貴方の傍に…

槇瀬陽翔

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act10

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昼前になり俺は少し憂鬱な気分のまま寮を出て喜一さんが待つ家へと向かった。

「お帰りなさいませ」
家に入れば召使さんが俺に頭を下げる。俺になんて言わなくてもいいのにね。
「ただいま」
俺はそう返事をして喜一さんが待っているであろう部屋へと向かった。

「ただいま帰りました」
俺はリビングのソファに座って寛いでいる喜一さんに声を掛けた。
「おかえり菫くん。遙は?」
喜一さんは俺だけしかいないので聞いてきた。
「遙さんは生徒会の方の仕事が忙しいので、どうしても来れないそうです」
俺は嘘を見繕った。本当は帰る気がないんだって言えなかったんだ。
「そう、あの子もたまには帰ってくればいいのにね。さてと出かけようか」
喜一さんは立ち上がり、出かける準備を始めた。
「あ…はい」

わざわざどこへ行こうというのだろうか?

喜一さんはさっさとリビングを出ていくから俺は慌ててそれを追いかけた。
「行ってらっしゃいませ」
召使さんのその声に見送られて俺は喜一さんと一緒に今帰って来たばかりに家を後にした。

喜一さんが来たのはどこかのホテルだった。もう既に部屋は取ってあるのか喜一さんはフロントで鍵をもらい俺を連れてエレベーターに乗った。

なんでこんなところに来るんだろう?

俺はそう思っていても口に出せずにいた。エレベーターが目的に階に着いたのか喜一さんがエレベーターを降りていく。俺はその後を追った。
「さぁ、入って」
喜一さんが部屋の扉を開ける。
「はい」
俺は返事をして部屋に入った。
「ここはね、私の会社が経営してるホテルなんだ。一度、君にも見せようと思ってね」
なんて説明をしてくれる。

へぇ~、そうなんだ。

なんて思ってるうちに部屋の呼び鈴が鳴りルームサービスが運び込まれてきた。
「ここで食事をしようと思ってね。さぁ、座って」
そう言われてしまえば断れない。既に俺はここまで連れてこられたのだから…。俺は大人しくそれに従った。
「じゃぁ、冷める前にいただこう」
同じように腰掛けた喜一さんに促され俺は頷き、喜一さんと2人っきりの食事を始めた。
「そうだ菫くん、今日ぐらい羽目を外して少し飲んでみない?」
そういってワインを差し出された。
「えっ…でも…」
自慢じゃないけど俺はメチャクチャ酒には弱い。一度、勧められて飲んだことがあるけど、すぐに酔ったのを覚えてる。
「大丈夫だよ。そこまで強くないからね飲んでごらん」
そう言われて俺は躊躇いながらもグラスを差し出した。喜一さんは嬉しそうに差し出したグラスにワインを注いだ。俺は一口、口にした。

うっ、やっぱりキツイ…。

それでも断ることができず、俺は諦めて飲み続けて見事に酔いつぶれた。

「んっ?…ぁ…?…」

何?何が起きてる?身体に纏わりつく感触は何?

少し痛む頭で目を覚ませば俺は喜一さんに襲われていた。
「気が付いた?キレイな身体してるね。肌もすべすべで…売春をやってた子とは思えないよ」
喜一さんは俺の身体に指を這わせ舐めていく。
「っ、ぁ、や、やめっ」

なんで??なんで喜一さんがこんなことを??

俺の意思とは関係なく、男に抱かれ慣れた身体は簡単に反応を返す。どんなに足掻いたって浅ましい身体は素直に反応を返してしまう。
「うん、いい感じ。入れるよ」
嬉しそうに言いながら喜一さんのモノが入ってくる。
「っ、ぁ、やぁ、っ、やめっ、ぁ、っ」
どんなに抵抗をしたって大人の力に敵うわけがない。俺は、喜一さんの気がすむまで犯され続けた。

こんな…こんな裏切り…ヒドイよ…

ふと、目を覚ませば外は暗く、隣で喜一さんが寝ていた。俺は急いで自分の服を着て部屋を飛び出した。

外は雷鳴が轟く土砂降りの雨だった。

俺はどこをどうやって帰って来たのかわからないけど、寮の外に立っていた。俺はふと上を見上げた。そこに見えるのは偶然にも俺と遙が使ってる部屋が見えた。俺は雨に濡れたままその場所を見上げていた。


「おい、いつまでそこにいるつもりだ?」
そんな声が聞こえて、俺は油が切れたロボットのようにギギギと音がする感じに声がした方を見た。そこには不機嫌な顔をした遙が傘を差して立っていた。俺が全然、動こうとしないからチッって舌打ちをして不機嫌なまま遙が傍に来た。
「風邪ひきてぇのか」
少し乱暴に俺に傘を差し遙が言う。俺は頭で考えるよりも先に身体が動いてた。遙には迷惑だと思いながら遙の胸に抱き着き泣き出した。

遙の顔を見た途端に俺の中で何かが崩れ落ちた。頭では迷惑だから離れなきゃって思ってるのに身体が動かなくて、変わりに無言のまま遙が肩を抱きしめてきた。俺は驚いたけど、動けなかった。離れたくなかったんだ…。

それでも、雨に打たれすぎた事と喜一さんに犯され続けていた身体が悲鳴を上げ、足から力が抜けてガクンって崩れ落ちるけど、それは遙によって受け止められた。
「傘を持て」
遙に言われて俺は大人しく傘を持った。その途端に遙は軽々と俺を抱き上げて寮へと歩いていく。寮の玄関で俺が傘を閉じると、遙は無言のまま俺を抱き上げたまま部屋へと戻っていった。

ごめん…嫌いなやつの世話させて…

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