私で染まった辺境伯さまに、虹色魔力を添えて

稲山裕

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第15話

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(ああああああああああぁぁぁぁ!)

 やってしまった…………。

 いや、されてしまった……?

 まさか流れで……あんなことを……。

 ううん、やっぱり夢……かしら。

 でも全裸で同じベッドで……何か色んな余韻が残ってるし……。

 旦那様……だんな様も、呪いが解けた綺麗な姿だし。



「あれぇぇ……なんでこうなったんだろぅ?」

 ……ベッドに押し倒されて、ドキドキしたのは覚えてる。

 その後、キスされたのも。

 それで、それが想像以上にとろけるような優しいもので……。

「それから、何かこう……盛り上がってしまった的な……?」

 冒頭のその部分を思い出すと、また胸の奥が疼く……。

 きゅんと痛いような、こそばゆいような。

 ……外は明るいけど、日の射す方向が違うから間違いなく午後になっている。



「体だる……おなかへった……」

 全身がまだジーンとしていて、そしてふわふわとしている。

 途中から意識がないのか、寝てしまった後で記憶が飛んだのか……全部を思い出せない。

 でも、だんな様のちょっと悪い感じのお顔と、野生の獣のような瞳が浮かぶ。

 ――そういえば、初めては結構痛いと聞いていたけど……最初だけだったな。

 前日に死ぬほど痛い思いをしたから、慣れてしまったのかもしれない。



「……幸せそうなお顔」

 横で眠るだんな様は、満足気で安らかな寝顔だ。

 ――私の看病でお疲れだっただろうに、それとこれは別腹、みたいなものなのかしら。

 そんなことを思っていると、扉がノックされた。

「リザです。入ってもよろしいでしょうか」

 ――えっと、どうしよう?



「アニエス様がお部屋におられず……こちらでしたら、お食事をと思いまして」

「お食事!」

 食べたい。

 この気だるい感じには、何か食べないといけないと体が言っている気がする。

「リザ。持ってきて」

 そう言った瞬間に服を着ていないことを思い出して、咄嗟に毛布を胸まで引き上げた。

「失礼しま――うっ」

「リザ?」

 一瞬、顔をしかめたリザはこちらまで一直線に入ってくると、窓を大きく開いた。

「アニエス様……おめでとうございます! でも、換気いたしましょう」

 汗の匂いでも籠っていたのかもしれない。



「アニエス様、旦那様を起こしてくださいますか?」

「あ……うん」

 さっきと同じお顔のままで眠るだんな様は、声をかけても起きないのでかなりゆすった。

 そして寝ぼけまなこでぼうっとしているだんな様に、リザはお説教を始めた。

「旦那様、アニエス様は病み上がりなんですよ? それなのに、一度ならまだしも……一体何度なさったんですか! 匂いが部屋中に充満していましたよ!」

「お、怒るなリザ。アニエスはもう大丈夫だ。それに俺だって加減はしている」

「よくもまあ、そんな事が言えますね? 久しぶり過ぎてやり過ぎた事を気付いておられないのでは?」

「い、いや、そんなことは……」

「もう! アニエス様が平気そうだから良かったものの……次からはお気をつけください」

 ――リザがこんなに怒ったところ、初めてみた……こわい。



「アニエス様も……嫌なら嫌と、はっきりとお断りなさってくださいね。遠慮する必要はありませんから」

「うん……ありがと」

 と言っても、あまり記憶がないのだけれど。

 嫌……ではないかな?

