ファウスト−FAUST-

藤田吾郎

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第10話 超高速【スカル】ーそのスピードに着いてこれるか?ー

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ここは地上より遥か上に存在する天界と呼ばれる場所。神と神の使い使徒が暮らす場所であり、かつては全能の神ゼウスに仕え逆らう前まで堕天使べリアルも住んでいた場所でもあった。

そこに全能の神ゼウスが鏡越しから何か映像を見ている。

「何を見ていらっしゃるのですか?ゼウス様。」

後ろから声が聞こえたのでゼウスは後ろを振り向くとヨハネが現れる。

「ヨハネか?」

「はい。」

ヨハネは今、ゼウスが何を見ているのか気になる様子。それをゼウスは察知したのかヨハネに話し掛ける。

「私が今、何を見ているのか、気になるのか?」

「そうですね。」

「別に見ても構わないぞ。ヨハネ。」

「では、遠慮なく見させて頂きます。」

ヨハネはゼウスが見ていた鏡を見始めると、その映像が大翔がファウストに祐司がアパスルに変身して戦っている映像である。

「大翔さんに祐司さん。相変わらず頑張ってべリアルを倒していますね。ゼウス様。」

「まぁ、そのようだな。しかしだヨハネ。」

「何です?ゼウス様。」

「もう暫く見ていろ。面白いのが出てくるぞ。」

「なんでしょうか?」

ヨハネはゼウスの言っている意味が分からずゼウスに言われた通り暫く見ることにする。暫く見ているとヨハネの予想を超える映像がヨハネの目に映る。

「……っ?!」

「やはり驚いたか?ヨハネ。」

「な、何故?!何故エクトが?!それにルデアはあの時……」

「どうやらルデアの魂はベルトに宿ってルデアの魂と今、エクトに変身している大和響也という青年の魂が共鳴したようだな。」

ゼウスは全てを見透かした様にヨハネに説明した。

「まさか、こんな懐かしい姿を見れるとは思いませんでしたよ。ゼウス様。」

「ルデアか……最初の戦士であり、そして……」

「志半ばで悲痛な死を遂げた戦士……」

「そして、ルデアの魂と意志を引き継ぐ者が表れたという訳だ。」

「そのようですね。しかし、あの大和響也という青年。何処かルデアに似ていますね。」

ヨハネは少し懐かしそうにクスリと静かに笑う。


「だが、ファウスト、アパスル、エクトの三人でも今のままでは神族おろか鬼神族そして、三幻魔更にばアーミタイル゙には勝てぬぞ。ヨハネ。」

ゼウスの口から゙アーミタイル゙という言葉、確かべリアルにそのメンバーはいないはずだがいったい誰なのだろうか?

「そこは任せて下さい。ゼウス様。その為に今日は、この子を渡そうと思っています。」

「この子?」

ゼウスは不思議そうにヨハネに聞く。

「さぁ、ゼウス様に自己紹介しなさい。ボーン。」

するとヨハネの懐から、ドクロマークの絵が描かれた手と足が着いた携帯電話が出てきて、携帯電話は丁寧に自己紹介した。

「初めましてゼウス様。僕の名前はボーンって言います。」

ボーンの自己紹介をした後にゼウスは何か思い出した様に言う。

「ダビデの後輩か……」

「えっ?ダビデ先輩を知っているんですか?」

「あぁ、勿論だ。」

ボーンはどうやらダビデの後輩らしく、ダビデの存在を知っているゼウスにボーンは嬉しい様子。

「では、ゼウス様。ボーンをすぐにでも大翔さんの元へ行かせますね。」

「あぁ、分かったヨハネ。」

ヨハネはゼウスのいる場所から立ち去り、ボーンはヨハネに質問をする事にした。

「ヨハネ様。」

「何ですか?ボーン。」

「大翔さんって誰ですか?」

「あぁ、飯島大翔。ダビデのマスターであり、これから貴方がマスターになる人の名前ですよ。」

「へぇ~……ヨハネ様。」

「何です?」

「大翔さんって言う。マスターって優しい人?」

「えぇ。勿論、優しい人ですよ。あと、優しいだけでなく、強くてカッコイイ人ですよ。」

「わぁ~……凄い人なんだね!」

「だからねボーン……」

「何ですか?ヨハネ様。」

「大翔さんが困った時は助けてあげて下さいね。」

「うん!僕、マスターが困った時は絶対に助ける!」

「頼みましたよ。ボーン。」

「はい!」

ヨハネはボーンに優しく微笑み亜空間を開いていき、そして、ヨハネとボーンはヨハネの亜空間を使い地上へと向かうのであった。


「ヨォ……全員、集マッタカ。」

神族の長であるオシリスが威圧的で雄々しい声で呟いた。

「オシリス様。今回ハ、ドノ様ナ用事デ?」

ヴィシュヌがオシリスに今回、神族だけの会議に疑問があるようだ。

「マァ……今回オ前等、神族ヲ呼ンダノハ他デモナイ。」

「ヤハリ、魔族ノ全滅デスカ?」

フォルトュナが察しがついた様に言う。

「ヘェ~……ッテ言うウコトハ、ヴァルキリーモ倒サレタワケ?」

「マァ、ソウダナ。」

ノルンの問いに、その通りと言わんばかりにオシリスが答え、続けてオシリスは言い放つ。

「魔族ガ全滅シタ今、俺達ガ仮面ノ戦士ファウスト、断罪ノ使徒アパスル、ソシテ、新タニ現レタ雷牙ノ銀狼エクトヲ、始末スル様二、ハモンサンカラ命令ガ出タ。」

「雷牙ノ銀狼エクト。確カ……」

そうオーディンが言いかけた所でオシリスが口を挟む。

「ソウ。カツテ、仮面ノ戦士ファウスト、断罪ノ使徒アパスルヨリ遥カ昔二俺達べリアル二楯突イテ、ラビエルサント戦イ、敗レテ、変身シテタ、ルデアッテ言ウ女ハ、ラビエルサン二殺害サレタ。ッテ聞イタゼ俺ハ。」

