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誤解なんだが?
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「っ、ぁ、うそっ」
風紀委員室で作業をしていて不意に神谷がそんな声を上げたと思った瞬間にぶわっと部屋中に広がるフェロモンの香り。
「全員、動くな!」
俺は部屋の中にいる奴ら全員にその場から動くなと命令する。
いつも、計画的に休んでいる神谷に突如襲った予定外の発情。俺は神谷の傍に寄り
「大丈夫か?一旦、奥の部屋に行くぞ」
この場所ではなく、奥にある小部屋に移動しようと声をかければ小さく頷く。神谷を立たせて、奥の部屋へと運ぶ。
部屋の中には仮眠ができるようにと簡易的なベッドも置いてあるので、そこに神谷を座らせた。
「抑制薬は持ってるか?」
神谷に聞いてみる。神谷なら持ってるだろうと踏んでいたんだが…。
「今日…忘れて…」
自分の身体を抱きしめながら出てきた言葉に溜め息がでる。
運悪く、薬を忘れてきた日に突発的な発情が起きたという。
「永尾なら持ってるか?」
もしもの保険としてあいつが持ってるかもと思い聞いてみれば首を振る。タイミングが悪いとはこのことか。
「救護班に連絡して校医の所から持って来てもらうが大丈夫か?」
神谷が徹底して発情の時期を管理してるのは他人に見られるのがイヤだからだと俺は思っている。だから確認をしたのだ。
神谷はやっぱり返事に困っている。
「救護班にとって来てもらって、永尾に運ばせる。それで大丈夫か?」
なら、方法を変えよう。そう思い確認の為に聞けば首を振る。
そこで、あぁと気が付いた。発情に入ったとき神谷は一定期間、永尾を拒絶するんだったなと…。
「俺が傍にいるのも神谷には負担になるだろ?一度、俺は出るぞ?」
永尾を拒絶するぐらいだから俺も負担になるだろうと声をかければ
「っ、ふっ、ひっく、ふぇぇ」
神谷が突然、泣き始めた。
マジか!神谷のヤツ発情初期は泣き虫になるのか…。
俺はどうしたものかと考えながらも、滉也さんにメールをして抑制薬を持って来てもらうことにした。そのまま、聖と永尾にも同じ文面のメールを送る。
「ふえぇ、もぅ、やだぁ、もぉ」
神谷はそう言いながら癇癪し始める。
おいおいおい。
「ちょっと待て神谷。壁は殴るな!」
思いっきり壁を殴ろうとしてる神谷を掴めば
「やぁー!離してぇ―!」
なんて叫ぶもんだからたまったもんじゃない。しかも運悪く滉也さんが扉を開けたところだった。
「神尾くん、何やってるのかな?」
にっこりと笑う滉也さんの後ろにどす黒い何かが見えた。
「ふえぇ、いやだぁー、もぉ、やぁー」
神谷が泣きながらジタバタ暴れて、足を滑らせて倒れそうになって、それを受け止めようとしたら神谷の勢いに負けて一緒になって自分もこけた。
「いてて、おい、大丈夫か神谷?」
声をかけてから気が付いた。今の体勢は非常にヤバい。これじゃぁ、俺が神谷を押し倒したみたいじゃねぇか!
