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バトルロワイヤル6
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エリザベス達side。
「兄貴すっげー!!あんなところで戦ってるぞ!!」
「さすが俺たちの兄貴だぜ!!俺感動してきた!!」
「ガッハッハッハ!!あいつらいいマッスルしてるなぁ!!」
皆で窓から二人の戦闘を眺めながら談笑している。
ウィルにはわからないが男同士の決闘を邪魔するのは野暮だという事はゲーマーなら当然の事なのだろう。
「ウィル!!おお。あっぶねぇ」
「本当にあの二人人間やめてるわね」
「あはは!!二人とも楽しそうだなぁ!!」
オリバーは手を強く握って二人の戦いを見守っている。
リタは二人の危なっかしい戦いに呆れ、ライリーは大きな斧をぶんぶん振り回して楽しみながら観戦していた。
つまり誰一人ウィルを助ける気はないという事だ。
まぁそれは裏を返せば彼を信用しているという事だが、彼自身にはその気持ちは伝わってはいないが。
「ところであなた達はどうするの?私達と戦う?」
エリザベス達の視線はウィルではなく「マイノリティ」の残りのメンバー達に向いていた。
一応敵の前だがオリバー達が余裕を見せているのは、数的有利な状況で確実に勝てるという余裕の表れからだろう。
「いや、俺たちは遠慮しとくよ。元々兄貴をこのイベントに参加させるためだけに組んだクランだからな」
「マイノリティ」の四人はすでに武器を収めており戦う意思はないとアピールしている。
「でもここで私を打ち取ればこの「カンパニー」を打ち取ったって「マイノリティ」の名が売れるわよ?」
エリザベスが挑発してみるが、彼らはわざとらしく肩をすくめ再度戦いの意思がない事を示す。
「勘弁してくれ。万が一にも勝てるわけねぇだろ。PKプレーヤーってのは意外と臆病なんだぜ?」
「そうそう。PKプレイヤーってのは確実に勝てる状況じゃないと戦わないんだよ」
そう言うと彼らはエリザベス達に興味なさそうに窓の外の二人を眺める。
「じゃああなた達はこれからどうするの?」
「俺たちは兄貴が勝てばまた兄貴についていって戦い相手を見つける手伝いをするさ。兄貴が戦いたい相手以外を俺らが足止めして、兄貴は思う存分好きな相手と戦う。俺たちはそのためにいるのさ。だから今は二人の戦いを見る以外興味はないかな?」
「なんでそんなにキルの為に尽くすわけー?」
「まぁなんだ。男が男の背中に惚れるのに理由なんかいらねぇだろ?だが強いて言うなら恩返しってところかな?」
「ん。恩返しってどんな恩?」
「おいおい。そんなことあんたらに話す必要ないだろ」
「あら、話さないなら今あなた達を攻撃して彼らの戦いを見られなくしてもいいのよ?」
エリザベスの言葉で皆が同時に武器を構える。
その表情はただの脅しではないと物語っていた。
「悪魔かよ。最近の女はこえぇな」
「まぁいいじゃねえか話くらい。と言っても大した話じゃねえぜ?」
「ん。構わない。話なさい」
「おーおー。おっかないねぇ。まぁただ助けられたんだよ兄貴に。俺たちがやんちゃしすぎて仕返しに来た奴らから。俺達もやられるって思ったがよ、兄貴は俺達には攻撃しなかった。そこで聞いたんだ。「なんで俺たちを助けたんだ」って。そしたらよ。「俺は弱い者に興味はねぇ」ってよ。最初は自分達が弱い物呼ばわりされた事に腹がたったが、その背中を見てるうちにそんなことどうでもよくなったんだ。ただこの人に付いていきたいって思うようになったってわけだ」
「そんなことで?」
「わかってねぇなぁ。男ってのは理屈じゃねぇんだよ。やりたいからやる。付いていきたいから付いていく。ただそれだけさ。男はいつでも強い奴に憧れるんだよ。」
