29 / 32
act29
しおりを挟む
それは突然やってきた。教科書やノートに落書き。
突然呼び出されたと思えば
「目障りなんだよね」
「どっか消えちゃいなよ」
そんな心ない言葉が、次々と浴びせられた。言葉とともに振るわれる暴力。
あぁ。これが世間で言う苛めってやつなのか。俺は密かにそう思う。
二日に一回の割合で教室から連れ出され人気のないところに連れてこられ何度も殴られ蹴られる。
今更そんな暴力を振るわれようとも痛みなんて感じない。あの店で受けてきた暴力はもっと酷いものだったから。
俺は自然と薄ら笑いを浮かべてしまう。こんな事してもしかたないのにね…。
遙と赤の他人だってバレて、それでもなお、俺が遙と一緒にいるから、みんなは気に入らないんだろうな。
遙はこの学院の生徒にとって特別な存在。神に近いのかもしれない。だからこそ、俺が傍にいるのが気に入らないんだろう。
1ヶ月が経つ頃には苛めもなくなっていた。俺が何の反応も示さないからだ。飽きたのだろう。
暴力で俺をどうにかできると思ってるなら間違いだ。俺は何も感じないのだから…。
生きた人形は感情を表さないんだよ。それに…暴力という名の痛みは子供の頃から幾度となくこの身体に受けてきたのだ。
殺さない限りどんな酷いことをされても文句を言えないそんな環境で育ってきたのだから、俺に暴力なんて意味がない。
俺は一人薄ら笑いを浮かべた。
「お前。このままでいいのか?」
急にそんなことを遙に問われる。
「何がですか?苛めのことですか?俺は平気ですよ?今更あんなことされても何も感じません」
俺は茶碗を片付けながら答える。
「だから…本当にそれでいいのか?」
遙が俺の両腕を掴み声を荒げ言う。
「いいんです。兄さんは兄さんのままでいてくれれば、それでいいですから。俺は赤の他人ですから…。お気になさらずに…」
俺は俯き答える。俺と遙は別世界の人間。俺に関わることなんてない。
「頑固者。わからずやだな」
遙かは溜め息をつき呟く。俺は小さく笑い
「貴方たちご家族にこれ以上のご迷惑をかけるつもりはありません。俺は卒業とともにあの家を出ます。それが俺の選んだ選択です」
はっきりと告げる。そう、本来なら使わないと決めていたあの金を使ってでも東條家から出ることを決めた。
俺がいれば迷惑になるだけだから…。
「勝手な言い分だな」
遙がいう。
「今まで喜一さんから送られてきたお金には一切手をつけてませんから。そのままお返しします。携帯だって何もかも…俺には必要ないものですから…」
遙かは諦めたのか
「好きにしろ」
そう言って俺の腕を放した。俺はそのまま自分の部屋へと戻った。
「俺は…どこに行くんだろう…」
ドアに凭れ床を見つめ呟く。遙の進路は決まってるはず。きっと大学に進学するんだろ。会社を任されてるぐらいだから…
俺は…やっぱり俺には何もないよな…
あと1年…この学院で地味に過ごしてあの家を出て俺は一人で…一人で何をするんだろ…。
突然呼び出されたと思えば
「目障りなんだよね」
「どっか消えちゃいなよ」
そんな心ない言葉が、次々と浴びせられた。言葉とともに振るわれる暴力。
あぁ。これが世間で言う苛めってやつなのか。俺は密かにそう思う。
二日に一回の割合で教室から連れ出され人気のないところに連れてこられ何度も殴られ蹴られる。
今更そんな暴力を振るわれようとも痛みなんて感じない。あの店で受けてきた暴力はもっと酷いものだったから。
俺は自然と薄ら笑いを浮かべてしまう。こんな事してもしかたないのにね…。
遙と赤の他人だってバレて、それでもなお、俺が遙と一緒にいるから、みんなは気に入らないんだろうな。
遙はこの学院の生徒にとって特別な存在。神に近いのかもしれない。だからこそ、俺が傍にいるのが気に入らないんだろう。
1ヶ月が経つ頃には苛めもなくなっていた。俺が何の反応も示さないからだ。飽きたのだろう。
暴力で俺をどうにかできると思ってるなら間違いだ。俺は何も感じないのだから…。
生きた人形は感情を表さないんだよ。それに…暴力という名の痛みは子供の頃から幾度となくこの身体に受けてきたのだ。
殺さない限りどんな酷いことをされても文句を言えないそんな環境で育ってきたのだから、俺に暴力なんて意味がない。
俺は一人薄ら笑いを浮かべた。
「お前。このままでいいのか?」
急にそんなことを遙に問われる。
「何がですか?苛めのことですか?俺は平気ですよ?今更あんなことされても何も感じません」
俺は茶碗を片付けながら答える。
「だから…本当にそれでいいのか?」
遙が俺の両腕を掴み声を荒げ言う。
「いいんです。兄さんは兄さんのままでいてくれれば、それでいいですから。俺は赤の他人ですから…。お気になさらずに…」