「デモ、何デ今更二ナッテ?ソレニ死ンダ人間ガ生キ返ルナンテ聞イタ事ナイヨ……賢者ノ石ヲ使ワナイ限リネ……」

アナトは今更になって現れたエクトに疑問を持っているようで、オシリスに質問した。

「俺モ、ヨクハ分カラネェガ、ラビエルサンカラ聞イタ話。今、エクト二変身シテイルノハ、ルデアデハ無イッテ話ダ。」

「イッタイ、ドウイウ意味デスカ?」

続けてヴィシュヌがオシリスに質問しするとオシリスは答える。

「アノ、ルデアッテ言ウ女ハ、ラビエルサン二殺サレタ後、肉体ハ滅ビロウト魂ハ残ッテイタ。ソシテ、ルデアノ魂ハベルト二宿シ、イツカ、自分ノ意志ヲ受ケ継グ奴ヲ何百年、何千年ト待ッテイタラシクテナ。」

「ソレデ現在、ルデアノ意志ヲ受ケ継グ者ガ現レタト?」

ノルンがオシリスの言いたい事が分かり口に出した。

「コンナ、タイミグノ悪イ時二、エクトガ出テシマッタ訳デスネ……」

フォルトュナはヤレヤレと溜め息混じりの口調で愚痴をこぼす。


「今、我々ノ最大ノ障害デアル、魔物ヲ葬リ去ル錬金術師ファウスト。断罪ノ炎デ悪ヲ焼キ尽クス使徒アパスル。雷牙ト言ウ名ノ天罰ヲ下ス銀狼エクト。非常二厄介ナ存在……早急二始末シナケレバ我々べリアル二未来ハ無イトイウ事カ……」

オーディンが自分達べリアルの将来を心配するが、そこでオシリスが提案する。

「今マデ、人間ノ血ヲ1番集メテイタ、トラロックガイナイ今、賢者ノ石ノ精製ガ遅れレテイルトイウ事。ソレデダ……」

この場にいる神族の全員がオシリスに注目し続けてオシリスは言った。

「フォルトュナ、ノルン、ヴィシュヌノ3人ハ人間ノ魂二乗リ移リ3人デ行動シツツ人間ノ血ヲ集メロ。タダシ、若クテ女ノ血ヲ集メル様二シロ。」

「「「ハッ!」」」

すると、オシリスの命令を聞いた後、フォルトュナ、ノルン、ヴィシュヌの3人はこの場から立ち去り任務を実行する事になり、そして会議に残ったのはオシリス、オーディン、アナトの3人となる。