エリザベス達には理解はできたが納得はできなかった。
ただ分かったことは男は単純な生き物で、この人たちが本当にキルに惚れているんだという事だけだった。
エリザベスはフランジェシカがいたら鼻血を出す話だと思い苦笑する。
「おい!!ウィルたちが下の惑から建物の中に入ったぞ!!」
オリバー達が慌ててウィルたちを追おうと入り口の方に走り出す。
「あなた達はどうする?ついてくる?」
「いいかい?俺たちはあんた隊に危害は加えない。ただ兄貴たちの決闘を邪魔する奴を排除するだけだ。だからついていっていいか?」
「ふふっ。もちろん」
彼らとエリザベス達の間に口約束ではあるが契約が結ばれ、彼と共にエリザベス達もオリバー達を追いかけた。
ウィルside。
もう何回剣を振ったかわからない。
もう何度スキルを使ったかはすでにわからなくなってきていた。
二人は狭く立ちづらい狭い屋根の上で何度も何度も剣をぶつけ合っていた。
その二人の表情は真剣だがどこか楽しそうでもあった。
だがまだ二人とも本気ではない。
いや、本気ではあるがウィルは「雷神衣威」を、キルは「龍化」を使ってはいなかった。
二人とも直感でわかっているからだ、まだその時ではないことを、この戦いは長くなることを。
そして二人は感じていた。
どこかこの戦いを楽しんでいる自分に、そしてこの戦いをもっと長く続けていたいと自分達が思っていることに。
キルの双剣の技術とスピードは以前よりもはるかに上がってきておりウィルは苦戦を強いられていた。一方キルもウィルの技術とスピードが以前よりはるかに上がり、一瞬の油断が死に直結していることを悟っている。
つまり二人の戦いは互角だった。
だがそんな二人の戦いにも変化が訪れる。
二人が躱した攻撃が少しづつ屋根を気づくけ、突然種が崩れ落ちる。
二人は同時に城の城壁の方にジャンプし難を逃れる。
そして二人は近くの窓を突き破り建物の中に入った・・・。
「はぁはぁはぁ。全くしつこいですね。そろそろ倒されてくれませんか?」
「はぁはぁはぁ。ギャハハハハ!!何言ってんだ!?なんだかんだでテメェも楽しんでいるじゃねえか!?」
「うるさいですね。貴方に僕の気持ちがわかるんですか?」
「ああ、わかるね!!お前も分かってんだろ?剣をぶつけ合ったときに相手の気持ちが何となく分かるあの感覚を!!」
そう、二人はお互いの気持ちを何となく理解していた。
それは頭で理解しているわけではなく、感覚で理解しているのだ。剣を交えた時に相手の気持ちが剣から伝わってくる感覚が二人にはあった。
そして相手が「楽しんでいる」事をお互いわかっていた。
「そんなこと、ん?」
「なんだ?ん?」
二人は入った部屋を見渡すとそこにいるのは自分達だけじゃないと気づく。
そこには二つのチームが戦いあっていた。
一つは体にロボットの部品みたいなのをつけているファンタジー世界にはふさわしくないチームだ。もう一つは見慣れたファンタジー世界によく似合う冒険者のような恰好をしていたチームだ。
両者ともいきなり窓が割れ二人が入ってきた事に驚き固まっていた。
「どうします?このままじゃ乱戦になりかねませんよ?」
「どうすっか。じゃあとりあえず片方のチームに加担して恩を売ってもう片方からは逃がしてもらうってのはどうだ?」
「いいですよ。ではどっちに?」
「あ?そんなもん決まってるだろ」
「ですよね。」
「「ロボットは男のロマンだ!!」
二人は同時に冒険者達に切りかかる。
「ぎゃー!!??なんだいきなりこいつら」
「おい!!セ、戦闘準備、ぎゃー!?」
「は、はっさん!!くそ、てめぇらやるぞ、がっは」
「「「「り、リーダー」」」」」
二人は一瞬のうちに何人も切り伏せ、その中に敵のリーダーが居たことによりチーム全員が光となって消えっていく。
彼らは突然の出来事に何もできずに唖然としたまま消えていった。