俺は俯き答える。俺と遙は別世界の人間。俺に関わることなんてない。
「頑固者。わからずやだな」
遙かは溜め息をつき呟く。俺は小さく笑い
「貴方たちご家族にこれ以上のご迷惑をかけるつもりはありません。俺は卒業とともにあの家を出ます。それが俺の選んだ選択です」
はっきりと告げる。そう、本来なら使わないと決めていたあの金を使ってでも東條家から出ることを決めた。
俺がいれば迷惑になるだけだから…。
「勝手な言い分だな」
遙がいう。
「今まで喜一さんから送られてきたお金には一切手をつけてませんから。そのままお返しします。携帯だって何もかも…俺には必要ないものですから…」
遙かは諦めたのか
「好きにしろ」
そう言って俺の腕を放した。俺はそのまま自分の部屋へと戻った。
「俺は…どこに行くんだろう…」
ドアに凭れ床を見つめ呟く。遙の進路は決まってるはず。きっと大学に進学するんだろ。会社を任されてるぐらいだから…
俺は…やっぱり俺には何もないよな…
あと1年…この学院で地味に過ごしてあの家を出て俺は一人で…一人で何をするんだろ…。
0
あなたにおすすめの小説
会長様は別れたい
槇瀬陽翔
BL
大我と恋人同士になり、発情の暴走も何とか収まった唯斗。ある日、唯斗の元に子供の頃にお世話になっていた養護施設から電話がかかってきて…。まるでそれが火種になったかのように起こる出来事。いつも以上に落ち込む唯斗。そんな唯斗に手を差し伸べたのは恋人である大我だった。
会長様シリーズの第3部です。時系列的には第1部と第2部の間の話になります。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
この腐った学園で生き抜くためのたった一つの方法。
田原摩耶
BL
学園の美形たちのスキャンダルを利用して小遣い稼ぎしていた新聞部員が生徒会長に目を付けられてめちゃくちゃにされる話。
品もモラルもはないです。なんでも許せる方向け。
発情薬
寺蔵
BL
【完結!漫画もUPしてます】攻めの匂いをかぐだけで発情して動けなくなってしまう受けの話です。
製薬会社で開発された、通称『発情薬』。
業務として治験に選ばれ、投薬を受けた新人社員が、先輩の匂いをかぐだけで発情して動けなくなったりします。
社会人。腹黒30歳×寂しがりわんこ系23歳。
仮面の王子と優雅な従者
emanon
BL
国土は小さいながらも豊かな国、ライデン王国。
平和なこの国の第一王子は、人前に出る時は必ず仮面を付けている。
おまけに病弱で無能、醜男と専らの噂だ。
しかしそれは世を忍ぶ仮の姿だった──。
これは仮面の王子とその従者が暗躍する物語。
幼馴染みのセクハラに耐えかねています。
世咲
BL
性格クズな学園の王子様×美形のちょろヤンキー。
(絶対に抱きたい生徒会長VS絶対に抱かれたくないヤンキーの幼馴染みBL)
「二人って同じ名字なんだ」「結婚してるからな!」「違うな???」
運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー
白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿)
金持ち社長・溺愛&執着 α × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω
幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。
ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。
発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう
離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。
すれ違っていく2人は結ばれることができるのか……
思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいαの溺愛、身分差ストーリー
★ハッピーエンド作品です
※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏
※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m
※フィクション作品です
※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる