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おとぎ話の様にはいかない
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「ご存じでしたか? ノレスティア様。この伝説の木の下で告白をして、両思いになったカップルの愛は永遠になるのですって」
「そうなの? 俺が司書先生に聞いた伝説とは違うよ」
「もちろんですわ。これは、これから伝説になるお話なのですもの」
「・・・・・・」
ノレスティアは、ますます困った顔をして足を止めてしまった。ラティエンヌまではあと三歩の距離である。
この木の下で告白をして、両思いになると愛は永遠となる。これからこれが伝説となる。ラティエンヌの言葉をかみ砕けば、それはノレスティアがここでラティエンヌに告白をすることで、未来の国王と王妃の愛が永遠になるという意味だ。
結婚して国王と王妃となってしまえば、立場的にもそう易々とは離婚できるものではないので、対外的には永遠の愛にみえるだろう。
しかし、ノレスティアは困ってしまった。自分からラティエンヌに愛の告白をすることはできないのだ。三代前の王様のやらかしで、魔女に呪いをかけられてしまっている為に、ラティエンヌの望みを叶えてあげることができないのだから。
今日は、アキラからの助言ももらっていないし何も用意していない。
卒業後、駆け回ってやってきたノレスティアは身ひとつでここに来たのだ。
「ラティエンヌ・・・・・・。俺は・・・・・・」
それでも、大好きなラティエンヌの為になんとかしたい。ここで愛を告白して欲しいという、ラティエンヌの望みを叶えてあげたい。何より、自分の大好きだという心を伝えたい。
ノレスティアは、「ラティエンヌ大好き! 愛してる! ずっと一緒に生きていこう!」と叫びたかった。なんとか口に出そうと口をパクパクとさせるが、声が出てこない。
先ほどまで、普通に話すことができていたのに言葉が出てこない。喉が詰まって息苦しくなってくる。
ぐっと胸を押さえて、自分の喉をつかもうとしたその時。
いつの間にかすぐ前まで近寄ってきていたラティエンヌがその緊張した手に小さな白い手を重ねてきた。
「良いんです。無理をしないでください、ノレスティア様」
「・・・ラ、ティエ、ンヌ・・・」
「正式に婚約をいたしますと、王妃殿下にお答えした時に、王家の秘密を伺っております」
ノレスティアが胸を押さえていた手を、ラティエンヌが両手で優しく包んだ。
「ノレスティア様。お慕いしております。どうか、私と正式に婚約してくださいませ」
背の高いノレスティアの顔を、ラティエンヌは至近距離から見上げるようにのぞき込む。にこりと笑って、泣きそうなノレスティアの顔をじっと見つめた。
「ノレスティア様が愛を言葉にできないのでしたら、代わりに私がささやきます。愛しています。ノレスティア様。どうぞ、頷いてくださいませ。声には出せなくても、頭を縦に振ることはできますでしょう?」
ラティエンヌの言葉に、ノレスティアは首がもげそうな勢いで縦に振る。ぶんぶんと風切り音が聞こえそうな勢いだった。
それを見て、ラティエンヌはさらに目を細めて微笑んだ。
「ラティエンヌ! ラティエンヌ! ・・・・・・ぐぅっ。うぇっ」
「無理をなさらないで。もう、疑ったりしませんから。好きです、ノレスティア様。ノレスティア様も、私のことが大好きですわよね?」
「っ! っ!」
うんという言葉も喉が詰まって出せないノレスティアだが、ラティエンヌの言葉にぶんぶんと首を縦に振り続けた。
「態度で、体全体で私に愛を伝えてくださいましね?」
そう言って手を広げたラティエンヌの小さな体を、ノレスティアは思い切り抱きしめた。
ラティエンヌの耳元で、グスグスとノレスティアの鼻をするる音が聞こえたが、ラティエンヌは何も言わなかった。
ノレスティアも、自分の制服の胸元がじわりと温かく湿ってきているのに気がついたけど、何も言わなかった。
「ところで、伝説の木の下で告白をして、両思いになるとその愛は永遠になるなんて話は、どこで聞いてきたんだ?」
ぎゅうぎゅうと抱きしめ合い、一通り泣いて落ち着いた二人は今一緒に馬車に乗って帰路についているところである。
王家の馬車に並んで座って、手をつないで肩を寄せ合いささやく様に語り合っている。
「アキラ様ですわ」
「やっぱり・・・・・・」
「本来は『木の下で告白して両思いになると愛は永遠になる』という伝説のある木という意味らしいのですけれども、あいにくそういった伝説を持つ木はみつかりませんでしたので」
「だよね。あの木の伝説って『木の枝に0点の答案用紙を結んでおくと翌日100点になっている』って伝説だもんな」
「アキラ様のご出身の、遠い遠いところにある国というのは、とても愛にあふれたところの様ですわよね」
古い愛の歌、花言葉、花の本数、持って回った言い回し。