「あ、あの。助けていただきありがとうございます」
「別に構いませんよ」
「あ?んなもん気にすんな」
「そ、そのなんで僕らを助けてくれたんですか?」
「「ロボットは男のロマンだから」」
「は、はぁ?」
未だにロボット集団は僕らに戸惑っているようだ。
彼女らはよく見ると細部まで拘ってロボットのような装備を作っていることがわかる。
空を飛べそうな機械の羽を付けている者、メカニックな剣や銃を持っている者、両腕に大きな機械の腕をつけている者、様々だ。
そしてなんと全員が女性だ。
「おい!助けたんだからその剣を見せろ!!」
「僕も興味ありますね。見せていただけませんか?」
「え?い、いいですよ。」
戸惑う彼女たちに僕らはぐいぐいと近づき剣を見せてもらう。
「うぉ!?重いなこりゃ!!」
「ホントですね。こんなもの振れるんですか?」
「じ、実はあんまり振れなくて」
「だろうな。うぉ!!この剣閉じたり開いたりできるのか!!」
「おお!!こっちもですよ!!しかもこのギミックかっこいい」
「わ、わかりますか!!??そうなんですよ!!これ凄い拘っていて!!」
僕らが剣のギミックで遊んでいたら彼女たちも僕らが敵対心がないとわかったのかだんだん警戒が解け、目をキラキラさせながら武器について語ってくれた。
「ここの部分とかすごく拘って作ってもらったんです!!それにあの銃もかっこよくないですか??」
「おお!?かっこいいな!!ってかこの世界って銃とかあんのかよ!?」
「確か古代魔道文明の頃は銃とかあったって聞いてますよ?」
「「「「「その話詳しく!!」」」」」」
「!?」
僕の発言に皆が食いついてくる。
っというか近い近い!!
ロボットのギミックが当たって痛いんだが。
僕は情報屋に聞いた話をそのままする。
昔は魔道文明が発達していて、空を飛ぶ魔導具にバイクや車のような魔道具、それに銃なんかもあったという話。
「という事さ。僕らの予想では世界が滅んだ原因の魔力爆発は、つまり原因のあった古代魔道時代の首都は魔の森の奥深くにあるんじゃないかと考えてるんだ」
「なるほど。情報屋の話ならかなり信憑性がありますね」
「確かにな。でも魔の森か。あそこは平均LV100はないとは入れないって話だからな」
「そうなんですか。ではまだまだ無理そうですね。私達の課題は山済みなのに」
「課題って?」
「はい、まずは何より重いんですよね。これ。動きづらくって」
「よくそんなんでここまで来れたな」
「はい。皆さんいい人が多くて。私達に出会うとこのロボットを気に入って頂いて、戦わないで降参してくれるんです。「応援してるからな」って言って」
「わかる気がするな。確かにこれはかっこいいからね」
「あ、ありがとうございます!!これをわかってくれる人達に出会えただけで今回のイベントに参加した意味があります!!」
彼女たちは嬉しそうに一人一人自慢の装備について話してくれる。
その表情はバトルロワイヤルに参加しているとは思えないほどいい顔をしていた。
「というわけです!!ただやはり動きにくいのと重いのが原因なんですよね」
「素材は何を使っているんだ?」
「素材は基本は鉄とはぐれゴーレムの素材を混ぜ合わせて作ってます」
「それは重そうですね。なんでゴーレムの素材を?」
「それは強度の問題なんです。普通の素材だと魔法を使うと壊れてしまうんです。理由は基本的に銃と言っても鉄の玉は出ません。普通に魔法をこの筒の中から出すんですがその時筒が魔法に耐え切れないんですよね」
「なんで鉄の玉じゃないんだ?」
「この世界とリアルとでは空気の中にある物質の質量が違うんです。魔力という物質が当たり前のようにそこら中にあるんです。そこに鉄の玉を打つと魔力抵抗によりかなり遅くなってしまうんです。だったら普通に魔法を打った方が速いんですよ。」