「精霊族ト魔族ト違ッテ俺達、神族ハ人間ノ魂二入リ込ンデ、人間トシテ活動ガ出来ル事ダネ。」

アナトが神族が今までのべリアルとは違う事を説明してから次にオーディンが説明し始める。

「そして、鬼神族、三幻魔二限ッテハ人間ノ姿二ナレル。ソシテ、人間ノ姿ダト仮面ノ戦士、断罪ノ使徒、雷牙ノ銀狼ハ見付ケル事ハ出来ナイ。」

そして、嬉しそうにオシリスが言う。

「俺達べリアル……イヤ、神様二楯突ク事ガ、ドンナ二罰当タリカ教エテヤロウジャネェカ……」

オシリスはニヤリと笑い何だか楽しそうな様子。するとアナトがオシリスに近付いてきた。

「ねぇ、オシリスサン!」

「何ダ?アナト。」

アナトは少し間を置いて答える。

「アノ3人、俺ガ始末シテ良イデスカ?」

「アァ、別二構ワネェヨ。アナト。」

「良インデスカ?コンナ二、アッサリ了解シテ?」

「アノ3人ガ消エレバ、俺達べリアルトシテハ、1番都合ガ良イダロ。」

「ソウデスカ。ンジャ、アノ3人ヲ始末シニ行ッテキマスネ。」


アナトもその場からファウスト、アパスル、エクトを始末する為に去って行く。

「ヨロシイノデスカ?オシリス様。」

「何ガダ?」

オーディンがオシリスに問いかける。

「オシリス様ハ、仮面ノ戦士、断罪ノ使徒、雷牙ノ銀狼ト戦タイ筈デハ?」

「マァ、確二俺ハ、アノ3人ト戦イタクテ、戦イタクテ身体ガ、ウズウズシテ仕方ガネェナ。」

本当はファウスト、アパスル、エクトと戦いたくて仕方がない筈のオシリスにオーディンは聞いた。

「デハ何故デスカ?」

「フン。俺ハ、アノ3人ハ、コレカラ強クナルッテ睨ンデル。」

「……」

オーディンは更にオシリスの考えている事に疑問を抱いた。

「オーディン。オ前ニハ分カラナイカ?」

「ハイ……」

それも、その筈。自分達にとって最大の障害であり自分達の存在を脅かすファウスト、アパスル、エクトを早々に始末したいのだから。

「別二分カラナクテモ構ワナイサ。俺ハ強イ奴ト戦イタインダ……」

「強イ奴デスカ?」

オーディンは強い奴というオシリスの台詞に引っ掛かりを覚える。

「ソウダ。オ互イノ命ヲ削リ合ッテ、気持チガ完全燃焼二ナリ、ソシテ勝ッタ時ノ快感ガタマラナインダヨ。」

「ソウデスカ。」

オーディンはオシリスが考えている事に納得した様子。そして、オシリスは言う。

「ダカラ、俺ハ決メテンダヨ。」

「何ヲデスカ?」

「俺ガ出張ル時ハ、俺以外ノ神族が、魔物ヲ葬リ去ル錬金術師ファウスト。断罪ノ炎デ悪ヲ焼キ尽クス使徒アパスル。雷牙ト言ウ名ノ天罰ヲ下ス銀狼エクト。ソノ3人二倒サレタ時。ソシテ、アノ3人ハ強クナルガ、神族ノ長デアル。俺二倒サレ、ソシテ、べリアルノ将来ハ安泰二ナリ、地上ハ俺達べリアルノ支配下二ナル。」


オシリスが理想とする考えをオーディンに高らかに話し満足そうなオシリス。

「オシリス様。」

「何だ?オーディン。」

「必ズヤ、コノ地上ヲ我々べリアルノ支配下二置キマショウ。」

オーディンはオシリスに忠誠の誓いの姿勢を見せてオシリスは最後に一言。

「勿論ダ。」



あ~、暇だな~。そんな風に雲を眺めながら優菜の大学の近くにある公園のベンチに座りながらイヤホンを耳に挿して音楽を聞く俺。今はランチタイムのピークを過ぎて仕事の方は休憩中。

でも何で優菜の大学の近くの公園にいるかと言うとだな答えは簡単。俺が休憩中の時に優菜から電話が来て、俺のバイクで迎えに来てほしいとの事。

俺は別に良いがオバサンは少し呆れた様子だったけど、そんな訳で俺は優菜が指定した。大学の近くにある公園で待ち合わせする事にして待っている間は音楽を聴いている。

大学の出入口に居れば良いかと思うけど優菜の大学は、女子大のため、学祭以外の時は講師以外の男は入れないとの事。だから大学の近くにある公園で優菜と待ち合わせ。

しかし、思ってたよりも早く着いたから音楽を聴きながら、ボッーっと雲を眺めながら公園のベンチに座ってる。まぁ、聞いてる音楽はアレだ。某2人組ロックバンドの曲で、何回かアニメのオープニングテーマを担当したロックバンドだ。年末の大晦日にやる歌番組にも常連として出ている。

そんな事はどうでも良いが俺の隣には何故か響也がいる。響也に聞いた所。この前、再会した幼馴染みの明日香ちゃん?だっけかな、その娘が響也のバイクで迎えに来てほしいとの事。

そういう事なら俺も響也も休憩をもらい、どうせ一緒の大学に行く事になるから一緒に行こうと誘った。響也はと言うと、何だか編み物をしているな。

これから、もっと寒くなるからマフラーやら手袋やら編んでいるんだろうな。あぁ、そうだ。響也が店で働き出してから甘い菓子が好きな常連が増えて、店の方は商売繁盛らしいな。

俺も響也の作ったスイーツを食べてみたが、これがまた美味しい。響也は洋菓子、和菓子とジャンルを問わず全部美味しかった程の腕前。

それに顔も良いから女性の常連さんにも人気もあり、接客の方も上手くやっている。まぁ、あのエプロンを作った時は少し困ったけどな。

俺の前、使っていたエプロンが汚くボロボロになっちまったから新しく響也がエプロンを作ってくれる事になったんだ。俺は響也に色々と巻き尺で身体の寸法を計られて響也は数日の間、待っててほしいとの事。


数日後、響也は俺のエプロンを、みんなの前で披露。えっ?感想か?感想はと言うとだな。とても着れる物じゃねぇよ……

イヤイヤ、エプロンとしての出来として上出来だ。ただな、デザインがな。純白の生地に可愛らしいフリル、胸にはハートマークの形をしたエプロンだったんだよ?

明らかに可笑しいだろ?俺は男だぞ!明らかに女の子が着るようなデザインじゃねぇか!
って響也に突っ込んだ所。可愛くて良いじゃないですか!きっと似合いますよ!このデザインに機能きっと大翔君の仕事に役に立ちますよ!

と何故か珍しく響也が声を大きく上げてに熱弁された。これ明らかに新婚の若奥さんが着るような裸エプr……イヤイヤ、それ以上は言うのは辞めておこう。

するとオバサンがこのフリフリのエプロンを着ると言い始める始末。俺は年を考えて!オバサン!と喉まで出掛かったけど、どうにか押し込んだ。

後で何されるか分からないかし、恐いからな。そんな事で、このフリフリのエプロンはオバサンが着ることにし、俺は後日、響也に普通のエプロンを作ってもらい全て丸く収まった。

