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若手演歌歌手でお願いします
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完全にチャラいこの白人男の質問に歩美が、きっぱりと答える。
「あんたのことは知ってる。私の名前は歩美。でも、私をナンパしようとしたら、ぶった斬るから……」
「ブッタギル?」
「……あんたが死ぬってことだよ……」
物騒な話を始めているのに、全くジャスティンは嬉しそうだった。
『なんか二つも宝石見つけちゃったのかな……』とか呟いている。
「おい、時間勿体無いぞ。ジャスティンさんを前になんだけど、俺はバイトあるしさ、あと1時間半ぐらいしか一緒にいれない……」
その言葉を聞いて何か作戦会議が始まった。
どうやらよくわからない外人さんと一緒に買い物になりそうだった。美代と七瀬は会議から弾かれていた。
どう考えても、この二人からいい策が出るとは思えなかったからだが、本人達もそれをよくわかっているから何も言わない。
七瀬は、ただ、美代の隣ですげーとしか言わないし、美代はただ目の前の3人を見ていた。歩美は、ジャスティンと話し合っている。時々マツダがメモを取る。
ただマチ子は本番を控えているので、ずっとこの会議にもいれない。その代わりに作戦会議にだけでも、自分のマネージャーを使えと、言ってきたのだった。
激しいツッコミをかましながら、ジャスティンと歩美は話している。
美代はそんな様子を眺めていた。
意外だ。
この二人、意外に息が合っている。
この白人男は、発音が時々おかしいが、日本語がペラペラみたいだ。しかも、歩美とかなり言い合いながら、美代改造計画について話し合っている。
美代がしばらくぼう然としていると、マチ子のマネージャーの男がいそいそとジャスティンからもらった、店の名前を元に電話をかけ始める。だが、マチ子の服などは基本、体格がいい為、全てのオーダーメイドだ。そんなことをしたことがないので、オタオタしている。
「だ、大丈夫かな……なんだか大ごとじゃない?」
美代が心配する。
「大丈夫。任して……上手くいくはず……」
どうやら、いくつかの店舗にこれからジャスティンが買い物に行きたいのだが、プライベートな空間か、貸切にしたいと電話しているようだった。
そこに歩美が横入りする。
「どこ電話しているの?」
ちょっと最近メタボが気になっている中年に差し掛かったマネージャーのマツダに遠慮なく話しかけた。歩美の圧倒的な見た目と女王のような態度に、文句も言えず、店名をあげる。
「……悪くないわね……ちょっと電話貸しなさい!」
マツダは唖然として、その美少女に電話を取られた。
「責任者出しなさい……私は……」
いきなり歩美が流暢なフランス語で話し出した。
あちらとなにか長く話している。
マツダは驚いた目をマチ子に送る。
マチ子もちょっとだけその眉尻をあげた。
そんな中、物事に鈍い、残りの三人、美代と七瀬、ジャスティンは作戦会議を開いていた。
「わかった。ミヨ、要するに、その彼を見返したいんだ? あの男でしょ? ミヨの彼氏は? ボク、かなりニラマレマソタ……」
「睨まれました、だよ。ジャスティン、日本語を勉強し直したら? ……え、どういうこと? あそこにやっぱり会長、きたんだ!」
「ああ、ソウソウ、ニラマレマソタね」
「ああ、もう違うよ。大丈夫? ジャスティン、歌をそれで本当に歌えるの? やっぱり演歌は日本語をきちんと話さないと!」
「「えええ?」」
七瀬とジャスティンが驚いた顔をしている。
なぜか美代は、ジャスティンのことを、アメリカから来た演歌歌手を目指している青年のようにみていた。
あまりにものすっとぼけように、七瀬も突っ込めない。
(しかも、マチ子さんが、明日武道館って言ったの聞いてないのかよ、美代は……)
七瀬が唖然としていると、美代が七瀬の服をくいっと自分の方へ寄せて耳元で囁く。七瀬はもちろん、迂闊にもドキっとした。
「……ねえ、本当に、大丈夫かな……演歌テイストにされると、その、ちょっと目指しているのと微妙に違うと思うんだけど……いや、でも好きだよ。日本の心だし……。でもね」
七瀬はここで笑っていいものか悩んだ。
ジャスティンも「エンカ?」とか言ってよくわかっていないようだった。
七瀬に笑いがこみ上げてきたが、ここでこのスーパースターの機嫌を損ねるのもと思い、一言だけ言ってみる。
「いや、演歌じゃねーと思うぞ……。マジ知らないの? ジャスティンは、、」
ちょうど、そのとき、七瀬が言葉を終える前に電話を終えた歩美とマネージャーのマツダさんが戻って来た。
「……よし、賽は投げられた。行くぞ! 者共!」
「おい、戦争じゃねーんだからさ」
「いいね。アユミも僕のフェイバリットになりそうだよ」
「……よろしくお願いしますっぅ。民謡なの? 演歌なの? わかんないけど、でも、あの、新人、いやせめて若手の雰囲気で、お願いします!」
「……民謡でも、ねーよ、だからさーー」
「さあ、行くぞ! 」
「おおーー!」
「……Shall we go? 」
もう、訂正するのが、イヤになった七瀬が、諦めた顔をした。
四人の噛み合わないチームが張り切って、買い物に出かけていった。