「なるほど。だったらもっと軽い素材で魔法抵抗を上げればいいんじゃないの?」
「そんなんですが。そんな素材まだ見つかってませんし」
「ありますよ?」
「え??」
僕は魔の森のキングスライムの事を教えた。
あれは素材に塗るだけで魔力抵抗を増やしてくれる素敵アイテムだ。
「そ、そんないいものが!!情報ありがとうございます!!」
「お前ばっか情報を出すのはフェアじゃねぇよな。俺からも。素材はゴーレムよりもクリスタルゴーレムの方がいいぜ?首都から北西に進んだ先にダンジョンがある詳しい場所は自分で調べろ。
「鋼鉄のダンジョンと呼ばれてるところだ。クリスタルなら強度は高いし魔法抵抗力も鉄よか高い」
「あ、ありがとうございます。なんだか教えてばっかりで申し訳ないです」
「別に構いませんよ。その代わり言い武器が出来たらまた見せてください」
「そうだぜ?ファンタジー世界でロボット武器を実現させるっていう大きな目標があるんだろ?だったら誰でも利用してやるくらいの強い気持ちを持っていけ。小さいことは気にすんな。小さいことに囚われてうじうじしてる奴は俺は嫌いだぜ?」
その後彼女たちは僕らに何度もお礼を言い、今後の武器を作りたからと自ら降参していった・・・。
「行ってしまいましたね」
「だな。ファンタジー世界でロボットか。でけぇ夢だな」
「そうですね。だけどいい夢です」
「ああ。周りや世界に囚われず自分の好きなことを追い求めてる奴ってのはキラキラしてるし、強いよな」
「ですね。彼女たちが成功することを祈りましょう」
「ああ。ってああ!?テメェいつの間に回復してんだ?」
「何言ってんですか?あれだけ時間があったんですから回復するのは普通でしょう?それとも今回もお酒しか持ってきませんでしたか?」
「ああ?卑怯だぞてテメェ!今回はちゃんと回復役を持ってきた。今回は酒は持ち込み禁止だったからな」
僕は彼女たちの会話を聞きながら密かにポーションを使い回復していたのだ。
キルはそのことに気づかず今だにHP,MPは半分以下だ。
「さて、そろそろ続きをしましょうか?」
「お、おい待て!!卑怯だぞ!!俺様の回復を待て!!」
「嫌ですよ。なんでそんなもの待たなくちゃいけないんです、か!?」
僕は回復役を取り出そうとしているキルを思いっきり蹴り飛ばす。
キルはノーガードで僕の攻撃を受け近くのドアを壊しながら外まで飛んでいった。
「兄貴すっげー!!あんなところで戦ってるぞ!!」
「さすが俺たちの兄貴だぜ!!俺感動してきた!!」
「ガッハッハッハ!!あいつらいいマッスルしてるなぁ!!」
皆で窓から二人の戦闘を眺めながら談笑している。
ウィルにはわからないが男同士の決闘を邪魔するのは野暮だという事はゲーマーなら当然の事なのだろう。
「ウィル!!おお。あっぶねぇ」
「本当にあの二人人間やめてるわね」
「あはは!!二人とも楽しそうだなぁ!!」
オリバーは手を強く握って二人の戦いを見守っている。
リタは二人の危なっかしい戦いに呆れ、ライリーは大きな斧をぶんぶん振り回して楽しみながら観戦していた。
つまり誰一人ウィルを助ける気はないという事だ。
まぁそれは裏を返せば彼を信用しているという事だが、彼自身にはその気持ちは伝わってはいないが。
「ところであなた達はどうするの?私達と戦う?」
エリザベス達の視線はウィルではなく「マイノリティ」の残りのメンバー達に向いていた。
一応敵の前だがオリバー達が余裕を見せているのは、数的有利な状況で確実に勝てるという余裕の表れからだろう。
「いや、俺たちは遠慮しとくよ。元々兄貴をこのイベントに参加させるためだけに組んだクランだからな」
「マイノリティ」の四人はすでに武器を収めており戦う意思はないとアピールしている。
「でもここで私を打ち取ればこの「カンパニー」を打ち取ったって「マイノリティ」の名が売れるわよ?」