言っとくけど、優菜のエプロン姿を見たいって、思ったりなんか微塵もないからな!似合うだろうけどさ。すると公園に誰か来たみたいで、よく見ると祐司の姿が見える。

「よぉ、祐司。何で此所に?」

「あぁ、大翔に響也じゃん。イヤ~まぁ、今日と明日で仕事が休みになったからさ、これから学祭で知り合った愛ちゃんとデート。」

祐司。とうとう、リア充になったか。続けて祐司は今度は俺と響也に質問した。

「ところで、大翔と響也は?」

「あぁ、俺は優菜の御迎えだ。」

「俺も幼馴染みの女の子が優菜さんと同じ大学に通っているので、その娘の御迎えです。」


「へぇ、幼馴染みかぁ~。良いね。そういうの。」

祐司は羨ましそうに言い、俺の隣に座り愛ちゃんを待つ事にした。ん~、まだかな……


「どうも、皆さん。こんにちは。」

ん?なんか聞いた事ある男の声だな。俺と祐司と響也は声の主に振り向くと笑みを絶やさず俺達に手を振るヨハネが立っているじゃねぇかよ。

「大翔さん、祐司さん久し振りです。あと、こちらの彼は初めましてですね。」

「誰ですか?大翔君に祐司君。」

まぁ、無理もない響也とヨハネは、お互いに初めてだからな。

「初めまして、私の名前はヨハネと言います。」

「大和響也です。よろしくお願いします。ヨハネさん。」

お互いに自己紹介した所で祐司がヨハネに聞く。

「どうしたんだ?ヨハネ。」

「あぁ、そうだ。ヨハネが何かようか?」

俺と祐司で何故ヨハネが此所に来たのか気になった。

「えぇ、まぁ大翔さんに渡したい物がありまして。」

「渡したい物?」

「さぁ、出てきなさい。ボーン。貴方のマスターですよ。」

するとヨハネの懐からドクロマークが描かれた携帯電話が出てきた。

「初めまして、僕の名前はボーンって言います。よろしくお願いします。お兄ちゃん。」

まるで無邪気な少年の様に俺に自己紹介してきたボーンっていう携帯電話。

「初めまして、俺の名前は飯島大翔だ。」

「飯島大翔。んじゃ、大翔お兄ちゃんだね!」

「まぁ、別にそれで構わないぞ。」

すると俺のズボンのポケットからダビデが出てきてボーンに話し掛けてくる。

「久し振りですね。ボーン。」

「わぁ!ダビデ先輩!久し振りです~。」

どうやらダビデとボーンは知り合いみたいだな。

「えぇ、今はマスターの元でマスターのサポートをしていますよ。」

「そうなんだ!僕も今日から大翔お兄ちゃんのサポートするんだよ!」

「えっ?そうなんですか?ヨハネ様。」

ダビデは少し驚きながらヨハネに質問する。

「えぇ、そうですよ。」

「でも、何故ですか?」

ダビデは今イチ飲み込めない様子なので続けて聞いてみる。すると、ヨハネはニコニコとしていた笑顔から気難しい雰囲気の顔で答えた。


「実はと言うと、天界で貴方達の戦いを見ていたゼウスが、今の大翔さんや、祐司さんに、響也さんでは、べリアルに勝つには難しいと思い、ゼウス様からボーンを大翔さんに託す事にしました。」

「そうですか……」

ダビデは納得したが、俺と祐司と響也の3人は、さっきのヨハネの発言が気に入らない様子。

「まるで、俺達が弱いって聞こえるな。ヨハネ。」

「そんな事ありませんよ。大翔さん達は充分って言うほど戦ってくれています。」

俺は少し喧嘩腰でヨハネに聞くがヨハネは決してそうではないと否定する。

「んじゃ何で?」

「祐司さん。この前、ヴァルキリーと戦って3人で倒しましたよね?」

「そうだけど?」

「ヴァルキリーが倒されたという事は魔族は倒しました。しかし今度は【神族】と言って、魔族よりも遥かに桁違いの強さを持った、べリアルが祐司さん達の刺客として放たれます。まぁ、アパスルの力の解放を使えば神族は倒せますが、祐司さんの身体に大きな負担を与えますので気をつけて下さいね。」

「そうか。わかった。」

祐司は納得したが、俺には気になる事が1つある。アパスルの力の解放って言うヨハネが言っていた事。祐司は様子からして、その事を知っている様子だけどな。


「ヨハネさん。このエクトの力でも難しいですか?」

「そうですね。はっきり言いますと難しいです。ルデアでも倒せなかったのですから。」

すると響也が驚いた様にヨハネに詰めかけた。

「ルデアを知っているのですか?!」

「勿論ですよ。響也さん。ルデアにこのベルトを渡したのは私なんですからね。」

「あのヨハネさん。」

「何です?響也さん。」

「ルデアってどんな人だったんですか?」

ヨハネは再びニコニコとした笑顔で響也の質問に答える。

「そうですね。何処にでもいる普通の女の子でしたよ。それは周りからは、美少女と言われる程に可愛らしい顔で、優しくて、可愛い物が好きで、料理が好きで、何かを作るのが好きで、正義感も強い人でしたし、恋にも頑張っていましたね。」

「へぇ~とても、凄い人なんですね。」

響也がルデアについて頷いているとヨハネは続けて少し笑いながら言った。

「ところが、暗い所や、蛇に蛙、虫を見ると極端に怖がっていまし、私が暗い所で後ろから思いっきり驚かすと尻餅をついて半泣きしていましたね。」


ヨハネは懐かしそうに思い出したように言うが更に続けて話しはじめる。

「しかし、ルデアは自分の大切な妹をべリアルに殺されてしまいました……しかも自分の目の前で……それは、彼女は深い哀しみに陥りました。しかし、彼女は決してべリアルに復讐なんて、考えませんでしたね。」