その後ろ姿を見守るマチ子は、「も、もう!! 何もないことを祈るしかない!」と言って、本番に向かって行った。マツダさんも腰を低く、「頑張ってください--」と手を振っていた。
「あんたのことは知ってる。私の名前は歩美。でも、私をナンパしようとしたら、ぶった斬るから……」
「ブッタギル?」
「……あんたが死ぬってことだよ……」
物騒な話を始めているのに、全くジャスティンは嬉しそうだった。
『なんか二つも宝石見つけちゃったのかな……』とか呟いている。
「おい、時間勿体無いぞ。ジャスティンさんを前になんだけど、俺はバイトあるしさ、あと1時間半ぐらいしか一緒にいれない……」
その言葉を聞いて何か作戦会議が始まった。
どうやらよくわからない外人さんと一緒に買い物になりそうだった。美代と七瀬は会議から弾かれていた。
どう考えても、この二人からいい策が出るとは思えなかったからだが、本人達もそれをよくわかっているから何も言わない。
七瀬は、ただ、美代の隣ですげーとしか言わないし、美代はただ目の前の3人を見ていた。歩美は、ジャスティンと話し合っている。時々マツダがメモを取る。
ただマチ子は本番を控えているので、ずっとこの会議にもいれない。その代わりに作戦会議にだけでも、自分のマネージャーを使えと、言ってきたのだった。
激しいツッコミをかましながら、ジャスティンと歩美は話している。
美代はそんな様子を眺めていた。
意外だ。
この二人、意外に息が合っている。
この白人男は、発音が時々おかしいが、日本語がペラペラみたいだ。しかも、歩美とかなり言い合いながら、美代改造計画について話し合っている。
美代がしばらくぼう然としていると、マチ子のマネージャーの男がいそいそとジャスティンからもらった、店の名前を元に電話をかけ始める。だが、マチ子の服などは基本、体格がいい為、全てのオーダーメイドだ。そんなことをしたことがないので、オタオタしている。
「だ、大丈夫かな……なんだか大ごとじゃない?」
美代が心配する。
「大丈夫。任して……上手くいくはず……」
どうやら、いくつかの店舗にこれからジャスティンが買い物に行きたいのだが、プライベートな空間か、貸切にしたいと電話しているようだった。
そこに歩美が横入りする。
「どこ電話しているの?」
ちょっと最近メタボが気になっている中年に差し掛かったマネージャーのマツダに遠慮なく話しかけた。歩美の圧倒的な見た目と女王のような態度に、文句も言えず、店名をあげる。
「……悪くないわね……ちょっと電話貸しなさい!」
マツダは唖然として、その美少女に電話を取られた。
「責任者出しなさい……私は……」
いきなり歩美が流暢なフランス語で話し出した。
あちらとなにか長く話している。
マツダは驚いた目をマチ子に送る。
マチ子もちょっとだけその眉尻をあげた。
そんな中、物事に鈍い、残りの三人、美代と七瀬、ジャスティンは作戦会議を開いていた。
「わかった。ミヨ、要するに、その彼を見返したいんだ? あの男でしょ? ミヨの彼氏は? ボク、かなりニラマレマソタ……」
「睨まれました、だよ。ジャスティン、日本語を勉強し直したら? ……え、どういうこと? あそこにやっぱり会長、きたんだ!」
「ああ、ソウソウ、ニラマレマソタね」
「ああ、もう違うよ。大丈夫? ジャスティン、歌をそれで本当に歌えるの? やっぱり演歌は日本語をきちんと話さないと!」
「「えええ?」」
七瀬とジャスティンが驚いた顔をしている。
なぜか美代は、ジャスティンのことを、アメリカから来た演歌歌手を目指している青年のようにみていた。
あまりにものすっとぼけように、七瀬も突っ込めない。
(しかも、マチ子さんが、明日武道館って言ったの聞いてないのかよ、美代は……)
七瀬が唖然としていると、美代が七瀬の服をくいっと自分の方へ寄せて耳元で囁く。七瀬はもちろん、迂闊にもドキっとした。
「……ねえ、本当に、大丈夫かな……演歌テイストにされると、その、ちょっと目指しているのと微妙に違うと思うんだけど……いや、でも好きだよ。日本の心だし……。でもね」
七瀬はここで笑っていいものか悩んだ。
ジャスティンも「エンカ?」とか言ってよくわかっていないようだった。
七瀬に笑いがこみ上げてきたが、ここでこのスーパースターの機嫌を損ねるのもと思い、一言だけ言ってみる。
「いや、演歌じゃねーと思うぞ……。マジ知らないの? ジャスティンは、、」
ちょうど、そのとき、七瀬が言葉を終える前に電話を終えた歩美とマネージャーのマツダさんが戻って来た。
「……よし、賽は投げられた。行くぞ! 者共!」
「おい、戦争じゃねーんだからさ」
「いいね。アユミも僕のフェイバリットになりそうだよ」
「……よろしくお願いしますっぅ。民謡なの? 演歌なの? わかんないけど、でも、あの、新人、いやせめて若手の雰囲気で、お願いします!」
「……民謡でも、ねーよ、だからさーー」
「さあ、行くぞ! 」
「おおーー!」
「……Shall we go? 」
もう、訂正するのが、イヤになった七瀬が、諦めた顔をした。
四人の噛み合わないチームが張り切って、買い物に出かけていった。
その後ろ姿を見守るマチ子は、「も、もう!! 何もないことを祈るしかない!」と言って、本番に向かって行った。マツダさんも腰を低く、「頑張ってください--」と手を振っていた。
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