エリザベスが挑発してみるが、彼らはわざとらしく肩をすくめ再度戦いの意思がない事を示す。
「勘弁してくれ。万が一にも勝てるわけねぇだろ。PKプレーヤーってのは意外と臆病なんだぜ?」
「そうそう。PKプレイヤーってのは確実に勝てる状況じゃないと戦わないんだよ」
そう言うと彼らはエリザベス達に興味なさそうに窓の外の二人を眺める。
「じゃああなた達はこれからどうするの?」
「俺たちは兄貴が勝てばまた兄貴についていって戦い相手を見つける手伝いをするさ。兄貴が戦いたい相手以外を俺らが足止めして、兄貴は思う存分好きな相手と戦う。俺たちはそのためにいるのさ。だから今は二人の戦いを見る以外興味はないかな?」
「なんでそんなにキルの為に尽くすわけー?」
「まぁなんだ。男が男の背中に惚れるのに理由なんかいらねぇだろ?だが強いて言うなら恩返しってところかな?」
「ん。恩返しってどんな恩?」
「おいおい。そんなことあんたらに話す必要ないだろ」
「あら、話さないなら今あなた達を攻撃して彼らの戦いを見られなくしてもいいのよ?」
エリザベスの言葉で皆が同時に武器を構える。
その表情はただの脅しではないと物語っていた。
「悪魔かよ。最近の女はこえぇな」
「まぁいいじゃねえか話くらい。と言っても大した話じゃねえぜ?」
「ん。構わない。話なさい」
「おーおー。おっかないねぇ。まぁただ助けられたんだよ兄貴に。俺たちがやんちゃしすぎて仕返しに来た奴らから。俺達もやられるって思ったがよ、兄貴は俺達には攻撃しなかった。そこで聞いたんだ。「なんで俺たちを助けたんだ」って。そしたらよ。「俺は弱い者に興味はねぇ」ってよ。最初は自分達が弱い物呼ばわりされた事に腹がたったが、その背中を見てるうちにそんなことどうでもよくなったんだ。ただこの人に付いていきたいって思うようになったってわけだ」
「そんなことで?」
「わかってねぇなぁ。男ってのは理屈じゃねぇんだよ。やりたいからやる。付いていきたいから付いていく。ただそれだけさ。男はいつでも強い奴に憧れるんだよ。」
エリザベス達には理解はできたが納得はできなかった。
ただ分かったことは男は単純な生き物で、この人たちが本当にキルに惚れているんだという事だけだった。
エリザベスはフランジェシカがいたら鼻血を出す話だと思い苦笑する。
「おい!!ウィルたちが下の惑から建物の中に入ったぞ!!」
オリバー達が慌ててウィルたちを追おうと入り口の方に走り出す。
「あなた達はどうする?ついてくる?」
「いいかい?俺たちはあんた隊に危害は加えない。ただ兄貴たちの決闘を邪魔する奴を排除するだけだ。だからついていっていいか?」
「ふふっ。もちろん」
彼らとエリザベス達の間に口約束ではあるが契約が結ばれ、彼と共にエリザベス達もオリバー達を追いかけた。
ウィルside。
もう何回剣を振ったかわからない。
もう何度スキルを使ったかはすでにわからなくなってきていた。
二人は狭く立ちづらい狭い屋根の上で何度も何度も剣をぶつけ合っていた。
その二人の表情は真剣だがどこか楽しそうでもあった。
だがまだ二人とも本気ではない。
いや、本気ではあるがウィルは「雷神衣威」を、キルは「龍化」を使ってはいなかった。
二人とも直感でわかっているからだ、まだその時ではないことを、この戦いは長くなることを。
そして二人は感じていた。
どこかこの戦いを楽しんでいる自分に、そしてこの戦いをもっと長く続けていたいと自分達が思っていることに。
キルの双剣の技術とスピードは以前よりもはるかに上がってきておりウィルは苦戦を強いられていた。一方キルもウィルの技術とスピードが以前よりはるかに上がり、一瞬の油断が死に直結していることを悟っている。
つまり二人の戦いは互角だった。
だがそんな二人の戦いにも変化が訪れる。