 どちらかというと気持ち……なんでもない。



「えっ? あれっ? えええええ?」

 リザは突然慌てて、だんな様を凝視している。

「今頃気付いたのか。愚か者め」

「そ、それは……! というか、旦那様……元に戻られたのですね……」

「アニエスが解いてくれた。魔法のキスでな」

「まぁ! まぁまぁまぁ!」

 体を起こしていた私に、リザはガバっと抱きついた。

「さすがアニエス様うっ……。アニエス様、すぐにお風呂のご用意いたしますね。えっと……さすがはアニエス様です」

「う、ううん……?」

 気分の落差が激しいリザは、何か言いたげな鋭い目をだんな様に向けている。



「滅茶苦茶にし過ぎなのでは? アニエス様が無垢だからといって、随分とご勝手な事をなさったようですね。見損ないました」

「い、いやこれは違うんだ! ちょっと、色々と予想外にだな!」

「言い訳無用です旦那様」

「ぐ……。だ、だがお前も、こいつの反応を見れば理解もするだろう。俺でさえ理性が飛ぶ所だったのだ」

「はぁ。最低なことに変わりはないのですが?」

「ぐう……。それより、元に戻った祝いの言葉くらいないのか」

「子どもみたいな事を仰らないでください。それが嬉しいのと、この話は別でございます」

「う。リザは怒ると手がつけられん……」

 だんな様より、リザの方が強かったなんて。

 私もリザを怒らせないようにしよう……。



「それよりもアニエス様。今日はもうお部屋に戻りましょう。お食事もそちらでお召し上がりください。さ」

 言われるままに、私は毛布に包まれて自室まで戻されてしまった。

 珍しくリザが主導で洗ってくれて、そこからリリスとヒルダにも髪と全身を――つまりは二度洗いされた。

「……あの。そんなに汚れてますか?」

 汗はかいたけど……なんて思い出しただけで、顔が赤らんでゆく。



「アニエス様。あまり好き勝手にさせてはなりませんよ? どんどん要求が酷くなりますから」

「う、うん?」

 優しくされた記憶しかないけれど、記憶のない部分で何かされたのだろうか。

 そう思いながら、胸を見ると赤い斑点に気が付いた。

「あれ……これ、何だろう。ねぇリザ」

「アニエス様……そういえば、こういう事をお教えする前にお別れしたのでしたね。これは――」

 ――。

 ……今聞くんじゃなかった。

 せめて、リザと二人だけの時に聞けば良かった。

 リリスとヒルダは無言のまま、私と同じように耳を真っ赤にしている。



「恥ずかしいかもしれませんが、全身につけられていますので……私達はすでに分かっていたのです。もう気になさいませんように」

 無言の時間が余計に恥ずかしいと思っていたら、リザはそう言った。

「そ、そうですよ。むしろたくさん愛されて、おめでとうございますアニエス様!」

 ヒルダは私の気分を変えようと、むしろ一歩踏み込んでくれた。

 その方がこの二人にも相談事がしやすいかもと、私も乗ることにした。

「そっか、そうよね。これって、愛してくれたのよね」

 でも、皆がこれを知っているのなら、服で隠れないところのものは、皆にそういうことをしたのだと見せて歩くことになる……ということ?

「リリスに、痕が見えにくい服を持ってきてもらいますからね。日中はそれでお過ごしください」

 私の心を読んだかのように、リザは不安を払拭してくれた。

「隠れるなら、よかった……」





 そんな入浴のあとに食事をもらって、ソファで本を読んでいる時だった。

 紙質的に、ページをめくる時に指を切りそうだなと最初は気にしていたのに……。

「いたっ」

 読みふけっていたせいで、指を切ってしまった。

 またリザに、消毒をしてもらわないといけない。



「あら。手当いたしましょうね」

「しみるから嫌だったのに……。って、あれ? 消えていく……」

 最初の痛みは変わらなかったけれど、すぐに傷が塞がって、そしてもう治ってしまった。

「治った……」

 女神だった時のように。

「ね、ねえリザ。治った。治ったわ」

 そう言ったところで、あまりも普通に言ってしまったことを後悔した。

 リザもだけど、リリスもヒルダも居るのに。



 女神だと言ったところで、だんな様のように信じてもらえないだろうし……。

 でもすでに、はっきりと見せてしまった後だ。

 三人とも目を見開くようにして私をみつめている。

 何と言い訳しようか。

「えぇっと、あれかな。魔力が通ったからかなぁ」

 苦し紛れにしては、上出来ではないかと思った。

「その…………アニエス様。実は、存じております」

「……うん?」

 リザの様子がいつもと違う気がする。



「アニエス様が女神様であると、ずっと、最初から存じておりました」

「えぇ? うそ」

 何か聞き間違えたのかというくらい、リザはさらっと言ってのけた。

「その、実は私、天使でして……。話せば長くなるのですが、私は見ればその人が神界のお方かどうか、分かるのです。ですから……生まれたばかりのアニエス様を一目見た時から、存じておりました」