「そうなんですか?」

「響也さんと同じ……イヤ、今の大翔さんや祐司さんも含めてですかね……もう2度と自分と同じ哀しみを逢って欲しくないから、べリアルから人々を守りたい。それだけですかね。」

俺達はヨハネの話を聞きルデアは最初の俺と祐司と違って、ただ純粋に人を守りたい。それだけでべリアルと戦っていた。それに比べると俺と祐司はと言うと、でも今は違う。今は本当に純粋にべリアルの魔の手から人々を守りたい。それだけだ。

「私はそろそろ、戻りますね。」

すると、ヨハネはまた亜空間へと帰っていき、その瞬間に俺がずっと待っていた優菜が来たみたいだ。そして、優菜に続いて、祐司の待ち人の愛ちゃん、響也の待ち人の明日香ちゃんと来た。

「大翔ー!ごっーめん!講義が長引いちゃった!」

「まぁ、別にそれに祐司も響也も居たから話してたし。」

優菜は祐司と響也に目を向けると大きく手を振った。

「おぉ!祐司君に響也君。」

「こんにちは。優菜ちゃん。」

「どうもです。」

祐司と響也は優菜の挨拶をかえした。
すると、愛ちゃんは祐司の元へ来て恥ずかしいそうに言う。

「ゆ、祐司君。待ったかな?」

「いーや!全然待ってないよ。」

「はぅ……良かった……」

祐司は愛ちゃんに優しく答え、愛ちゃんは顔を真っ赤にして恥ずかしそうな顔をしている。

「響ちゃん!」

「おっとっと!」

「響ちゃん。待った?」


「全然、待ってないから大丈夫だよ。明日香ちゃん。」

明日香ちゃんは響也に抱き着いて、響也はしっかりキャッチした。明日香ちゃんは少し申し訳なさそうに言う。でも、響也は笑顔で明日香ちゃんに答える。

「ところで響ちゃん?」

「どうさたの?明日香ちゃん。」

「この人達って知り合い?」

「そうだよ。男の方は、みんな友達で彼処の女の子は知り合いですかね。あの娘は初めましてかな。」

響也は優菜に知り合いと言い、愛ちゃんは初めましてと言う。すると明日香ちゃんは急にドス黒いオーラを出し始めてきた。

「響ちゃん……私という女がいながら浮気?私、浮気なんて許さないからね……私、響ちゃんに浮気されたら」

「ち、違うよ明日香ちゃん!優菜さんは今、働いてる店の人だから知り合いなんだよ!」

すると明日香ちゃんは優菜に詰めかけて質問してくる。

「ねぇ、貴方……」

「ん?」

「響ちゃんが言っていたのって本当かしら?」

「ん?あぁ本当だよ!それにね!響也君の作った、お菓子は全部、美味しいんだよ!」

優菜が答えた後に明日香ちゃんから放たれたドス黒いオーラは消えて元に戻った。やべぇ、マジで怖かった……

つーか愛ちゃんさ、怯えてるよね?そりゃ、そうだよ。普通に怖いもん。でも優菜の奴は全然怖がってなかったな。やっぱり天然が最強か……


そんな、こんなで俺達は各々、帰ることにして、俺は優菜と一緒にバイクで戻り、祐司は愛ちゃんとデート、響也は明日香ちゃんをバイクで送る事にして響也も明日香ちゃんの送った後に店に戻ってきて俺と一緒にディナーに出す、料理の仕込みを始め、そしてディナーの時間。

いつも通りディナーの時間も終わり店の後片付けをしてから響也は店から上がり、俺は店を閉めて、自分の部屋に上がってから部屋に入るとダビデとボーンが出迎えてくれた。

「お疲れ様です。マスター。」

「お疲れ様です。大翔お兄ちゃん!」

「おぉ!ありがとよ。」


「ボーン。ちゃんと良い子にしてたか?」

「うん!ちゃんと良い子にしてたよ!ねぇ先輩。」

「はい。マスターの言い付け通りボーンは、ちゃんと携帯電話の姿のままでした。」

ボーンはダビデと一緒に俺以外の人間がいる時は動かず喋らず、じっとしていてくれた様だ。お利口さんのボーン。

「お利口にしてて偉いぞボーン。」

「ありがとう大翔お兄ちゃん!」

俺はちゃんと約束を守った子供の様にボーンを褒めて、ベッドに座り込んだ。ふと溜め息。今日も忙しかったなぁ。ふとカレンダーを見てみると、もう11月は終わりに近付き、あと数日後には12月だな。もう、2ヶ月も過ぎたんか……優梨が死んで俺がファウストとして戦って2ヶ月。

色んな事があったな。優梨が死んで、べリアルの存在を知って、ヨハネに出会い、ダビデに出会い、ファウストに変身してべリアルを倒し始めて、店で働き始めて、優菜と温泉旅行に行ったりしたし。

そして、祐司と偶然にも再開して、祐司とツーリングしたり、俺と祐司で仇を取ったりしたし。

更に響也に出会って、響也と一緒に店で働き、俺と祐司と響也でべリアルを倒したり、最後に今、ボーンと出会った。


この2ヶ月で色んな事が起きて、1日1日が濃くて、2ヶ月っていうと長いようで短い2ヶ月。

俺は今、べリアルを倒す事に集中している。
だけど、べリアルを倒して平和にした後に俺は何をする?確に世界が平和になるのは良いことだ。だけど、俺は世界を平和にした後は何をしているのか?