二人が躱した攻撃が少しづつ屋根を気づくけ、突然種が崩れ落ちる。
二人は同時に城の城壁の方にジャンプし難を逃れる。
そして二人は近くの窓を突き破り建物の中に入った・・・。
「はぁはぁはぁ。全くしつこいですね。そろそろ倒されてくれませんか?」
「はぁはぁはぁ。ギャハハハハ!!何言ってんだ!?なんだかんだでテメェも楽しんでいるじゃねえか!?」
「うるさいですね。貴方に僕の気持ちがわかるんですか?」
「ああ、わかるね!!お前も分かってんだろ?剣をぶつけ合ったときに相手の気持ちが何となく分かるあの感覚を!!」
そう、二人はお互いの気持ちを何となく理解していた。
それは頭で理解しているわけではなく、感覚で理解しているのだ。剣を交えた時に相手の気持ちが剣から伝わってくる感覚が二人にはあった。
そして相手が「楽しんでいる」事をお互いわかっていた。
「そんなこと、ん?」
「なんだ?ん?」
二人は入った部屋を見渡すとそこにいるのは自分達だけじゃないと気づく。
そこには二つのチームが戦いあっていた。
一つは体にロボットの部品みたいなのをつけているファンタジー世界にはふさわしくないチームだ。もう一つは見慣れたファンタジー世界によく似合う冒険者のような恰好をしていたチームだ。
両者ともいきなり窓が割れ二人が入ってきた事に驚き固まっていた。
「どうします?このままじゃ乱戦になりかねませんよ?」
「どうすっか。じゃあとりあえず片方のチームに加担して恩を売ってもう片方からは逃がしてもらうってのはどうだ?」
「いいですよ。ではどっちに?」
「あ?そんなもん決まってるだろ」
「ですよね。」
「「ロボットは男のロマンだ!!」
二人は同時に冒険者達に切りかかる。
「ぎゃー!!??なんだいきなりこいつら」
「おい!!セ、戦闘準備、ぎゃー!?」
「は、はっさん!!くそ、てめぇらやるぞ、がっは」
「「「「り、リーダー」」」」」
二人は一瞬のうちに何人も切り伏せ、その中に敵のリーダーが居たことによりチーム全員が光となって消えっていく。
彼らは突然の出来事に何もできずに唖然としたまま消えていった。
「あ、あの。助けていただきありがとうございます」
「別に構いませんよ」
「あ?んなもん気にすんな」
「そ、そのなんで僕らを助けてくれたんですか?」
「「ロボットは男のロマンだから」」
「は、はぁ?」
未だにロボット集団は僕らに戸惑っているようだ。
彼女らはよく見ると細部まで拘ってロボットのような装備を作っていることがわかる。
空を飛べそうな機械の羽を付けている者、メカニックな剣や銃を持っている者、両腕に大きな機械の腕をつけている者、様々だ。
そしてなんと全員が女性だ。
「おい!助けたんだからその剣を見せろ!!」
「僕も興味ありますね。見せていただけませんか?」
「え?い、いいですよ。」
戸惑う彼女たちに僕らはぐいぐいと近づき剣を見せてもらう。
「うぉ!?重いなこりゃ!!」
「ホントですね。こんなもの振れるんですか?」
「じ、実はあんまり振れなくて」
「だろうな。うぉ!!この剣閉じたり開いたりできるのか!!」
「おお!!こっちもですよ!!しかもこのギミックかっこいい」
「わ、わかりますか!!??そうなんですよ!!これ凄い拘っていて!!」
僕らが剣のギミックで遊んでいたら彼女たちも僕らが敵対心がないとわかったのかだんだん警戒が解け、目をキラキラさせながら武器について語ってくれた。
「ここの部分とかすごく拘って作ってもらったんです!!それにあの銃もかっこよくないですか??」
「おお!?かっこいいな!!ってかこの世界って銃とかあんのかよ!?」
「確か古代魔道文明の頃は銃とかあったって聞いてますよ?」
「「「「「その話詳しく!!」」」」」」
「!?」
僕の発言に皆が食いついてくる。
っというか近い近い!!
