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清泪─せいな

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6 元刑事と聞き込み調査

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叔父おやっさん、俺以外にこの病院に運ばれたのが誰かってわかるか?」

「ああ、それぐらい調べなくてもすぐにわかるが、さっきも説明したがまだ面会制限かけてるからな。親御さん以外だと同級生でも会いに行くのは難しいぞ」

「わかってるさ。ただ、目覚めたらすぐにでも会いに行ってやりたいんだ、不安だろうしな」

 不安なのは目覚めていない同級生だけじゃなく、武志自身もか……刀兵衛はスマートフォンを手にそう感じた。
 病院内での携帯電話の使用は限られた場所でしか許されていないが、個室の病室では融通がきいた。
 LINEアプリを起動させて、保護者会で作ったグループを人差し指でタップした。
 過去の発言を探し画面をスクロールさせると、PTA会長が定期的に貼り付けているリスト画像が出てきた。
 どの生徒が何処の病院に搬送されたのかが記されているリストだ。

 そのリストの犀星会さいせいかい病院──武志の入院しているこの病院に搬送された生徒の名前を刀兵衛が読み上げる。
 教師の名前や観光会社関連の名前はそこには含まれていなかった。
 全部で十二名。
 同じ二年C組の生徒と違う組の生徒の名前が何の順序もなく読み上げられる。

「・・・・・・青西と司馬がいるのか。わかったよ、叔父おやっさん。助かった」

「その二人は知り合いか?」

「同じ学年だし他にも話したことがあるヤツとかいるんだけど、その二人は同じ組でさ。バスの座席も近かったんだ、司馬は隣に座ってたし、青西は瑠璃の隣に座ってた」

「そうか、なら二人のことは特に気にかけておくよ。面会ができそうならちゃんと教えてやる」

 刀兵衛はLINEの画面を幾度かスクロールさせてから探してるものが見つからないとわかって、アプリを閉じた。
 スマートフォンをポケットにしまい、考え込むように眉間に皺を寄せた。

「何か気になることでも、叔父おやっさん?」

「いや、保護者グループといっても全員が入ってるわけじゃないんでな。青西と司馬、両名の親御さんの名前が見つからなかったからな、二人の状況を聞くならまた別の方法を考えなきゃならん」

「別の方法って?」

「なぁにこういう場合は足で稼ぐのが基本だ。こういうネット主流の時代でもそういうのは変わらんもんさ」

 元刑事という経歴を持つ刀兵衛はそう言って厳つい笑顔を武志に見せた。
 泣く子も黙るような笑顔。
 直美が幼少の頃、転んで膝を擦りむいたりして泣いた際もこの笑顔で黙らせた。
 本人は優しさのつもりだから厄介だ、と武志は思った。

「まぁ俺もすっかり老体だからな、足で稼ぐといっても病院内で済ますつもりさ」

「日頃年寄り扱いは怒るくせに、こういう時は都合良く使うんだな」

「当たり前だ、俺はまだジジィ呼ばわりされる年齢じゃねぇ」

 結局どっちなんだよ、と武志は肩をすくめた。

「じゃあ早速、看護師さん方に聞き込みと行きますか」

 刀兵衛が椅子から立ち上がる。
 無意識に、よいしょ、と小さく口から出るのがジジィだなと刀兵衛は自嘲した。

「流石、行動が早い。わがまま言ったみたいで悪い、叔父おやっさん」

「息子のわがままを聞いてやるのが親父役の仕事ってもんよ。それに俺が動かねぇとお前が勝手に動きだしかねねぇからな」

 図星をつかれ武志は、へへっ、と笑って誤魔化した。
 へへっじゃねぇ、と刀兵衛は武志の額を指で軽く弾いた。

「ちゃんとしっかり寝てろよ、武志。医者せんせいの許可が出るまで安静にしておくこと。もし勝手に歩き回りでもしたら、直美を張りつけさせるからな」

「はぁ? 直美は学校があるだろ? 何でそんなことさせんだよ」

 武志の看病をすると喚いていた直美を、説教してまで学校に行かせた刀兵衛の口からそう言われるのは意外であった。

「直美に心配されるのが一番苦手なんだろ? カッコつけ兄貴なんだからよ」

「なんだよ、それ」

「アイツに大丈夫だと胸張って言いたいなら医者せんせいの太鼓判が出るまで大人しくしとけってことだよ」

 わかったよ、と武志はふてくされながら言うと起こしていた体を倒し布団を頭まで被さって寝るフリをした。
 フリじゃなくてちゃんと寝とけよ。
 笑い声を残して、刀兵衛は病室を後にした。
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