様々な愛の伝え方を知っていたアキラ。それが常識であったというその遠い遠い国の文化。
きっと、愛にあふれた国だったのだろうと、二人は思いをはせた。
「それだけ愛にあふれていた国で生まれたのなら、愛に関する呪いを解く方法とかもしらないもんかな、アキラは」
「実は私、アキラ様から一つ可能性のある方法を伺っているのです」
「本当に!」
「試してみてもよろしいですか?」
「もちろんだよ!」
「では、少しのあいだ目をつむっていてくださいませ」
ラティエンヌに言われたとおりに、ノレスティアは素直に目をつむった。視界が暗くなったところで、何をされるのかとドキドキしながらじっとしている。緊張しているのか、口がまっすぐに引き結ばれていた。
そうしてじっとしていると、不意に「ちゅっ」と音が聞こえて唇に柔らかい物が触れた事に気がついた。
慌てて目を開けたノレスティアは、目の前に真っ赤になったラティエンヌの顔が見えてさらに驚いて目をまん丸にして固まってしまった。
「あ、あの! いかがですか? 私に、好きと言ってみてくださいませ」
「・・・・・・っ! ・・・・・・。ぐぅっ・・・」
「無理はなさらないでください! もう大丈夫ですわ!」
「・・・・・・ごめんね、ラティエンヌ」
「こちらこそ、どさくさに紛れて破廉恥なことをしてしまいましたわ」
「アキラが、コレでのろいが解けるって言ったの?」
「ええ、アキラ様の故郷には、カエルになってしまった王子様がお姫様の口づけで元に戻るというおとぎ話があるそうですわ」
「そっか。じゃあ、俺がカエルになってしまった時にはまた口づけをしてくれるかい?」
「・・・・・・カエルにならないと、口づけをしてはいけませんの?」
「そ、そんなことないよ!」
お互いで、お互いの台詞に照れてしまい、真っ赤になった顔で見つめ合った後にはどちらからとも無く吹き出して、お互い声を上げて笑い出した。
緊張がほどけた二人は、その後卒業パーティでも仲良く腕を組んで登場し、とても楽しそうにダンスを踊った。同じく卒業生として参加していた同級生たちは、ようやくまとまったのだと胸をなで下ろし、これで本当に憂い無く卒業できるぞ!とはっちゃけて踊りまくり、過去最高に盛り上がった卒業パーティだったと語り継がれたのだった。
王子の好きな人に好意を伝えられない呪いは相変わらず解けていないのだが、一度思いが通じ合った二人はその後、体いっぱいを使って愛情を表現するようになり、国王と王妃となって以降も国民全員から「仲睦まじい理想の夫婦だ」とたたえられる二人であったとさ。
おしまい
「そうなの? 俺が司書先生に聞いた伝説とは違うよ」
「もちろんですわ。これは、これから伝説になるお話なのですもの」
「・・・・・・」
ノレスティアは、ますます困った顔をして足を止めてしまった。ラティエンヌまではあと三歩の距離である。
この木の下で告白をして、両思いになると愛は永遠となる。これからこれが伝説となる。ラティエンヌの言葉をかみ砕けば、それはノレスティアがここでラティエンヌに告白をすることで、未来の国王と王妃の愛が永遠になるという意味だ。
結婚して国王と王妃となってしまえば、立場的にもそう易々とは離婚できるものではないので、対外的には永遠の愛にみえるだろう。
しかし、ノレスティアは困ってしまった。自分からラティエンヌに愛の告白をすることはできないのだ。三代前の王様のやらかしで、魔女に呪いをかけられてしまっている為に、ラティエンヌの望みを叶えてあげることができないのだから。
今日は、アキラからの助言ももらっていないし何も用意していない。
卒業後、駆け回ってやってきたノレスティアは身ひとつでここに来たのだ。
「ラティエンヌ・・・・・・。俺は・・・・・・」
それでも、大好きなラティエンヌの為になんとかしたい。ここで愛を告白して欲しいという、ラティエンヌの望みを叶えてあげたい。何より、自分の大好きだという心を伝えたい。
ノレスティアは、「ラティエンヌ大好き! 愛してる! ずっと一緒に生きていこう!」と叫びたかった。なんとか口に出そうと口をパクパクとさせるが、声が出てこない。
先ほどまで、普通に話すことができていたのに言葉が出てこない。喉が詰まって息苦しくなってくる。
ぐっと胸を押さえて、自分の喉をつかもうとしたその時。
いつの間にかすぐ前まで近寄ってきていたラティエンヌがその緊張した手に小さな白い手を重ねてきた。
「良いんです。無理をしないでください、ノレスティア様」
「・・・ラ、ティエ、ンヌ・・・」
「正式に婚約をいたしますと、王妃殿下にお答えした時に、王家の秘密を伺っております」
ノレスティアが胸を押さえていた手を、ラティエンヌが両手で優しく包んだ。
「ノレスティア様。お慕いしております。どうか、私と正式に婚約してくださいませ」
背の高いノレスティアの顔を、ラティエンヌは至近距離から見上げるようにのぞき込む。にこりと笑って、泣きそうなノレスティアの顔をじっと見つめた。
