貴方の傍に…

槇瀬陽翔

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act3

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ホントに最悪!この男があの喜一さんの息子だなんて!!

「遅い!もっと早く歩けないのか?」
くそぉ~!!
「これでも一生懸命歩いてんだよ!」
しょうがねぇだろ!リーチの差がある過ぎるんだよ!
「あっ、会長様、こんにちは」
誰?
「あぁ、今から移動教室か?頑張って来いよ」
ってか誰この人?すっげぇ俺と態度が違くね?
「はい。あれ?転入生ですか?」
俺の事はいいから、もう行ってくれ。
「あぁ、今日、新しく来た東條菫くんだ。よかったら仲良くしてやってくれ」
なんでそこで俺を紹介するんだよ!スルーしとけよ!
「と、東條菫です。よろしく…」
紹介された手前、挨拶しないとダメだろうと思って俺がペコリと頭を下げた。
「こちらこそよろしくお願いします。じゃぁ、会長様お邪魔しました」
同じように頭を下げて彼は行ってしまった。
「めんどくせぇ」
で、彼が行ってから遙の口から出た言葉はこれだった。
「だったら相手しなきゃいいじゃんか」
「そうはいかねぇんだよ。お前と違って生徒会長だからな。行くぞ」
俺の言葉にイヤそうに返事をしてまた歩き始めた。

くそぉ~!ムカつく!こいつがあの喜一さんの息子だとか俺は認めないからな!


なんだかんだと文句を言いながらも、色んなことを俺にちゃんと教えてくれた。口は悪いけどな。ただ、他の生徒にはメチャクチャ愛想がよくて別人。こいつ二重人格かよ!って思うぐらいに…。それでも、他の生徒には人気があるんだって、なんとなくわかった。それだけ生徒会長として支持されてるんだなって…。俺に対してはすっげぇメチャクチャだけど…。


「なぁ、もしかして俺が気に入らねぇの?」
俺は後ろをついて歩きながら聞いてみた。聞かなくても態度がそう言ってる気がするけどさ。
「なんだ、今頃気が付いたのか?当たり前だろ。親父が拾ってきた奴なんか誰が気に入るかよ」
俺の顔を、目を見てハッキリと言い切った。あぁ、やっぱりね。
「そりゃすみませんね!できるだけ早く出ていけるようにしてやるよ!」
くそっ、やっぱりこいつなんか嫌いだ!
「はっ、一体いつになることだろうな!」
鼻で笑われた。クソッ!人の事をバカにしやがって…。どうせ俺は実の親に売られた唯の売春夫さ。お坊ちゃまな遙にはどうせ邪魔な存在だろう。しかも兄弟だと偽ってるんだから…。
「お前なんか嫌いだ…」
俺は搾り出すように呟いた。
「そりゃ結構。俺も一緒だ」
改めて言われるとやっぱり辛い。そりゃさ、こんな奴でも俺なりに仲良くなろうって思ったのにさ…。俺は結局、誰にも必要とされないってことじゃんか…まぁ、いいけどさ…。
「ここが職員室。担任に挨拶をしていくぞ」
行き成り現実に引き戻された。
「失礼します。白木先生はいますか?」
ホントにこいつって二重人格だ。
「東條か、どうした?」
そんな声がした。よく見てみればメガネをかけた若い先生が振り返っている。
「はい、転入生の東條菫くんを連れてきました。先生にご紹介しようと思いまして。俺の義理の弟です」
こんな時だけ弟扱いか。そんな気もつもりもないくせに。
「はじめまして、東條菫です」
遙が自分の後ろから俺が見えるように動くから、俺はぺこりと頭を下げて挨拶をした。
「そうか、君が弟くんか。明日から君の担任になる白木だ。わからないことがあれば彼に聞くといい」
白木先生が笑う。こいつが俺に教えてくれるわけがない。俺の事が嫌いなんだから…。
「はい、そうします。でも、できるだけ迷惑はかけないようにしないと…兄さんは生徒会の方で忙しいんで邪魔したら悪いですからね」
あぁ、俺もなにいっちゃってんだろ。自分で言って鳥肌立っちゃったよ。
「兄さん思いだな。まぁ、クラスにいるやつはみんないいやつだからそいつらに聞くといい」
先生はまた笑った。
「はい、会うのが楽しみです」
俺は無難な言葉を選んだ。
「では、先生。俺たちはこの辺で失礼します。まだ他にも案内しないといけないんで」
遙が先生との会話を切るように言う。
「そうだな、ちゃんと教えてやってくれよ」
「わかってます。では、失礼します」
先生の言葉に遙は小さく笑い頭を下げてから職員室を出ていく。俺の先生に頭を下げてから遙の後を追った。
「チッ、余計なこと言いやがって」
職員室を出て早々にこれかよ。ホントに二重人格め!
「悪かったな」
俺は遥かから視線を逸らし呟きのように言った。遙はもう一度、舌打ちをすると歩き出した。俺はその後を小走りになりながら追いかけていった。

一通り教えてもらって最後に案内されたのが寮だった。


「ここが俺とお前の部屋。お前は左で荷物も置いてある。食堂は2階にある。キッチンバストイレは完備してるから使いたきゃ使え。大浴場がいいなら3階だ。なんか質問は?」
部屋の中に入って説明をしてくれた。
「もういい」
俺は溜め息をつき答えた。
「そうか、俺は生徒会の仕事があるから戻るけど、襲われたくなきゃ変にうろつくなよ」
俺の返事を聞き遙はそれだけ言って部屋を出ていった。
「今更、襲われたって変わらねぇって…荷物の整理しよ…」
自分の部屋に入り喜一さんが送ってくれた荷物を整理し始めた。荷物って言ってもほとんど服だけどさ。荷物の整理を終えてから部屋の中を見渡す。
「結構、広いんだ」
側にある机の所へ行き並べられている教科書を手に取ってみる。全部、俺の名前が記入されていた。でもそれは喜一さんの字じゃなかった。もしかして遙が?なんて思うけど、そんなわけないよな。俺は教科書を元に戻しベッドの倒れるように横になった。


疲れていたのか、そのまま眠ってしまったらしい。

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