「ええええええ!」

 というか、リリスとヒルダも居るのに。

「えっと、あのぅ……私たちも、下位天使です」

「そうなんです……」

 ヒルダとリリスは互いを見て頷いてから、申し訳なさそうにそう言った。

「ど……どいうことなの」





 聞けば、リザは神界にも上がれる程の高位天使で、リリスとヒルダは神を直接見たことはないけれど、色々な仕事や手伝いをしているらしい。

 リザは偶然私の屋敷に居て、二人は元々旦那様の支えにと遣わされていたという。

 リザがここに来たのも偶然で、私のために動き回っていたら合流することになった。

 天使は受肉しても、神が居れば一目で分かるものらしく、それぞれ誠心誠意、支えて来たらしい。



「どうして言ってくれなかったのよ」

「その、あまり積極的には教えるなという決まりがありまして……すみません」

「ふぅん? それじゃ、だんな様も知らないの?」

「はい、内緒のままです。というか、この手の話は信じてもらえないと思います。神界に居たのは僅かで、生まれてすぐ落とされたそうなので」

「ああ、そうだった」

 でも、リザが私のためにここまでしてくれた理由が、ようやく繋がった。

 だからといって、簡単に出来るものではないのに……。



「リザ……リリスとヒルダも、本当にありがとう。たくさん助けられました。きっとこれからも、頼ってしまうと思うけど……」

「もったいないお言葉です。アニエス様」

「わ、私達みたいな下位天使にまで、女神様からそんなお言葉を頂けるなんて……」

「もう一生忘れません。絶対にアニエス様のために、もっともっと頑張ります!」

「リザも、リリスもヒルダも、私なんかの言葉でそんなに言ってくれるなんて」

 そして私は、本来の同郷の仲間が居るのだと思うと、心の底から安心した。

 もうすでに、このお屋敷の皆には心を許していたけれど、同郷なのだという信頼感は、他に例えようがない絆のようなものを感じる。



「そういえばアニエス様。お祝いをしなければなりませんね。明日にでも旦那様と相談いたしましょう」

「お祝い?」

 夜伽のお祝いなんて、ちょっと嫌だけど……。

「アニエス様、ヘンな事をお考えでしょう。違いますよ? ご結婚の正式なお祝いと、旦那様の快気祝いです」

「あぁ~。なるほど」

 アレの気持ちよさと幸せな心地を思い出してしまって、また顔が熱くなってしまった。



 そんな私を着せ替える算段を立てたのか、リリスとヒルダはお祝いとドレスの話を始めた。

「明日から準備で忙しくなりますね」

「国中からのお祝いになりますから、アニエス様のドレスも沢山新調しないとですね」

 二人は楽しそうに盛り上がっていて、リザは何やら企み……もとい、考えを巡らせているようだった。



 しばらくその三人を眺めていたけれど、私はふと、傷はすぐに治ったのにアレの痕はどうして治らないのかなと思った。

 切った指は完全に治っている。

 そして、何気なく服の中を覗くと、見たとたんにアレの痕が消えていった。

 ――もしかして?

 痛みを感じた所だけ、ほぼ自動的に治癒されるのかもしれない。

 ということは……。

 初めての痛みも、自動で癒えてくれたに違いない。

 魔力が発現して良かった。

 傷がすぐに治らなくて、ずっと痛みが怖かったから。



 それに……これでもう、能無しじゃなくなったんだ。

 お陰で、結婚式にも堂々として出られる気がする。

 ずっと重荷だった部分が、ふっと消えたこの喜びは計り知れない。

 まるで、羽でも生えたかのような心地で胸の奥がすっきりとしている。

「楽しいな……」

 ――そしてこれからのことも、楽しみになった。

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