、さらに付け加える。
「そうそう。おばあちゃんといえば、うちの親父とお袋がゴールデンウイークのはじめに遊びに来るって」
「おばあちゃんとおじいちゃんが?」
裕二お父さんが「そうだ」と頷く。
あっちゃんパパは美織お母さんと同じ、身寄りのない子供が集まる施設で育った。だから、お父さんとお母さんがいない。わたしがおばあちゃんとおじいちゃんと呼ぶのは裕二お父さんの両親だけだ。
この家に来るなんて珍しい。
どちらかというと、わたしと裕二お父さんが二人のもとに遊びに行くことが多い。嫌われているわけではないけれど、あっちゃんパパも一緒だと微妙におじいちゃんおばあちゃんが気を使うからだ。
それなのに、いきなり遊びに来るなんてどうしたのだろう。
同じように思ったのか、あっちゃんパパが小首をかしげた。
「あら。こんな時期になにかしら」
「なんでも沙織の進級祝いに来るらしい」
「ふーん」
中学二年生になるときは、お祝いなんてしなかったのにどうしたのだろう。
不思議に思いつつも、久しぶりの再会には違いない。お土産を買ってきてくれるだろうから楽しみだ。
四月も折り返しに入り、新しいクラスにもかなり馴染んできた。
三年生にもなると元々知っている顔が多いから、最初からあまり壁も感じない。宮部先生もいい先生で、クラスの頼れるお姉さんという雰囲気で接している。クラス替えで戦々恐々としていたけれど、過ごしやすい良いクラスだ。
ホームルームの時間、宮部先生はプリントを配っていく。
「はい。ではプリントに書かれている通り、この日程で家庭訪問をします。ご両親に確認してもらって、サインを貰ってきてください」
プリントを後ろに回しながら内容に目を通す。例年通り出席番号順かと思いきや後ろからになっていた。
つまり、わたしの順番はクラスの最後。来週から始まってゴールデンウイークを挟み、五月の中旬に終わる予定になっている。
家庭訪問は毎回あっちゃんパパが先生を迎えてくれていた。
わたしの家の事情は先生同士で引き継ぎがあるらしく、家に来ても驚かれることはまずない。あっちゃんパパの手作りお菓子の歓迎に、先生が気おくれすることはあったけれど。
ホームルームが終わると荷物をまとめ始める。やってきた陽菜が訳知り顔で言う。
「中三の家庭訪問かぁ。やっぱりあれを聞かれるかな」
「あれ?」
「進路希望だよ」
考えてもみなかったけれど、確かに進学したい高校を聞かれそうだ。
とはいえ、そう慌てることはない。
中二の三学期にあらかじめ進路調査票を提出しているからだ。わたしは無理せずに行けるバスケ部の強い公立の高校を書いていた。私立もバスケ部が強いところを選んでいる。
「ねえ、高田くんはどこに行くの。一年後には分かるんだから教えてよ。分からなかったら県内の高校の特徴を教えるよ」
物好きにも陽菜が隣に座る高田くんに話を振る。
どうせ答えはないのだろうなと思っていたけれど、意外にも高田くんは口を開いた。
「就職」
「「え?」」
ぼそりとした声に思わず、わたしと陽菜は声を合わせる。
今、就職と言ったように聞こえたけれど……
「だから就職する」
一瞬聞き間違いかと思ったけれど、間違いなかったみたい。
「それって高校に行かないってこと?」
「高校行かないって、……なんで?」
わたしはつい聞いてしまった。それが高田くんの癇に障ったようだ。
「なんでだっていいだろ!」
高田くんはこれまで聞いたことのない大きな声で叫んだ。
「なに?」
「え、今の高田くん?」
珍しい人の大声にクラス中が注目する。
「えっと、ご、ごめん」
わたしは謝るけれど、高田くんはムスッとしたまま荷物を持って立ち上がる。そしてわたしたちを置き去りにして、教室から出ていった。
高田くんは裏のおばあちゃんの家に住んでいる。
もしかしたらお金がないから、高田くんだけおばあちゃんの家に来たのかもしれない。それとも、ご両親が事故に遭って、いないという可能性もある。
なににしてもなにか事情があるに違いなかった。
それが理由で、あんなに素っ気ない態度をしているのかもしれない。人の事情に首を突っ込んで、悪いことをしてしまったと気持ちが沈む。
高田くんのことを考えながら家に帰ると、あっちゃんパパが家から出てくるところだった。帰ってきたわたしを見て、笑みを浮かべる。
「あ。ちょうどよかった、沙織ちゃん。裏のおばあちゃんに回覧板を持っていってくれない?」
青いファイルの回覧板を目の前に差し出された。町内会のそれは月に一度は必ず回ってくる。回覧板を裏の家に持っていくなんて、なんでもない仕事だ。
でも、わたしはすぐには手に取れなかった。
「なんで、わたしが?」
思わず上ずった声になってしまう。
「なんでって、いつも遊びに行っているし。沙織ちゃんが行った方がおばあちゃんも喜ぶじゃない」
当然あっちゃんパパは、わたしが高田くんに会いたくないことを知らない。どうして回覧板を持っていくことを嫌がるのかという顔をしていた。
「そうそう。お野菜いただいたから、それで作った浅漬けも持っていってね」
浅漬けの入ったタッパーまで持たされてしまった。
「分かった。行ってくる」
観念して通学鞄を置き、玄関を出る。おばあちゃんに渡して、すぐに帰ってこよう。
肩に力が入っていることを自覚しながら、家の裏へ向かった。周りを見回して高田くんの姿がないことを確認する。
おばあちゃんの家のチャイムを素早く鳴らした。はーいという返事はおばあちゃんの声だ。ほっと安堵して、インターホンに向けて話しかける。
「裏の秋月です。回覧板を持ってきました」
「あらあら。沙織ちゃん、ちょっと待っていてね」
わたしは自転車だけど高田くんは徒歩だから、まだ帰ってきていないようだ。渡すものだけ渡して、早く去ってしまおう。
程なくして引き戸の玄関がカラカラと音を立てて開き、おばあちゃんが出てきた。腰はちょっと曲がっているけれど、しっかり歩いている。頬がふっくらしていて、お日様のような顔をしていた。
「沙織ちゃん、こんにちは。回覧板、ありがとうね。ちょうど美味しい甘納豆を貰ったのよ。さあ、上がって食べていって」
おばあちゃんは回覧板を受け取ると、わたしの手を優しく引く。
「いえ、わたしは回覧板とあっちゃんパパが作った浅漬けを届けに来ただけなので」
「でもね。本当に美味しい甘納豆なのよ。お友達がお土産に買ってきてくれてね。少しだけ食べていかない? それにお話ししたいこともあるし」
いつもならすぐにお邪魔している。
それでも今日は上がるわけにはいかなかった。
「ごめんなさい。これから、あっちゃんパパのお手伝いをしないといけないから」
あっちゃんパパはたぶん、おばあちゃんの家にお邪魔して帰ってくると思っているだろう。だけど、ここは噓をついてでも、この場を早く立ち去りたかった。
「そう……」
しゅんとしたおばあちゃんの声と表情に心が痛んだ。
そのとき、背後から話しかけられる。
「二人で家の前でなにしているの」
声に振り向くと高田くんが立っていた。
間に合わなかった。帰ってくる前に、立ち去ろうと思っていたのに。
わたしは気まずくて、つい視線を逸らす。
「えっと、回覧板を届けていただけ。それじゃ」
そそくさと、その場を去ろうとした。だけど、高田くんが「待って」と引き留める。
「話したいことがあるから、十分、いや五分だけ家に上がって」
驚くことに高田くんの方から誘いがあった。
「……じゃあ、少しだけ」
あまりにも真剣な目で見つめてくるので、ノーとは言えなかった。
でも、話したいことってなんだろう。
就職について聞き返したことを、まだ怒っているのかな。
「こっち」
高田くんが玄関には入らず、家の塀沿いに歩く。
どこに行くかはすぐに分かった。
平屋のおばあちゃんの家の横には広い庭がある。野菜もそこで育てていて、よくお裾分けを貰う。庭に面した縁側は少し腰かけて話すには、ちょうどいい場所だ。
だが、庭の方に行ったわたしは驚いて足を止めた。
以前はなかったものが置かれていたからだ。
「バスケットゴール……。高田くん、バスケするの?」
ストリートバスケで使われるバスケットゴールが家の外壁につけられていた。前に来たときはなかったし、おばあちゃんが使うわけがない。
持っていた荷物を縁側に置きながら高田くんは言う。
「こっち来る前は、バスケ部だったから」
「そうなんだ! それなら自己紹介のときに、そう言えばよかったのに」
同じバスケ部だったこともあって、一気に高田くんを身近に感じた。
「チビのくせに変だろ」
「そんなことないよ。ポイントガードってポジションもあるし、これから身長が伸びる可能性はいくらでもあるじゃない。ねえ、バスケ部に入ろうよ。わたしが男子バスケ部の子たちに紹介するからさ」
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