「…大我…どうし…て…」
「いっ、いっ、いっ、委員長―!な、何やって…」
しかもそれをバッチリ会長、副会長に見られた。最悪だ…。
「やぁ、もぉ、みんなやだぁー!」
「いて、いてて、ちょっ、神谷、落ち着けって」
イヤだと泣きながら殴る蹴るの暴行。何が起きてるのわからないみんなはポカーンと傍観。
「えっと…神谷くんは発情してるんだよね?」
やっと滉也さんが聞いてくる。
「いてっ、そうだよ。落ち着けって、こら、噛むな」
壁を殴ろうとしてる神谷を捕まえて抑えようとすれば、殴られるし、噛まれる。
「取り敢えず、これを飲ませよう。はい、永尾くん、口移し。神尾くんが捕まえてるうちにどうぞ」
ポカーンとしてる永尾に滉也さんが薬の瓶を渡す。
「えっ?あっ、はい」
永尾もいきなりで意味が分からないまま薬の瓶をもらい、神谷に口移しで飲ませた。
「…ご迷惑…おかけしました…」
薬が効いて、少しだけ落ち着いた神谷が顔を赤くしながら謝る。失態と言えば失態だからな。
「えっと、一応確認だけさせてくれるかな?神谷くんは神尾くんに襲われるわけじゃなかったのね?」
滉也さんの教員としての質問。
「…はい…えっと、実は僕…発情の初期は泣き虫になって…癇癪起こして物を殴るんです…人がいれば人も殴るんで…だからいつも健汰を拒否ってるんですけど…今回もその…泣き出して…壁を殴ろうとして委員長に止められまして…」
神谷は本当に言い辛そうに話し出す。
「ガーン。それが理由だったなんて…そんな、僕を殴ってくれればいいのにぃ…」
永尾が変態になってるな。
「じゃぁ、本当に神尾くんにはなにもされてないんだね?」
最終確認じゃないけどもう一度、滉也さんが聞いてる。
「はい、どちらかといえば…僕の方が委員長に酷いことをしました…殴ったし、噛んだし…」
神谷がだんだんと小さくなっていく。
「まぁ、それはいいんだが。俺は誤解さえといてくれればな」
俺が神谷を襲っていたという誤解をな。
「…はい…本当に…すみません…それは誤解です。…僕が委員長に暴力をふるってました…」
なんとも情けない顔で神谷が謝る。
「ほら、永尾くん、いつまでそこで遊んでるの。神谷くんを連れて帰りさない」
滉也さんは永尾のケツを蹴って連れて帰れと告げる。
「はっ!そうだった。発情中の可愛い神谷くんをこんなむさっ苦しい野郎どもに拝ませておけない!帰るよ神谷くん」
永尾はいきなりスイッチが入って神谷を連れて帰っていった。
「あーっと…ごめんね大ちゃん。僕も誤解しちゃったよ。化け物の大ちゃんがコロッとなびくとは思わなかったけど…疑っちゃった…」
2人が帰ってから滉也さんが謝ってくる。
「ほんと誤解ですよ。俺はこいつのフェロモンにしか反応しないんで…。誰彼かまわず襲うようなゲスなやつでもないですし…」
溜め息交じりに答えれば
「そうだよねぇ。ゆいちゃんの発情にも反応しない化け物だもんねぇ」
滉也さんは小さく笑う。聖に関してはまだショックを受けてるなこれは…。
「ゆいちゃんはさ、正直だよね」
そんなことを言いながら滉也さんが聖の頭を撫でる。
「っ」
それを引き金にしてポロリと涙が零れ落ちた。
「ちゃんと慰めるんだよぉ~」
泣き出した聖を押し付けて滉也さんはさっさと出ていった。
まったく…信用されてないな俺は…
「心配させて悪かった。あれは事故だし、神谷には手を出してないから安心しろ」