俺はべリアルを全員倒した後、何をしているのか考えても考えても、何にも思い付かないな。我ながら全く夢が無いな……って自分自身に嘲笑う。


すると耳鳴りの様な音が頭の中に響いてくる。べリアルはお構いなしだな。


「ダビデ!ボーン!べリアルが現れた。行くぞ!」

「「はい!!」」


俺はダビデとボーンをズボンのポッケトに入れてファウストグローブとバイクの鍵を取り、急いで自分の部屋を出て、玄関のドアを開けてバイクに鍵を指して、エンジンをかけて、アクセルを回して、俺はダビデの道案内を元にべリアルが出現した場所へと駆け付ける。

すると、俺の後を追う様に祐司と響也がバイクで駆け付けた。

「全く、愛ちゃんと送った直後に現れるとはな。」

祐司はデートの余韻に浸れず少し機嫌が悪い様子。

「家に入ろうとしたら現れるんなんてタイミングが悪いですね。」

響也が少しばかり溜息混じりで愚痴っぽく言う。


「ドウモ!仮面ノ戦士ファウスト、断罪ノ使徒アパスル、雷牙ノ銀狼エクト、今日ハ奇術師ノ、べリアル。アナトノ、マジックショー二御越シ頂キ、アリガトウ御座イマス。」

まるでピエロみたいな姿のアナトって言うべリアルは深々と頭を下げると、俺はお構いなしにファウストグローブを手に嵌めて腹部からファウストバックルを出現させる。

祐司もアパスルバックルを腹部から出現させていて、更に響也も両手を腹部にあて、すると腹部の周辺に電流が発生して、バックルが出現させている。


「生憎だけど、此方は明日も仕事なんでな!」

「明日も女の子とデートなんでね!」

「早く寝たいの一言ですね。」

俺は明日も仕事、祐司は恐らく明日も愛ちゃんとデート。響也に関しては本当にお眠の時間。


「「「さっさと倒すぞ!べリアル!!」」」

俺はファウストフォンを開き、CLEARボタンを押し、さらにENTERボタンを押すとダビデの機械音が鳴る。

【Standby OK Master】

「変身!」

掛け声と同時にファウストフォンをファウストバックルに入れるとダビデの機械音と同時にファウストに変身する。

【Wake Up Change】

次に祐司はアパスルフォンを180度に開き織り込んでCLEARボタンと、ENTERボタンを、押しすとマーレから機械音が鳴る。

【Are You Ready? Master】

「変身。」

更に銃身を差し込んで、最後にベルトの右脇に入れた瞬間にマーレの機械音と同時に祐司はアパスルに変身する。

【Wake Up Change】


「変身!」

【Open Up Change……ECTO】

響也は両腕を胸の前でクロスしてから響也の掛け声と同時にバックルから機械音が鳴り、バックルの中央が左右に開き、開いた中から黒い三日月の絵が露出して『発電』しているかの様に響也の全身を雷で覆われてエクトに変身した。


「さぁ、裁きの時間だ!」

「さぁ、断罪の時間だ!」

「さぁ、天罰の時間だ!」


各々、ファウスト、アパスル、エクトに変身した俺達だが、アナトは何だか余裕の笑みを浮かべて楽しそうに見える。

「サスガ、貫禄ガアリマスネ~。デハコチラモ行キマショウカ」

すると、アナトは手を俺達に向けて、俺達は構えて、アナトは続けて呪文のような言葉を唱える。

「ルーム!」

アナトが言った瞬間に半透明な空間が出現して、俺達には何がなんだか解らない。なんだコレは?


「何だ?!これは!」

「何か閉じ込められたみたいだ。」

「何かの空間でしょうか?」

すると、アナトはパチパチパチとゆっくりと3回程、拍手した後に言う。

「ゴ名答!コレガ俺ノ能力、空間支配ダ。」

「「「何?!」」」


「コノ空間デハ俺ガ主導権ヲ握ッテ、俺ノ言葉二ヨッテ、何デモ出来ル。ツマリ、コノ空間内デハ俺ノ言葉デ、オ前ラナンテ簡単二殺セル。」

空間支配。正にアナトにとっては都合の良い空間。つまり、この空間内ではアナトの支配下。アナトがこの空間内で命令を出すことによって、空間内では、アナトのマリオネットって所だな。

