焼きそばパン大戦争

清泪─せいな

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最終章 焼きそばパン大戦争

第百三話 待ち受けるドア

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 小早志真理亜の分体を避けながら階段を登っていく。上にも下にも続く階段に、ひしめく無数の分体。とにかく上にと進む和美。躊躇いはまだ払拭出来ていないので、分体から受ける攻撃を無抵抗に対処するしか無かった。伸びる手は鋭利な刃物の様に和美の身体を斬りつけていく。頬に、腕に、足に赤い一筋が次々と付けられていく。

 身体中に増えていく痛み、それでも和美は反撃を躊躇ったままだった。痛みに我慢してとにかく前へと押し通っていく。腕や足を伸ばし攻撃をして来る分体は何故か近くに寄ろうとすると嫌がるように離れていったので、道はどうにか開いていた。

 三階に辿り着いた和美は、頭に浮かんだ映像を頼りにとにかく総当りで部屋を探し出そうと走り出した。しかしそこで、ちょっとした違和感を覚える。

 階段から離れた途端、いや三階に辿り着いた途端、小早志真理亜の分体の追撃が止まったのだ。それだけではなく、そもそも三階に分体の姿も小鬼の姿も無かったのだ。
 それ以上に人の気配すら感じなかった。物音一つしない静かな――他から隔離されたような空間が三階に広がる。

「え、もしかして、三階そのものが試練場ってこと?」

 和美の問いに誰かの答えは返って来なかった。今回は説明役の花菜も齋藤もいないので、正解がわからない不安がある。そもそも正中とか言われる通り道を通って来れたかもわからないので、不安だらけであった。花菜が正中はミニチュア錫杖が教えてくれると言っていたが、逃げながら来た道中でミニチュア錫杖の状態を確認してる暇な無かった。

「もっとわかりやすく、ババっと光ってくんないかなぁ」

 とりあえずもう一度光らないかとミニチュア錫杖を掲げてみるものの、ミニチュア錫杖は何の反応も示さなかった。うんともすんとも反応しないミニチュア錫杖に、やはりこの三階が正解なのか怪しくなってくる和美。もしかすると、この三階を含む上の階全部が試練場として隔離された空間である可能性もある。
 和美は想像出来る徒労に項垂れつつ、とにかく最初に想定していた通りの総当り方法でいくしかないと覚悟を決めた。

 三階は入院病棟としての役割を持つフロアとなっている。病室が並ぶフロアは三階四階五階と三フロア分あるらしいと、階段を登ったすぐ近くにあった案内図で確認する。案内図で確認できる縮図でも三階自体の広さが、かなりのものであると理解出来る。総当りとなるとかなりの時間を食いそうではあるが、それ以外に見当をつける方法は和美には思いつかなかった。

 とにかく一室、と和美はすぐ側の病室に入ろうとドアに手をかけるが、ドアはロックされていてビクともしない。光の刀で切り開くか、とも考えたがその手段は万が一の場合として置いておこうと冷静になった。
 続いて対面の病室のドアに手をかけるが、同じくロックされていてビクともしなかった。二室続けてロックされているとなるとおかしな話だと思えてくる。この混乱とした状況なので、入院患者が病室に立て篭もってるという可能性も考えられたが、やはり三階に辿り着いた時同様未だに人がいる気配を感じないので、中に人がいない可能性の方が高く思える。
 となると、ドアが開く部屋が正解か。和美はそう考えて、単なる総当りではなくなった事に安堵した。総当りであることは変わりないが、部屋に入室後そこが正解であると判別できるかどうかはかなり大きな話だ。

 それから和美は三つ目四つ目と次々に病室のドアを開けに行った。変わらずどれもこれもドアはビクともしない。和美は廊下を進みながら、壁や天井にも目を配らせていた。厄介な脱出ゲームや謎解きゲームの場合、開けるドアにも何かしらの規則があったりするもので、それのヒントの見落としが無いかと探し続ける。一つドアを開けれた後に、実はそこを起点に別の部屋を開けていくことになる、というルールだった場合が厄介である。青龍がそんな迷路じみた仕掛けを用意してくるのかは定かでは無いが、全ての事柄を想定しておいた方が後々対処しやすいだろう。

 こうなってくると自分一人で試練に望むことを後悔してしまう部分も出てくる。謎解きが解決出来なかった場合、全てが徒労に終わり奈菜の手伝いは何一つ出来ないわけだ。次のドアに手をかけながら和美は、その最悪も想定してしまい焦りが増していた。
 
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