聖を自分の腕の中に抱きしめて謝れば小さく頷く。
「帰ったら、俺の部屋にこい。納得するまで話そう。甘えていいから」
頭を撫でながら部屋に来るように告げれば
「…約束…だからな…」
鼻声で言われた。
「あぁ、約束する」
俺は聖が納得するまで同じ言葉を言った。
後日、神谷と永尾にはお礼と謝罪を受けた。神谷にとっては予定外なことでテンパってたらしい。永尾はいつにもまして濃厚な日を味わえて嬉しかったらしい。のろけか?このやろ。
俺は聖が納得するまで話し合って甘えさせてやった。
ほんと、誤解はしないでくれ。
俺はお前以外に興味ないって言ってるだろうが唯斗。
Fin
風紀委員室で作業をしていて不意に神谷がそんな声を上げたと思った瞬間にぶわっと部屋中に広がるフェロモンの香り。
「全員、動くな!」
俺は部屋の中にいる奴ら全員にその場から動くなと命令する。
いつも、計画的に休んでいる神谷に突如襲った予定外の発情。俺は神谷の傍に寄り
「大丈夫か?一旦、奥の部屋に行くぞ」
この場所ではなく、奥にある小部屋に移動しようと声をかければ小さく頷く。神谷を立たせて、奥の部屋へと運ぶ。
部屋の中には仮眠ができるようにと簡易的なベッドも置いてあるので、そこに神谷を座らせた。
「抑制薬は持ってるか?」
神谷に聞いてみる。神谷なら持ってるだろうと踏んでいたんだが…。
「今日…忘れて…」
自分の身体を抱きしめながら出てきた言葉に溜め息がでる。
運悪く、薬を忘れてきた日に突発的な発情が起きたという。
「永尾なら持ってるか?」
もしもの保険としてあいつが持ってるかもと思い聞いてみれば首を振る。タイミングが悪いとはこのことか。
「救護班に連絡して校医の所から持って来てもらうが大丈夫か?」
神谷が徹底して発情の時期を管理してるのは他人に見られるのがイヤだからだと俺は思っている。だから確認をしたのだ。
神谷はやっぱり返事に困っている。
「救護班にとって来てもらって、永尾に運ばせる。それで大丈夫か?」
なら、方法を変えよう。そう思い確認の為に聞けば首を振る。
そこで、あぁと気が付いた。発情に入ったとき神谷は一定期間、永尾を拒絶するんだったなと…。
「俺が傍にいるのも神谷には負担になるだろ?一度、俺は出るぞ?」
永尾を拒絶するぐらいだから俺も負担になるだろうと声をかければ
「っ、ふっ、ひっく、ふぇぇ」
神谷が突然、泣き始めた。
マジか!神谷のヤツ発情初期は泣き虫になるのか…。
俺はどうしたものかと考えながらも、滉也さんにメールをして抑制薬を持って来てもらうことにした。そのまま、聖と永尾にも同じ文面のメールを送る。
「ふえぇ、もぅ、やだぁ、もぉ」
神谷はそう言いながら癇癪し始める。
おいおいおい。
「ちょっと待て神谷。壁は殴るな!」
思いっきり壁を殴ろうとしてる神谷を掴めば
「やぁー!離してぇ―!」
なんて叫ぶもんだからたまったもんじゃない。しかも運悪く滉也さんが扉を開けたところだった。
「神尾くん、何やってるのかな?」
にっこりと笑う滉也さんの後ろにどす黒い何かが見えた。
「ふえぇ、いやだぁー、もぉ、やぁー」
神谷が泣きながらジタバタ暴れて、足を滑らせて倒れそうになって、それを受け止めようとしたら神谷の勢いに負けて一緒になって自分もこけた。
「いてて、おい、大丈夫か神谷?」
声をかけてから気が付いた。今の体勢は非常にヤバい。これじゃぁ、俺が神谷を押し倒したみたいじゃねぇか!
