お腐れさまの幸せ

鳥類

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現状維持な幸せ…?

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 レナリアは久しぶりに図書室の萌えスポットへと来ていた。ここしばらくアルベールの私室へは行っていない。
 チラリとそちらへ視線をやるも、彼は来ていないようだった。

(…何やってんだろ、私…)

 最近、コレットとアルベールが一緒にいるところを見る。いや、どちらかというとコレットがアルベールに突撃しているようだが。
 訓練場では相変わらず騎士科の学生たちが剣を交えている。しかし、今のレナリアの目にその光景は一切映っていない。

(別に…結婚に恋とか愛とか無くてもいいって思ってたんだから…関係ないじゃない。相手として最高なんだから)

 身分があって、見た目も良くて、人当たりも良くて、何よりBL話で盛り上がれる。
 これ以上ない好物件。
 なのに…その上…

 心まで…欲しいと思ってしまっていたなんて―――

 いつのまにやら、レナリアはアルベールに惹かれていた。語っていた内容が腐っていようとも。

(…でも…まぁ…いっか。そのうち結婚するんだし…)

 例え、彼の心がこちらに無かろうとも…コレットに向いていようとも…いずれはレナリアの夫となり、二人で萌え語りをしていけるのだ。
 幸せと言えば幸せだろう。
 卒業してしまえばレナリアは公爵夫人だ。コレットが誰と結婚するかはわからないが、少なくとも王太子妃にだけはならないだろうから、早々会うことも無くなるはずだ。
 そうすれば、二人だけが分かり合える世界で、二人だけの萌えを共有していけるのだ。

(うん。そうだよ。それでいいじゃん)

 胸の痛みに気づかないふりをして、レナリアは萌えを供給しようと訓練場へと視線を移す―――が、ぼやけてよく見えない。
 知らないうちに流れ落ちていた涙は…机の上に申し訳程度に開かれた用紙の上にいくつもの水跡を作っていた。

(…バカみたい…)

 幸せなはずなのに、それに不満を持つなんて。

(あぁでも、乙女ゲーみたいに婚約破棄とかされちゃったらどうしよう…ここラノベの世界らしいけど)

 アルベールが…自分以外を選んでしまったら。
 自分以外の誰かに心を捧げてしまったら。

(…やだ…。いやだ…)

 もはや机上に落ちる水音はひっきりなしになっている。
 だからレナリアは気づかなかった。
 足音が…背後で止まったことに―――
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