私は、御曹司の忘れ物お届け係でございます。

たまる

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婚約者と言う定義を完全に使い間違えている件について

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三人で歩きながら校門を目指していた。ちょっと帰りに駅の近くのカフェに寄ろうかとか話をしていた。

ウフフっ。あんまり友達と寄り道なんてした事がないからかなり、嬉しい。テンションが上がる。

前方を見ると、なぜか正門の近くが騒がしい。警備員のおじさんも出てきて事態を収集しているぽかった。ちょっといつもとは違う雰囲気に美代も驚いた。

だれが芸能人でも来たのだろうか?
とにかく異様な人だかりだ。女子大生がキャーキャー言いながら、その先に見える背の高い人物を見ていた。
大学生たちの声が聞こえてくる。

「あ、あの人テレビで前、出ていたよ!!」
「マジ?本物? なにあの格好良さ!!やばくない!?」
「絶対そうだよ。プリンスだよ!プリンス!!」
「写メしたい!!こっち向かないかな!!」
「マジ、男でも惚れるレベルだな・・」
「でも、誰か待っているのかな・・」
「絶対そうだよ。だって、アレ普通持ち歩かないでしょ?」


なにかとてつもない違和感を感じると共に、これっていつもの忘れ物お届け物係としての、あるパターンではないかと思ってしまう。でも、ここはホテルのパーティー会場でもなにでもない。
私の学校だ。

人だがりでその人物が特定できないが、はっと、わきを見たら正門のすぐ先に停車している黒塗りの高級車が人の間から垣間見れた。
あんな高級車、ほとんど見かけないので直感が正しいと思ってしまう。

その人物がたぶん疑いなく、最近なぜかペット欲しい症候群にかかってしまった、直属の上司であることは間違いないだろう。

え、でも、なぜこの大学に用事があるのかと思っていると、その女性たちの輪が割れて、その中から大輪の赤いバラの花束を抱えた自分の直属上司が、最高の笑みを浮かべながらこちらへ歩いてきた。

な、なに!!!来るのか、やっぱりこっちへ!!

「!!!美代!!」


いつものスーツ、いつもの髪型、いつものその流し目、すべていつもの蓮司会長だ。あと、ちょっと残念な手編みのマフラーが首もとを温めている。

いやー、見るたびに懺悔したい。すみません。色男にはああいうの、まったく似合わない。

でも、そのマフラー以外は、見た目が完璧である忙しい会長様が、今、なぜ美代の大学にそんなバラの花束かかえてきているのか全くわからない。

なぜか恐ろしくなって、正門に向かっていた足を反対方向へと翻す。

「あ、あれ、美代。どこ行くの!!!」
歩美ちゃんが急に足取り先を変えた私に声をかける。
「え、ちょっと忘れ物したみたい・・・先に駅にいっていいよ・・・」
「え?そうなの? じゃーーっ」
と言って前を向いた歩美は、前方からくる物体に目を見張る・・

「な、なんだ、あれ。急にキレたのか? あの暴走会長・・・」
歩美の口調が硬い。
「おい、知っているのか? あの超イケメン野郎・・・」
こちらへとずんずんと早足であるいてくる蓮司を見ながら、歩美は七瀬に警告した。はっきりとした口調で・・・

「七瀬。あいつだよ。今、美代に王手をかけている・・男だ」

俺は自分の身体に電流のような衝撃が走ったのを感じた。


***

美代はなにか今、あの上司には会いたくないと思っていた。
気持ちがとてつもなく不安定に揺さぶられるのだ。

この仕事をもう少し、せめて次の仕事が見つかるまで、本当なら卒業するまでやりたいと思っていた。

??こんな時にこんな訳わからん感情に惑わされてはいけない・・

あんな王子のような姿で現れる会長は、まったく意味不明だが、最初から意味不明な行動を起こしているあの上司には、何がどういう意味があるのかなんて、聞くのが野暮な行動に思えた。そんな事、とっくの昔に諦めていた。

でも、時々みせる甘い顔。
やさしい仕草・・・・

マジ・・・止めて欲しいと思っている。

よく釣り合いのとれない恋とかいうけど、釣り合いって、もんじゃないよね。
天秤にかける以前の問題だよ・・・

美代は自分の心にうごめく不可解な感情を受け止められず、そのまま校舎にむかって走り出していた。
美代を追いかけようとして、蓮司もその群衆をくくりぬけ走ろうとした。

が、3人の輩に捕まってしまった。

「会長。ちょっと!!」
ギロリと歩美を蓮司が睨んだ。彼女が彼のスーツの裾を引っ張っているのだ。

「あ、美代の友達か。だめだ。美代が行ってしまうじゃないか!」

それを振りほどこうすると、もう一人の男性が声をかける。

「申し訳ありません。部外者の方はこちらへと記入をお願いしております」

真面目な顔をしている守衛さんは、申し訳なさそうに蓮司に声をかけた。先ほどまでは正門の外側にいたから、声をかけなかったが、蓮司が正門の中に入ってきていたのだ。普通なら部外者も申告なしに入れてしまうのだが、なにせこの人だかりを作った本人だ。隠れようにもその場所がない。

「・・・・・・」

かなりの怒りの眼光で守衛さんが睨まれる。睨まれたほうは、多分、漫画だったら、かなりのビビリな線が顔に刻まれていただろう。それぐらい、蓮司の睨みは恐ろしかった。

「・・・わかった。規則を破るつもりはない・・」

守衛さんがいる正門のオフィスで名前と来校の目的を書く。
すかさず、その理由を歩美が覗き込む。

大原 蓮司 
来校の目的:婚約者に会うため


「おー、おい!!変態さん。書いている記述がおかしいですよ」

隣にいた歩美が蓮司に声をかける。

「!!!!見るな。プライベートな情報だ」
「蓮司会長、婚約者って、両者が結婚を約束した同士の事言うんですよ」
「そうだな。まあ・・問題ない。そのうち、すぐ承諾になる。」
「すいません、いま、会長のは、ただのストーカーですから!」
「先取りだ。まあ、心配するな」
「へ、変人!変態!」

蓮司が歩美と討論している間、守衛は黒服のSP達と何か話しているらしく、それを聞いた守衛はかなり顔色を変えて、電話で誰かと確認した後、この大名行列な一行を全て受け入れたようだ。

守衛から構内で歩くようのIDカードを受け取ると、すぐに蓮司が構内を歩き始めていた。

極上なイケメンと学校一とも噂される美少女が早歩きをすると、構内の大学生たちが驚きの顔で二人の様子を見守る。七瀬くんも唖然としながら、はっと我に帰り、歩美たちを足で追う。

「会長さん。あの、ちょっともう少しゆっくり歩けませんか?」
小柄な歩美が早足で蓮司を追いかける。

「悪いな。急いでいるんだ。うちの子リスは、逃げるのだけは超一流でな・・」
「・・あの、この学校に会長さんの婚約者っていましたっけ?」
「・・・・だから、しつこいな。君は。言ったじゃないか・・・プライベートな情報だと」
「あからさまですよね。その無視の仕方・・・でも、正月からはだいぶ進歩したみたいですね。変態も勉強できるんですね。感心しました・・・でも、やっぱり病んでますよ。会長!!」

心配してそうな七瀬の顔が見えて、歩美が説明する。

「美代はね。この変た、いや、この方のですね、補佐しているの。補佐!!」
「え・・・会長さんの補佐って、なんかヤバくね」

歩美は、また蓮司が『妻に会うため』と書かなかった事について、評価していたのだが、そんなことは全く知らない男がここで唸った。

「あ、あの!!!!!」

ぐいっと蓮司の腕が七瀬に掴まれた。
思わぬところで力強く引き止められたので、明らかに、後から走って来たSP達が七瀬を囲み始めた。あと数秒の差でたぶん、七瀬は地面に倒されていただろう。だが、目線だけで蓮司はそれらのSP達を追い払う。

あっといるう間に囲まれた黒服たちが消え去って驚く七瀬。

「なんだ・・・・」
蓮司の氷のような視線が七瀬に落ちる。

「あの!!あなたは今、美代さんを追っているように見えますが、どういった要件なのでしょうか?」
「・・・・・・こいつ、誰だ?」
二人の男が視線が激しく衝突した。
そこに、仕方がないっといったある種、諦めの表情の美少女が口を開く。

「はぁーーーー、まさか真田さん、七瀬くんの事、お耳に入れてないみたいですね」
「!!!!どういうことだ・・・」
「こちら、七瀬くんといいます。一応、私と美代さんの同級生で、仲のいい友達です」
「!!!!と、友達? 男・・・・がか?」
恐ろしい眼光が七瀬を睨みつけた。

ーーえ、この人、カタギだよね・・・

あまりにもの睨みに七瀬はビビる。上司ということだから、一流企業の社員さんとしか考えられなかった。でも、かなり上のポジションらしいことだけは、わかる。一介の社員で、こんな上等な格好して、しかもセキュリティーがこんないるって考えてられない。

「あと、七瀬くん。こちら、大原蓮司会長様。美代の直属の上司だよ」
「え? この人が? 美代の直属の上司なの? 会長様ってどういうことだよ。ちょっと思ってたのと全然ちがうし・・・」
!!」
二人がギャーギャーいいだしたので、蓮司はなにか大事なことを思い出したかのように、
「悪いな。急いでる。質問は・・・あとにしてくれ・・・」
といいながら、二人を置いて走り出した。蓮司は耳元のイヤホンで誰かとも話しているみたいだった。

そして、何かをつぶやいた。
「美代。どこに隠れた・・・かわいいな・・・俺に捕まえて欲しいのか?」
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