ロボットのギミックが当たって痛いんだが。
僕は情報屋に聞いた話をそのままする。
昔は魔道文明が発達していて、空を飛ぶ魔導具にバイクや車のような魔道具、それに銃なんかもあったという話。
「という事さ。僕らの予想では世界が滅んだ原因の魔力爆発は、つまり原因のあった古代魔道時代の首都は魔の森の奥深くにあるんじゃないかと考えてるんだ」
「なるほど。情報屋の話ならかなり信憑性がありますね」
「確かにな。でも魔の森か。あそこは平均LV100はないとは入れないって話だからな」
「そうなんですか。ではまだまだ無理そうですね。私達の課題は山済みなのに」
「課題って?」
「はい、まずは何より重いんですよね。これ。動きづらくって」
「よくそんなんでここまで来れたな」
「はい。皆さんいい人が多くて。私達に出会うとこのロボットを気に入って頂いて、戦わないで降参してくれるんです。「応援してるからな」って言って」
「わかる気がするな。確かにこれはかっこいいからね」
「あ、ありがとうございます!!これをわかってくれる人達に出会えただけで今回のイベントに参加した意味があります!!」
彼女たちは嬉しそうに一人一人自慢の装備について話してくれる。
その表情はバトルロワイヤルに参加しているとは思えないほどいい顔をしていた。
「というわけです!!ただやはり動きにくいのと重いのが原因なんですよね」
「素材は何を使っているんだ?」
「素材は基本は鉄とはぐれゴーレムの素材を混ぜ合わせて作ってます」
「それは重そうですね。なんでゴーレムの素材を?」
「それは強度の問題なんです。普通の素材だと魔法を使うと壊れてしまうんです。理由は基本的に銃と言っても鉄の玉は出ません。普通に魔法をこの筒の中から出すんですがその時筒が魔法に耐え切れないんですよね」
「なんで鉄の玉じゃないんだ?」
「この世界とリアルとでは空気の中にある物質の質量が違うんです。魔力という物質が当たり前のようにそこら中にあるんです。そこに鉄の玉を打つと魔力抵抗によりかなり遅くなってしまうんです。だったら普通に魔法を打った方が速いんですよ。」
「なるほど。だったらもっと軽い素材で魔法抵抗を上げればいいんじゃないの?」
「そんなんですが。そんな素材まだ見つかってませんし」
「ありますよ?」
「え??」
僕は魔の森のキングスライムの事を教えた。
あれは素材に塗るだけで魔力抵抗を増やしてくれる素敵アイテムだ。
「そ、そんないいものが!!情報ありがとうございます!!」
「お前ばっか情報を出すのはフェアじゃねぇよな。俺からも。素材はゴーレムよりもクリスタルゴーレムの方がいいぜ?首都から北西に進んだ先にダンジョンがある詳しい場所は自分で調べろ。
「鋼鉄のダンジョンと呼ばれてるところだ。クリスタルなら強度は高いし魔法抵抗力も鉄よか高い」
「あ、ありがとうございます。なんだか教えてばっかりで申し訳ないです」
「別に構いませんよ。その代わり言い武器が出来たらまた見せてください」
「そうだぜ?ファンタジー世界でロボット武器を実現させるっていう大きな目標があるんだろ?だったら誰でも利用してやるくらいの強い気持ちを持っていけ。小さいことは気にすんな。小さいことに囚われてうじうじしてる奴は俺は嫌いだぜ?」
その後彼女たちは僕らに何度もお礼を言い、今後の武器を作りたからと自ら降参していった・・・。
「行ってしまいましたね」
「だな。ファンタジー世界でロボットか。でけぇ夢だな」
「そうですね。だけどいい夢です」
「ああ。周りや世界に囚われず自分の好きなことを追い求めてる奴ってのはキラキラしてるし、強いよな」
「ですね。彼女たちが成功することを祈りましょう」
「ああ。ってああ!?テメェいつの間に回復してんだ?」
「何言ってんですか?あれだけ時間があったんですから回復するのは普通でしょう?それとも今回もお酒しか持ってきませんでしたか?」
「ああ?卑怯だぞてテメェ!今回はちゃんと回復役を持ってきた。今回は酒は持ち込み禁止だったからな」
僕は彼女たちの会話を聞きながら密かにポーションを使い回復していたのだ。
キルはそのことに気づかず今だにHP,MPは半分以下だ。
「さて、そろそろ続きをしましょうか?」
「お、おい待て!!卑怯だぞ!!俺様の回復を待て!!」
「嫌ですよ。なんでそんなもの待たなくちゃいけないんです、か!?」
僕は回復役を取り出そうとしているキルを思いっきり蹴り飛ばす。
キルはノーガードで僕の攻撃を受け近くのドアを壊しながら外まで飛んでいった。
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扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。
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