会長様ははらみたい

槇瀬陽翔

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59話

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Side 大我


「さぁ、待たせたな先輩たち!」
俺はグラウンドで集まってる先輩たち、元生徒会役員と元風紀委員のメンバーに声をかける。
「これから一体なにする気だ神尾」
恭先輩が聞いてくるから
「去年、あなたたち全員と約束しましたよね?内部崩壊の代償の約束を」
俺が内部崩壊のことを口にすれば誰もがあって小さな声を上げる。
「生徒会VS風紀委員によるバトルトワイヤルの開催だ!そして、勝ち抜いたやつにはこの3人が景品だ!」

「えっ?」
「はっ?」
「なに?」
「ちょ!」
「神尾!!」

「「「「いよっしゃー!!!」」」」


予想以上の歓声が上がった。まぁ、極一部、恭先輩と緑先輩が思いっきり殺気立った目で睨んでるけどな。

それ当たり前で、景品と言って差し出したのは、愁先輩、神谷、三条の3人だからだ。

「ただし!そう簡単に手に入れると思うな。最後に俺と戦って勝ったら手に入るからな!」
その一言でブーイングは上がるが、俺もこの3人をやすやすと引き渡すつもりなどないのだ。ただ、名前だけの景品なのだから。

「さぁ、バトルトワイヤルの開始だぁ!勝ち残ってここまで来い!」
俺の一言で殺気立ちその場で乱闘が始まった。


「さて、どういうことかな?」
静かな怒りを宿した声で聴かれた。
「卒業後の余興です。まぁ、3人には何の相談もなく景品だって言われれば怒るとは思いますけどね」
苦笑を浮かべながら答えれば
「でも、なんで僕たちなのかな?」
なんて聞かれる。
「そんなの決まってるじゃないですか。あの時の一番の被害者はあなたたち3人ですよ?」
あの時の一番の被害者はこの3人だったのだ。他の連中よりも目に見えてこの3人が標的になっていた。だからこそ、この3人を景品とこの場所に置いたのだ。
「そういわれるとそうだねって納得するよ」
愁先輩が溜め息をつく。
「絹城、柳川いるか?」
2人を呼べば
「絹城班ここに」
「柳川班も同じく」
スッと姿を現す。
「予定通り、この3人を聖の所へ送り届けてくれ。三条、愁先輩と神谷の体調の変化に注意してくれ。絹城、護衛は絹城班で、柳川班は三条の手助けを頼む」
俺が三条、絹城、柳川に指示を出せば
「僕たちがここにいなくてもいいのかな?」
なんて愁先輩が聞いてくるから
「身重の2人をこんな吹きっさらしの場所にいつまでも留めておくわけないじゃないですか。それに俺はあなたたち3人をやすやす景品として渡しませんよ」
ニヤッて笑いながら答えれば
「うわぁ、あくどい顔してるよこの子」
なんて、愁先輩が言う。
「さぁ、先輩も神谷も移動してください。三条、絹城、柳川、頼んだぞ」
俺は三条たちに先輩と神谷を託した。愁先輩と神谷は三条たちと一緒に移動していった。後は、聖に任せればいい。

「やっぱり、恭先輩と緑先輩は強いな」
風紀委員の方は殆ど倒れてる。だが、生徒会は恭先輩と緑先輩だけだ。吉沼先輩も強いからまた残ってるな。

こんな戦いをしてはいるが、あの人たちは憎み合ってるわけじゃなく、今はただ純粋に内部崩壊の時の決着をつけようとしているだけ。
1年も冷却期間があればお互いに頭も冷えるし、他に好きな人だってできる。だから、これはただ単にあの時の決着をつけるための戦い。


1時間も経たないうちに決着はついた。


「神尾ー!!!」
怒鳴り声と共に飛んできたのは強烈な拳。
「元気ですね恭先輩」
それを軽々とかわして答えれば
「お前だけは倒さねぇとなぁ!」
なんて怒りの籠った拳を繰り出してくる。まぁ、原因はわかってるので小さく笑い
「そんな頭に血がのぼった状態じゃ、無理ですよ」
繰り出される拳を捕まえそのままいつものように床に沈めた。
「クソが!」
悔しそうに呟く。
「さて、大人しく着いて来てもらいましょうか恭先輩。間宮いるか?」
先輩を沈めたまま間宮を呼べば
「はい、ここに」
すぐに姿を現す。
「約束通りに、先輩を聖の所へ連れて行ってくれ」
俺が頼めば
「はい、わかりました。先輩、行きましょう」
短く返事をして恭先輩を連れて行った。
「フェイントで来るんだったらその殺気は消してください」
恭先輩と同じように怒りの籠った拳を繰り出してくる緑先輩の拳を受け止め同じように床に沈めた。
「クソが!なんで穣を…」
ホントに何時もこうやって感情を晒しだせばいいんだけどなぁこの人も…。
「三条を景品にしたのはあなた自身が原因ですからね」
取り合えず先輩の上からどき答えれば思いっきり睨まれた。
「どういう意味だよ」
不満げに聞かれたが
「取り合えず、今はこのまま俺について来てください。町元いるか?」
それだけ告げて、町元を呼べば
「はい、ここに」
スッと姿を現した。
「予定通り、吉沼先輩と対応して、聖の元に集結してくれ」
町元に計画通りに行動してくれと声をかければ
「はい、わかりました。時間までに集合するように指示します」
すぐに返事をしてグラウンドで待機している他の風紀委員と連携して、グラウンドの先輩たちの収集に入った。
「緑先輩も行きますよ」
俺自身も移動しなきゃいけないので、緑先輩を連れて聖が待っている講堂へと向かった。

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