「ノレスティア様が愛を言葉にできないのでしたら、代わりに私がささやきます。愛しています。ノレスティア様。どうぞ、頷いてくださいませ。声には出せなくても、頭を縦に振ることはできますでしょう?」
ラティエンヌの言葉に、ノレスティアは首がもげそうな勢いで縦に振る。ぶんぶんと風切り音が聞こえそうな勢いだった。
それを見て、ラティエンヌはさらに目を細めて微笑んだ。
「ラティエンヌ! ラティエンヌ! ・・・・・・ぐぅっ。うぇっ」
「無理をなさらないで。もう、疑ったりしませんから。好きです、ノレスティア様。ノレスティア様も、私のことが大好きですわよね?」
「っ! っ!」
うんという言葉も喉が詰まって出せないノレスティアだが、ラティエンヌの言葉にぶんぶんと首を縦に振り続けた。
「態度で、体全体で私に愛を伝えてくださいましね?」
そう言って手を広げたラティエンヌの小さな体を、ノレスティアは思い切り抱きしめた。
ラティエンヌの耳元で、グスグスとノレスティアの鼻をするる音が聞こえたが、ラティエンヌは何も言わなかった。
ノレスティアも、自分の制服の胸元がじわりと温かく湿ってきているのに気がついたけど、何も言わなかった。
「ところで、伝説の木の下で告白をして、両思いになるとその愛は永遠になるなんて話は、どこで聞いてきたんだ?」
ぎゅうぎゅうと抱きしめ合い、一通り泣いて落ち着いた二人は今一緒に馬車に乗って帰路についているところである。
王家の馬車に並んで座って、手をつないで肩を寄せ合いささやく様に語り合っている。
「アキラ様ですわ」
「やっぱり・・・・・・」
「本来は『木の下で告白して両思いになると愛は永遠になる』という伝説のある木という意味らしいのですけれども、あいにくそういった伝説を持つ木はみつかりませんでしたので」
「だよね。あの木の伝説って『木の枝に0点の答案用紙を結んでおくと翌日100点になっている』って伝説だもんな」
「アキラ様のご出身の、遠い遠いところにある国というのは、とても愛にあふれたところの様ですわよね」
古い愛の歌、花言葉、花の本数、持って回った言い回し。
様々な愛の伝え方を知っていたアキラ。それが常識であったというその遠い遠い国の文化。
きっと、愛にあふれた国だったのだろうと、二人は思いをはせた。
「それだけ愛にあふれていた国で生まれたのなら、愛に関する呪いを解く方法とかもしらないもんかな、アキラは」
「実は私、アキラ様から一つ可能性のある方法を伺っているのです」
「本当に!」
「試してみてもよろしいですか?」
「もちろんだよ!」
「では、少しのあいだ目をつむっていてくださいませ」
ラティエンヌに言われたとおりに、ノレスティアは素直に目をつむった。視界が暗くなったところで、何をされるのかとドキドキしながらじっとしている。緊張しているのか、口がまっすぐに引き結ばれていた。
そうしてじっとしていると、不意に「ちゅっ」と音が聞こえて唇に柔らかい物が触れた事に気がついた。
慌てて目を開けたノレスティアは、目の前に真っ赤になったラティエンヌの顔が見えてさらに驚いて目をまん丸にして固まってしまった。
「あ、あの! いかがですか? 私に、好きと言ってみてくださいませ」
「・・・・・・っ! ・・・・・・。ぐぅっ・・・」
「無理はなさらないでください! もう大丈夫ですわ!」
「・・・・・・ごめんね、ラティエンヌ」
「こちらこそ、どさくさに紛れて破廉恥なことをしてしまいましたわ」
「アキラが、コレでのろいが解けるって言ったの?」
「ええ、アキラ様の故郷には、カエルになってしまった王子様がお姫様の口づけで元に戻るというおとぎ話があるそうですわ」
「そっか。じゃあ、俺がカエルになってしまった時にはまた口づけをしてくれるかい?」
「・・・・・・カエルにならないと、口づけをしてはいけませんの?」
「そ、そんなことないよ!」
お互いで、お互いの台詞に照れてしまい、真っ赤になった顔で見つめ合った後にはどちらからとも無く吹き出して、お互い声を上げて笑い出した。
緊張がほどけた二人は、その後卒業パーティでも仲良く腕を組んで登場し、とても楽しそうにダンスを踊った。同じく卒業生として参加していた同級生たちは、ようやくまとまったのだと胸をなで下ろし、これで本当に憂い無く卒業できるぞ!とはっちゃけて踊りまくり、過去最高に盛り上がった卒業パーティだったと語り継がれたのだった。
王子の好きな人に好意を伝えられない呪いは相変わらず解けていないのだが、一度思いが通じ合った二人はその後、体いっぱいを使って愛情を表現するようになり、国王と王妃となって以降も国民全員から「仲睦まじい理想の夫婦だ」とたたえられる二人であったとさ。
おしまい
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