「マァ、スグニハ殺サナイ、楽シンデモラオウカ。ドレイン!」

するとアナトが命令を出した瞬間に力が、さっきより入りづらくなってきた。

「何だ?少しづつ力が抜けていく。」

「俺もです。」

「どうやら俺だけじゃなくて、大翔も響也もかよ。いったい何をした?」

アナトは薄気味悪い笑みを浮かべて言った。

「マァ、空間内デ命令ヲ出シテ、君達ノ魔力ヲ吸イットッテルンダヨ。」

なるほどな。俺達の力の源は魔力。その魔力を吸い取れば、俺達は戦えないって話だな。

「ツイデ二言ウト、俺ヲ倒サナイ限リ、コノ空間カラハ出ラレナイ。ソレニ、オ前達、3人ハ魔力デ戦ウ。ナンナラ、チカラノ源デアル魔力ヲ吸イトレバ良イッテ事。」

御丁寧に自分の作戦を教えてくれたアナト。何なら答えは簡単だ。魔力が尽きる前にアナトをブッ倒せば良い話。

「祐司!響也!さっさと倒すぞ。」

「当たり前だ!大翔。」

「当然です。大翔君。」


俺は両手の掌を合わせ右足に添える様に触れたと同時にダビデの機械音と同時に右足に爪の様な物が出てくる。

【Right Foot Clow】


【304 Sword Ready】

祐司は銃のグリップのボタンを押し始め304とボタンを押し、機械音が鳴った後、銃身を逆手に持ち、銃口から細長い剣が出てきて、祐司は剣を逆手に持った状態にする。

【Ectoplasm Rod】

響也は、その辺に落ちていた木の棒を手に持つ。すると同時に響也のベルトから機械音がなり、俺の槍に電流が流れた後にエクト専用の槍に変化して槍を構える。


俺と祐司と響也は3人でアナトに攻撃を仕掛けるため距離を詰める。

「3人カァ。流石二3人ヲ相手二スルノハ面倒ダナ。コピー。」

するとアナトの目の前にアナト自身の分身が3人現れてアナトは続けて言う。

「俺ノ分身デ遊ンデナ。俺ハ見物シテルカラサ。」

「チッ!ふざけやがって!」

「明らかに時間稼ぎだな。」

「倒すしかありませんね……」

俺達は悪態を、つきながらも各々、アナトの分身と戦う事にする。」

「言ッテオクケド、分身ッテ、イッテモ実力ハ1人1人、俺ト一緒ダカラ。頑張ッテネ~…」

明らかに人を嘗めた様なふざけた口調で挑発した後に高みの見物をするアナト。響也はロッドをアナトに突き刺そうとするがスルリと避けられて、横に払ってもジャンプして避けられてしまう。

「全く、面倒な相手ですね。」

「フフフ。そんなじゃ当たらないよ…」

「ならば…Foot」

【Foot Spark On】

響也は英語で足を言った後にベルトの機械音が鳴り、それと同時に足に電流を纏い光速でアナトの背後に回り込み、アナトに突き刺さすが手応えが無い。


「まさか?」

「ソウ、残像。ジャグリングボム。」

「しまった!」

響也は背後からアナトのボールの様な爆弾を投げつけられてしまう。

「ぐあっ!」

響也は倒れ込んだが直ぐに立ち上がり続けて言った。

「これでも喰らいなさい!Rock」

【Laser Pool Open】

響也はベルトの機会音と同時にロッドを振るい、ビリヤードのプールにも似た板状の光線『レーザープール』を形成してその中にアナトを閉じ込めると更にレーザープールには1~15まで書かれたビリヤードのボールが置かれ、響也はロッドをビリヤードみたいに構えた。

「Liberation!」

【Fifteen Judgment】

ベルトの機会音と同時に響也はビリヤードを射出し、アナトに目掛けて撃ち込む。勿論、響也のフィフティーン・ジャッジメントはアナトに直撃して跡形も無く倒した。

「倒したか。」

「残念。コレモ残像……」

「ヤバイ!」

「ジャグリングボム。」

「グァ!」

またしてもアナトの残像で再び背後に爆弾を投げつけられた響也は宙に上がり、そのまま落下して倒れ込む。

「グッ……」

すると響也の変身が強制解除され響也は気を失ってしまう。

「「響也!!」」

「ホォ。マズハ雷牙ノ銀狼ガ倒レタカ。」


俺も祐司も響也を助けに行きたいがアナトの分身と言えどマジで強い。これが神族かよ。
一方、祐司は逆手に持った剣で切りつけようとするが、中々当たらない。

「ホラホラ、ドウシタ?」

「チッ!中々当たらねぇ!」

「中々、当タラナイカラ俺カラ攻撃スルカ。トランプカッター。」

祐司が相手をしているアナトは右の人差し指と中指で、スペードのエースのカードを挟み祐司に切りつける。

「グッ……」

「ドウシタ?ドウシタ?!断罪ノ使徒!」


「黙れ!」

【Sword Energy Charge】

祐司は剣を構えてグリップのCLEARボタンを押すとマーレの機械音と同時に剣にエネルギーが溜まり始める。

祐司は剣にエネルギーが溜まったと同時にENTERボタンを押しすと同時にマーレの機械音が鳴り、祐司がアナトに炎を纏った剣を構えて走り込み切りつける。

【Flame Cut】


アナトは上半身と下半身が真っ二つにされ、爆発し、跡形も無く消えた。

「どうやら、やったみたいだな。

「オ~、良カッタ~。残像デ。」

「まさか!」

「トランプカッター……」

すると祐司の背後から無数のトランプが空中で撒かれ、無数のトランプが祐司を切りつけた。

「ぐあっ!!」

祐司も変身が強制解除され、気を失ってしまう。

「祐司!」

「大丈夫か?!ご主人!」

マーレが祐司に駆け寄って祐司の名前を呼ぶ。

「コレデ、断罪ノ使徒モヤラレタネ。」

アナトの分身の3体が俺に近付いてくる。祐司も響也もアナトの分身に、やられて最後に残ったのは俺、1人。どうする?
明らかに3対1。いや事実上はアナトの本体を入れた4対1になる。絶望的だな。

