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最終章 焼きそばパン大戦争
緑が残した興味 第百八話
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高城和美が蒼龍の試練を受けている最中、希望総合病院内では小早志真理亜の分体がある人物を絶望の淵へと追いやっていた。
「あ……がっ……がっ……がっ……」
西生家の分家の者、牙と名乗ることになった男は、小早志真理亜の分体が操る緑の光に首を掴まれ捻られた。白の装束に麻の法衣を羽織った、顎と同じ姿をした牙の右手から金色の錫杖が手放されて、遠くに離れた地面へと落下していく。
一階受付フロアは、天井の高いフロアとなっていて大半の部分は二階と直結した作りになっている。その二階分の高さへ、牙の身体は持ち上げられていた。
最早、牙には抵抗する意識、いや生命すら無く、口から出ている音は、体内の空気が押し出される際に強く掴まれた喉に引っかかった音だった。
「ひぃ……ひぃぃ……」
少女の姿をした緑色の何かが、白装飾の男を宙へと持ち上げて殺した。そんな信じられない光景に、不運にもその場にいた看護師は恐怖にしゃがみ込む見上げるしか出来なかった。逃げようにも、少女の姿をした緑色の何かは、何故かすぐ側にも存在していて、震える看護師の肩をそっと掴んでいた。
「緑色はね、興味の色らしいの。正太くんが残してくれたこの色は、そういう色らしいの。それは、理解とは違うの、わかる? 興味、ただ、興味なの。だから私は正太くんが興味を抱いたことに興味があるの。理解したいとは思ってはいないの、わかる?」
看護師の耳元で囁く小早志真理亜の分体。怯える看護師は、首を縦に振ることも横に振ることも出来ず、ただじっと首が折られた牙の身体が落下してくる様を見ていた。
「ひぃぃ……ひぃぃ……」
怯える看護師。その首にもゆっくりと優しく包み込むように、緑の光が伸びていく。
「ねぇ、人を殺したいと興味を抱くって、どういうものなんだろうって興味が湧かない? 私はね、理解が出来ないから凄く興味が湧くんだよね。だって、私は人を殺したいだなんて思わないから。それは私も他人に対してムカついたり、居なくなって欲しいと思うこともあるよ。けど、人を殺したいだなんて、そんなものを思うことは無いの。私は人を殺すことによる責任を負いきれないからね、だからそんなことを思えないの」
看護師の首にまとわりつく緑の光が手の形を成して、ゆっくりとゆっくりと絞めていく。その光景はこの場だけで見られるものではなく、一階フロアのあらゆる場所で行われていた。逃げ惑う患者、怯える看護師、倒れる医師。その全ての側に、小早志真理亜の分体は寄り添い、緑の光を放っていた。
「私が抱きようもない興味を正太くんは抱いていて、それを満たすために動物や人を殺していたらしいのだけど。その興味がどんなものであるのか、私も興味があるの。きっと理解は出来ないだろうし、理解しようと努力する気もない。だけど、この興味は抗いようのないぐらい尽きないわけ。正太くんの真似をしてみても、尽きないのよ。何度も何度も真似てはいるのだけど、興味が尽きないの!!」
小早志真理亜の分体が、病院内にいたあらゆる人物を殺していく。首を絞め殺すだけではなく、緑の光を刃物のようにして腹を刺し殺したり、緑の光を集約させて弾丸のように頭を弾き殺したり。あらゆる人物を、あらゆる殺し方で、殺していく。
一階に――いや、病院内全体に広がる阿鼻叫喚は試練へと隔離された三階には届かなかった。
死者数は、笠沼正太が殺した数など優に超えていた。
「あ……がっ……がっ……がっ……」
西生家の分家の者、牙と名乗ることになった男は、小早志真理亜の分体が操る緑の光に首を掴まれ捻られた。白の装束に麻の法衣を羽織った、顎と同じ姿をした牙の右手から金色の錫杖が手放されて、遠くに離れた地面へと落下していく。
一階受付フロアは、天井の高いフロアとなっていて大半の部分は二階と直結した作りになっている。その二階分の高さへ、牙の身体は持ち上げられていた。
最早、牙には抵抗する意識、いや生命すら無く、口から出ている音は、体内の空気が押し出される際に強く掴まれた喉に引っかかった音だった。
「ひぃ……ひぃぃ……」
少女の姿をした緑色の何かが、白装飾の男を宙へと持ち上げて殺した。そんな信じられない光景に、不運にもその場にいた看護師は恐怖にしゃがみ込む見上げるしか出来なかった。逃げようにも、少女の姿をした緑色の何かは、何故かすぐ側にも存在していて、震える看護師の肩をそっと掴んでいた。
「緑色はね、興味の色らしいの。正太くんが残してくれたこの色は、そういう色らしいの。それは、理解とは違うの、わかる? 興味、ただ、興味なの。だから私は正太くんが興味を抱いたことに興味があるの。理解したいとは思ってはいないの、わかる?」
看護師の耳元で囁く小早志真理亜の分体。怯える看護師は、首を縦に振ることも横に振ることも出来ず、ただじっと首が折られた牙の身体が落下してくる様を見ていた。
「ひぃぃ……ひぃぃ……」
怯える看護師。その首にもゆっくりと優しく包み込むように、緑の光が伸びていく。
「ねぇ、人を殺したいと興味を抱くって、どういうものなんだろうって興味が湧かない? 私はね、理解が出来ないから凄く興味が湧くんだよね。だって、私は人を殺したいだなんて思わないから。それは私も他人に対してムカついたり、居なくなって欲しいと思うこともあるよ。けど、人を殺したいだなんて、そんなものを思うことは無いの。私は人を殺すことによる責任を負いきれないからね、だからそんなことを思えないの」
看護師の首にまとわりつく緑の光が手の形を成して、ゆっくりとゆっくりと絞めていく。その光景はこの場だけで見られるものではなく、一階フロアのあらゆる場所で行われていた。逃げ惑う患者、怯える看護師、倒れる医師。その全ての側に、小早志真理亜の分体は寄り添い、緑の光を放っていた。
「私が抱きようもない興味を正太くんは抱いていて、それを満たすために動物や人を殺していたらしいのだけど。その興味がどんなものであるのか、私も興味があるの。きっと理解は出来ないだろうし、理解しようと努力する気もない。だけど、この興味は抗いようのないぐらい尽きないわけ。正太くんの真似をしてみても、尽きないのよ。何度も何度も真似てはいるのだけど、興味が尽きないの!!」
小早志真理亜の分体が、病院内にいたあらゆる人物を殺していく。首を絞め殺すだけではなく、緑の光を刃物のようにして腹を刺し殺したり、緑の光を集約させて弾丸のように頭を弾き殺したり。あらゆる人物を、あらゆる殺し方で、殺していく。
一階に――いや、病院内全体に広がる阿鼻叫喚は試練へと隔離された三階には届かなかった。
死者数は、笠沼正太が殺した数など優に超えていた。
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