会長様ははらみたい

槇瀬陽翔

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40話

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「ゆい、心配させてごめんな。俺一人でいろんなこと勝手に決めてゆいの気持ちも考えてやれなかったから…」
大我のその言葉に俺は首を振る。心配はしたし、不安だったし、寂しかった。でも、それにはちゃんと理由があるのはみんなに聞いたから、それは別にいいと俺は思ってる。


でも、ちゃんと大我から知りたかったっていう気持ちもあるんだ。俺の知らにところで俺の為に動いてる大我のことをちゃんと教えて欲しいって、俺も協力したかったっていう気持ちもあるんだ。


「不満顔になってるぞ。唯斗が知りたいことはちゃんと話すから何が知りたい?どれから知りたい?」
自然と顔に出てたのか大我が俺の頬を撫でながら言ってくる。
「色々ありすぎてまとまりません。ってか、なんでこんな無茶したんだよ」
聞きたいことが多すぎて、本当に考えがまとまらないんだ。でも、一番最初に聞きたかったのはなんで、こんな倒れるまで無茶したかってこと。

「あー、本当はここまで無茶するつもりはなかったんだ。ただ、今回は神谷と永尾の件に加えて、恭先輩と愁先輩のことも重なって結局は、無茶するしかなかったんだ。おまけに永尾のやつが生徒会や唯斗に手を出すもんだから余計に仕事が増えた」
バツが悪そうに苦笑を浮かべる大我。

他の風紀委員にもちゃんと仕事は割り振っていたというが、結局は自分が処理しなきゃいけない仕事のが多かったんだと教えてくれた。

それにしても無茶のし過ぎだ。仕事量だけを聞けば本当にバカだろ!って言いたくなる。

風紀の仕事だけならまだしも、コウちゃんやヒロさんに俺のことを任せてたくせに、それなのにこの男は俺の知らないところで、俺のところに来ていたという。

だけど、俺には全くその時の記憶がない。だからそれはそれでスッゴくショックだ。

唯一、俺が来ていたはずだって覚えているのはあの日、永尾に襲われかけたあの日だけ。
俺の身体につけられていた小さな痕。肩口と腕と腹。それはどれも大我が癖でつける場所。

初めて大我が目に見えて反応を返したあの時から、俺が甘えて記憶を飛ばしても、わかるように、思い出せるようにと、大我が無意識でつけている場所。
大我が俺を抱いたという証のようにつけられていたキスマーク。

あの時、起きた時もおぼろ気に覚えていた。でも傍にいなかったし2人も何も言わなかったから、大我に会いたいがために見た、ただの俺の妄想かな?って思ったけど、着替えるときに自分の身体を見てやっぱりいてくれたんだって思ったんだ。

話を聞けば聞くほどやっぱり大我は化け物だって思う。

俺が襲われた次の日に行こうと約束していたイベントに足を運びお土産だけを買ってきていたと聞いた。

だからあの日、俺が先輩たちに囲まれていた日に持ってたんだって。あの時から学校でもあまり会えていなかったから、渡したくても渡せずにいたんだって。

別に会うのを避けてたとか、逃げてたわけじゃない。大我が風紀の方で忙しくて、バタバタしてたから会えてなかっただけで、あの日、偶然にも先輩に囲まれている俺を見て渡してくれたんだって。

しかもまだ部屋に他のが置いてあるから部屋に戻ったらくれるらしい。



本当にこの男はどれだけ無茶をしたんだ!!!


嬉しい反面やっぱりムカつく!!


無茶ばっかりする大我にイラつく!!!



「もぉ!俺のことを大事にしてくれるのは素直に嬉しいけど、大我はもっと自分のことも考えてくれよ!大我がいなくなったら…俺…俺…死んじゃうだろ…」

大我の愛情がなくなたら俺、死んじゃう。


大袈裟だっていうかもしれないけど、俺にとって神尾大我がくれる愛情は本当に大きなもので、なくなったら俺辛い。


大我が俺を大きな愛で甘やかすから、それがなくなったら辛い。


俺、大我の傍じゃなきゃ生きてけない。


そんなふうに思うようになったのは全部大我のせいだ。

俺が甘えれば甘えるほど、大我が甘やかしてくれるから、だから俺はどんどん付け上がっていっちゃって…

大我がいないと寂しいって思うようになった。


それこそ、付き合う前はまだ1人でも平気だったんだ。


反応を返してくれない大我に苛立ったけど、それでもよかったんだ。


付き合うようになったらダメだった。


大我がいなきゃダメなんだ。


違う、大我じゃなきゃダメなんだ。


こんな俺にしたのは大我なんだから、やっぱり責任はとってもらわないとダメだって思う。


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