するとボーンが俺の肩の上にやって来て叫んでくる。

「大翔お兄ちゃん!僕を使って!」

「ボーン!お前は危ないから降りてろ!」

「嫌だ!大翔お兄ちゃんが困ってる時に僕がサポートするって決めたんだ!だから大翔お兄ちゃん。僕を使って!」

全たく。子供って言い出したら聞かねぇんだからよ。

「わかったよ!ボーン!」

「わーい!大翔お兄ちゃん。僕を右手に着けて。」

俺はボーンに言われた通りボーンを右手に着け、するとボーンからスロットルを回す時のレバーが出てくるのが分かる。

「大翔お兄ちゃん。まずはスロットルのレバーを1回まわして。」

「わかった。」

俺は言われた通りスロットルのレバーを1回まわすとボーンの機械音が鳴る。

【Change Up Skull】

ボーンの機械音と同時にファウストの筋肉隆起が消えて骨と皮が残るぐらいまで痩せてしまい複眼は赤から緑色に変わった。

「な、何だ?この姿。」

「大翔お兄ちゃん。これがファウスト・スカルフォームだよ!」

「スカル……フォーム?」

するとアナトが興味が湧いたのか楽しそうに言う。

「ホォ、面白イデスネ。」

するとアナトの本体は分身に指令を出して、アナトの分身は俺に攻撃を仕掛けてくる。

「大翔お兄ちゃん!今度はスロットルのレバーを2回まわして!」

「おぉ!」

ボーンに言われた通りスロットルのレバーを2回まわした。

【Speed Gear Start】

ボーンの機械音と同時にアナトの分身達が、動きが止まり始めると俺は何で動きが止まったのか分からないが、絶好のチャンスだと思い、アナトの分身達に攻撃を仕掛ける。


何回も、何回も、殴る、蹴る、殴る、蹴るを数分の間に繰り返し続けた。

【Time Out】

ボーンの機械音が鳴ると同時にアナトの分身は爆発し、消え去ったてしまい、その光景を見たアナトは驚愕して、まるで悪夢でも見ているかの様に言う。

「バ、馬鹿ナ!!例エ分身ノコピーデモ、実力ハ俺ト一緒ダゾ!!何故?!何故?数秒間デ俺ノ分身ガ!」

アナトは慌てふためいた。正直、俺にも、よく分からない。いったい何が起きたんだ。

「超高速だよ!大翔お兄ちゃん?」

「超高速?」

俺はボーンに質問するとボーンは丁寧に答える。

「スカルフォームの能力でね。さっき大翔お兄ちゃんがスロットルのレバーを2回まわした時にね、大翔お兄ちゃんは数秒~数分の間は、周りからは目にも映らない速さで、動く事が出来るんだ。その証拠に大翔お兄ちゃんには、止まっている様に見えたでしょ?」

なるほどな。確かにボーンのスロットルのレバーを2回まわした時に俺はアナトの分身が止まっている様に見えた。だけど、実際は俺が目にも映らない速さで動いているって訳なのか。

「チ、チ、チキショー!!ナ、何ナラ、ゼ、全員、ミンナ死ネエェ!!」


「大翔お兄ちゃん。最後はファウストフォンを開いてCLEARボタンを押した後に僕のスロットルのレバーを3回まわして!」

「止めだ!アナト!」


俺はボーンに言われた通り、ファウストフォンを開きCLEARボタンを押した。

【Right Foot Energy Charge】

とダビデの機械音と同時に右足にエネルギーが溜まり始めた。

その後にスロットルのレバーを3回まわした。

するとさっきと同様にアナトの動きが止まった状態になり、ダビデとボーンの機械音と同時に口元から牙が出てくる。

【【Crusher Open……Skull Assault Strike】】

俺はアナトに何回もイヤ、数百、イヤ……もっと数千回と蹴りを叩き込んでダビデとボーンの機械音と同時にアナトは跡形も無くなり空間も消える。

「祐司!響也!大丈夫か?!」

俺は変身を解き、祐司と響也を急いで駆け付けて介抱した。

「ん?大翔?痛っ!」

「大翔君?」

「祐司!響也!気が付いたか?あんまり無理すんなよ……」

祐司と響也は目を覚まし、怪我も大したこと無い様だ。

「大翔。べリアルは?」

「祐司。ボーンのお陰で倒せたよ。」

「そうか……」

すると後ろからビリビリと殺気が俺に向けられた。

後ろを振り返るとドラゴンの姿をしたべリアルがいた。

こんな時にかよ!俺は急いでファウストグローブを手に嵌めて腹部からファウストバックルを出現させた瞬間にするとべリアルは喋り始める。

「待テ待テ。落チ着ケ。今日ハ戦イ二来タンジャネェヨ!」

「んじゃ何の用だ?」

俺は怪訝そうにべリアルに聞く。

「宣戦布告ッテ奴ダナ。」

「何…?」

「ソウイヤ、自己紹介ガ、マダダッタナ。俺バオシリズッテイウンダ」

べリアルはオシリスと名乗り続けて話を続ける。

「マサカ、神族ノ端クレデアル、アナトガ殺ラレルナンテナ~。オ前、強イナ仮面ノ戦士ファウスト。」


更にオシリスはウキウキとした様子で続けて話し掛ける。

「ファウスト、アパスル、エクト…俺ハ、オ前達ト戦イタイ。ダカラ、俺二殺サレルマデ殺サレルナヨ。」

正に宣戦布告。果たし状とも取れるし魔族のトラロックともヴァルキリーとも違う戦闘狂だな。それは純粋に強い奴と戦いたい目をしてやがったな。

するとオシリスは踵を返して闇の中へと消えて行くと辺りは不気味な静けさだけが残った

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