「…大我…どうし…て…」
「いっ、いっ、いっ、委員長―!な、何やって…」
しかもそれをバッチリ会長、副会長に見られた。最悪だ…。
「やぁ、もぉ、みんなやだぁー!」
「いて、いてて、ちょっ、神谷、落ち着けって」
イヤだと泣きながら殴る蹴るの暴行。何が起きてるのわからないみんなはポカーンと傍観。
「えっと…神谷くんは発情してるんだよね?」
やっと滉也さんが聞いてくる。
「いてっ、そうだよ。落ち着けって、こら、噛むな」
壁を殴ろうとしてる神谷を捕まえて抑えようとすれば、殴られるし、噛まれる。
「取り敢えず、これを飲ませよう。はい、永尾くん、口移し。神尾くんが捕まえてるうちにどうぞ」
ポカーンとしてる永尾に滉也さんが薬の瓶を渡す。
「えっ?あっ、はい」
永尾もいきなりで意味が分からないまま薬の瓶をもらい、神谷に口移しで飲ませた。
「…ご迷惑…おかけしました…」
薬が効いて、少しだけ落ち着いた神谷が顔を赤くしながら謝る。失態と言えば失態だからな。
「えっと、一応確認だけさせてくれるかな?神谷くんは神尾くんに襲われるわけじゃなかったのね?」
滉也さんの教員としての質問。
「…はい…えっと、実は僕…発情の初期は泣き虫になって…癇癪起こして物を殴るんです…人がいれば人も殴るんで…だからいつも健汰を拒否ってるんですけど…今回もその…泣き出して…壁を殴ろうとして委員長に止められまして…」
神谷は本当に言い辛そうに話し出す。
「ガーン。それが理由だったなんて…そんな、僕を殴ってくれればいいのにぃ…」
永尾が変態になってるな。
「じゃぁ、本当に神尾くんにはなにもされてないんだね?」
最終確認じゃないけどもう一度、滉也さんが聞いてる。
「はい、どちらかといえば…僕の方が委員長に酷いことをしました…殴ったし、噛んだし…」
神谷がだんだんと小さくなっていく。
「まぁ、それはいいんだが。俺は誤解さえといてくれればな」
俺が神谷を襲っていたという誤解をな。
「…はい…本当に…すみません…それは誤解です。…僕が委員長に暴力をふるってました…」
なんとも情けない顔で神谷が謝る。
「ほら、永尾くん、いつまでそこで遊んでるの。神谷くんを連れて帰りさない」
滉也さんは永尾のケツを蹴って連れて帰れと告げる。
「はっ!そうだった。発情中の可愛い神谷くんをこんなむさっ苦しい野郎どもに拝ませておけない!帰るよ神谷くん」
永尾はいきなりスイッチが入って神谷を連れて帰っていった。
「あーっと…ごめんね大ちゃん。僕も誤解しちゃったよ。化け物の大ちゃんがコロッとなびくとは思わなかったけど…疑っちゃった…」
2人が帰ってから滉也さんが謝ってくる。
「ほんと誤解ですよ。俺はこいつのフェロモンにしか反応しないんで…。誰彼かまわず襲うようなゲスなやつでもないですし…」
溜め息交じりに答えれば
「そうだよねぇ。ゆいちゃんの発情にも反応しない化け物だもんねぇ」
滉也さんは小さく笑う。聖に関してはまだショックを受けてるなこれは…。
「ゆいちゃんはさ、正直だよね」
そんなことを言いながら滉也さんが聖の頭を撫でる。
「っ」
それを引き金にしてポロリと涙が零れ落ちた。
「ちゃんと慰めるんだよぉ~」
泣き出した聖を押し付けて滉也さんはさっさと出ていった。
まったく…信用されてないな俺は…
「心配させて悪かった。あれは事故だし、神谷には手を出してないから安心しろ」
聖を自分の腕の中に抱きしめて謝れば小さく頷く。
「帰ったら、俺の部屋にこい。納得するまで話そう。甘えていいから」
頭を撫でながら部屋に来るように告げれば
「…約束…だからな…」
鼻声で言われた。
「あぁ、約束する」
俺は聖が納得するまで同じ言葉を言った。
後日、神谷と永尾にはお礼と謝罪を受けた。神谷にとっては予定外なことでテンパってたらしい。永尾はいつにもまして濃厚な日を味わえて嬉しかったらしい。のろけか?このやろ。
俺は聖が納得するまで話し合って甘えさせてやった。
ほんと、誤解はしないでくれ。
俺はお前以外に興味ないって言ってるだろうが唯斗。
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